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やっとこさ読了しもうした。文庫本4冊はとてもとても長い道のりなるも、超弩級の面白本だった。いささか長目ではありますが。
年を経るごと、涙腺が緩み往く中、膨大な活字を追うほどに琴線に触れるエピソードが溢れてたりするため、出勤途上や出張時の移動の車中にて嗚咽こそこらえるものの、終始湧き上がる熱い想いに目は曇りがち。本日も往路の車中、目に溢れるものを拭いつつ終章に目を通したのでありました。最後の最後、海が漏らす◯◯を感知するところ、またもややられてしまいました。グッショリ。
潜水艦といえば、やはりクランシーの「レッド・オクトーバーを追え」ですが、個人的にはその後の「レッド・ストーム・ライジング」で西側の硬直状態を打破する活躍に魅せられたものでした。「沈黙の艦隊」ってのもありましたね、戦闘シーンこそ面白かったけど、最後は訳わからなくなってつまんなかったかと。
ローレライの実態が判明していくごと、???、何、F・ポール・ウィルソンばりのオカルト兵器?。やや興醒めの感があったりもしますが、ファンタジーであったかとすれば理解も違ってきます。帝国海軍の潜水艦に女の子が乗艦していること自体ファンタジーではありませんか。
「悲鳴の聞こえない海」、良いフレーズです。
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なんというか、その後、がいいです。あれだけのことのを潜り抜けて、得たもの。でも、そうだよねぇ…。それでいいんだよねぇ…。
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2巻で特殊兵器・ローレライが超能力少女であることがわかり、物語のリアリティが減じて少しガッカリしたが面白い!面白すぎる!とくに3巻からの盛り上がりに一気に4巻まで読んでしまった。戦闘シーンの迫力だけでなく戦争というものの矛盾や人間としての葛藤などウーンと唸るような箇所が満載。最後の最後「終章」を読むまでは「永遠の0」を超えて100点満点に近いと思ったが、評論的にだらだらと戦後史を説明する「終章」はまさに蛇足で残念、85点。
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舞台は、当然ながら第二時世界大戦。それも、日本が敗戦寸前の状態です。
国民も、軍部も、中央政府も、敗戦が濃厚なのは分かり切っている状況。
そんな中で、ある作戦が決行されます。
潜水艦<伊507>である兵器の回収に当たるという任務です。
それは、ローレライと呼ばれる謎の兵器。
そして、<伊507>はローレライをめぐって壮大な旅路に出る。
そこにある『あるべき終戦のかたち』を目指して。
さて、この作品は前半はローレライが中心となって話が進んでいきますが、後半は日本にとっての『あるべき終戦の形』がキーワードとなります。
作品を通して語られるこの戦争の意義、そして日本という国の在り方。
果たして無条件降伏こそが日本のとるべき道なのか、それ以外の道こそが日本を真の意味での敗戦ではないのか。
ぶっちゃけ俺は戦争なんてしたくもないし、起きてほしくもない。
でも、実際はほんの60年前には日本を滅ぼすだけの戦争が起こったんやよな。
この戦争で日本が得て、失ったものは何なんやろうな。
間違いなく日本人の意識の根底にあるものはばっさり変わったんやろうな。
そして、それはきっと今にも影響を与えたあるんやろうな。
もちろんええ意味でも悪い意味でも。
久しぶりに、まじめに戦争について考えさせられた作品です。
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結局個人は個人でしかなく、そういう意味で言えば浅倉はたしかに人間ではないものになっていたのだろうなぁ。とはいえあっけない最期ではあったので、死に方を選んだ伊507の面々の格好良さが際立った。とちゅう、本を持つ手が震えて、視界が滲んで、それでも文字を追うのがやめられなかった。ただ、終章長いなーーと思った。イエス現代っ子。
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完結。
悲しくも納得のゆく「伊507」の最期。
(朝倉大佐の末期のあっけなさは残念だけれど)
散り逝く男達の勇姿。
哀しさの滲む戦後ニッポンの平和。
良くも悪くも“現代っ子”に育ったヒロインの子や孫の描写に、一気に現実に引き戻されつつ、そんな現実世界に生きる者にも未来への希望を抱かせてくれるラスト…。
ここまでの長編をこんなにも短期間で読ませられてしまう、福井ワールドの魅力を再確認。
★4つ、9ポイント半。
2014.10.31.了。
“平和ぼけ”日本への警鐘に満ちた終章は、全作品を通しての、筆者から読者へのメッセージなのだろうな。
「人類資金」にも通じる筆者の危機感が伝わってきた。
※文庫「人類資金7」の刊行は、いつになるのだろうか……。「2014初夏発売」のはずだったのが、もうすでに「晩秋」なのだけれど(苦笑)。
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ローレライはあなたが望む終戦の為には歌わない
昭和20年。敗戦色の濃くなる日本に、崩壊したドイツから戦利戦艦・イ507がもたらされた。このイ507には世界の戦争を覆す秘密兵器があり、世界がこの戦艦を狙っていた。
巨大な力を持つイ507をめぐる争いは、それぞれの国家の「あるべき形の終戦」を目指す戦いとなる。手に入れた日本軍は- というお話。
か、かっこいい・・・
福井作品は「亡国のイージス」に続いて第二弾。もともと映画化の話が先にあり、その為に書かれた原作。それゆえにちょっとSFチック。
SFというか、なんていうか。潜水艦に女の子は、ないよね・・・。至るところに映画化に向けたご都合主義とサービスがあるのでそれだけが難点。それを除いたところは最高に面白いんだけど。
最初に言っておくと、歴史ものではないです。過去の「戦争」の事実のみを使用したフィクション。それを踏まえておかないと結構肩透かしを食らいます。
最初、「ローレライ」とか「彼女が歌っている」とか書いてあるのを見て、「あぁ、艦長はお父さんで副長がお母さんで潜水艦は彼女って言われてるしね。歌ってるってのは稼動音かな」と思ってたわけで。 いや~、まさか文面どおりだったとはね。上記以外のところは最高に良かっただけにガックリなのですわ。
イ507を取り巻く人々の思惑や裏切り、そして動機。登場人物が魅力的なのは脇役に至るまで、人物の描写が細かいから。まるで自分がイ507に乗船してるかのような錯覚に陥ります。
物語初期の乗組員が集まってくるところ、それと終盤の船から見上げた空の青さ。この2点の風景はハッキリとイメージできるくらい。あの状況で見上げた空の青さ、というものが読んでいるこちらにも感じられます。
海風の吹く中、太陽が眩しいくらいのスコーンと抜けた、悲しいくらいの青空だったんだろうなぁ。暑さは感じないんだけど。
映画版ではヘイリーが「モーツァルトの子守唄」を歌っているらしいけれど、これはピッタリ。
映画版では物足りなかった方、原作をオススメしますぞ。
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読みきった達成感と、ついに、終わってしまった、寂しい気持ちが半々にある。
ゴーストフリートとの戦闘、第三の原子爆弾を載せた、B-29の撃墜と、やはり、本巻も読む側の気持ちを高ぶらせてくれる場面が多くある。
その一方で、水泡に帰した浅倉の陰謀、呆気ない最期を迎えた浅倉に、力に取り憑かれた者の虚しさも感じた。
戦争を題材にした作品であるにかかわらず、この作品は、本当に色々な感情を抱かせてくれる。
このような作品を読めたことに対して、深く感謝したい。
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手に汗握る戦闘シーンは具体的に書き込まれ、いちど読み始めたら止まりません。ただ、潜水艦の主砲でB29を撃墜するシーンなど、大事なところで「おいおい」と思う所もありますが。
征人とパウラの掛け合いはラノベ的で、全体的な物語の雰囲気から少し浮いています。よく言えば、史実を思わせる程の緊張感の狭間に差し込まれた清涼剤。エンタメ小説として支持される理由のひとつでしょう。
戦後60年程を駆け足で振り返る終章を蛇足と捉える意見もあります。しかし、終章によって本書は他の戦記物、SF、エンタメ小説と性質を異にしたと思います。
わたしのような21世紀になって成人した人間は、戦後史を現在の視点から遡って見ざるを得ません。つまり、今の価値観を少しずつ過去に向かってずらしていくことで、戦後史を想像可能なものにしているということです。しかし、過去へと遡る中である時1945年8月に行き当たります。それは、明らかな断絶との出会いです。
この断絶または差異をいかに理解するか。おそらく、戦後の価値観に染まった者がいまの立ち位置からいくら観察しても理解できないものだと思います。
したがって、征人やパウラのような戦中世代の生を疑似体験することで、戦後社会を戦前戦中から逆照射する必要があります。すると、社会人として勤め、結婚し、子をなし、家を建て、老いる。これらのことが全て特別な経験になっていることに気付かされます。忘れ得ぬ死者への思い、価値観の激変に対する違和感など、背負い込んだ重い荷を降ろすことができないままに。
その上でもう一度現在の視座から戦後を見渡してみましょう。戦後および今の自分の立ち位置に対し、評価の変化はないでしょうか。こんな問題提起を終章がしたのだと思います。
そして最後に、温子かわいい。
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いよいよ壮大な物語も終幕。潜水艦伊507が決死の覚悟で敵艦隊の中の突破を試みるあたりは、映画化されたシーンが目に浮かぶようであり、作者の描出力はすごいと思わされる。ぜひ映画化された作品も見てみたいと思うのだが、映画の評判がいまいちなのが残念なところ。
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10月は、ローレライにほぼ費やされたなあ。とりあえず、10月中に読み終えられてよかったです。どんなピンチになってもクールな絹見艦長、田口やフリッツ、時岡医、熱いカッコ良い男たちがたくさん出てきて、半年分くらい泣きました。
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潜水艦、一度は乗ってみたいな。
海水浴とかで素潜りして海底にとどまると、さっきまでうるさい位に聞こえていた海
水浴場で遊ぶ人達の声が遠くなり
海面を見上げると陽の光がその静かさと調和する。小さい頃から好きな光景。
陸上には余計な音が溢れていて、その中から何か重要な声を聴き取るのは難しいけ
ど、海の中なら聴けそうな気がする。
パウラの感覚には遠く及ばないけど。
戦争ってものに良いものはないけれど、戦争や災害のように抗うことのできない強大なものに対峙した時にこそ出る人間の優しさは本当に良いものだ。
現代社会は物質的に豊かになったからなのか、『政府が、誰かが助けてくれる』的な根拠の無い安心感が奥底にあるのか、危機感が薄い。災害や時には犯罪に出会っても優しさを発動させる初動が遅い気がする。
テロや戦争を推奨する気はないけれど、一度助けの無い絶望を体験することも現代人には必要では・・・
・・・この点は浅倉大佐と近い考えになるのかな?
この小説を読む前に呼んだ全く別の小説で『椰子の実』の詩の一部を合言葉として扱うシーンがあった。
敵国に敵国人として潜伏して敵国人のまま死ぬこともあるスパイが『名も知らぬ遠き島より流れ寄る椰子の実一つ』と聞かれた答えは次の節の『故郷の岸を離れて汝はそも波に幾月』ではなく最後の節の『いずれの日にか故国に帰らん』。
『終戦のローレライ』はこの詩から始まる。何か運命的なものもあるかも知れないけど、それよりもこんな素敵な詩が日本にはあったことを知れたことが嬉しかった。(知らなかったのが恥ずかしい?)
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潜水艦「伊507」の圧倒的な海戦。
そして、終戦。
日本を、そして真摯な自分を守るために、彼らはどう戦ったのか。
そして、彼らの遺志を受け継ぐ征人とパウラはどう生きていくのか。
その筆量に圧倒された本作であった。
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最終巻に期待してはいけないと云う話も聞いていたけど、私には最後まで結構面白かった。なるほど、こういう形で終わらせるのねって感心。今月、WOWOWで映画やってくれる予定なので、どんな感じで脚色されているのか見るのも楽しみ
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第5章と終章を収めた完結編。
自分が生きる意味、役割とは何だろうかと考えさせられる作品。いろいろあると文句も言いたくなるが、やはり大切なのは行動力。いつの時代も人はそこに魅かれるのかなと思う。ただがむしゃらに前を向いて自分の役割を全うする。簡単なように思えるが、かなり難しい。なんだかんだ理由をつけて途中で投げ出してしまうことも多い。
あらかじめ死地に赴くことが分かっていながら、どのような矜持をもって任務を全うしたか。そこで繰り広げられる人間ドラマに熱くなる。自分は何を信じ、どう生きるか、今の時代だからこそ今一度目を向けたいものである。