紙の本
大作家の可愛らしさと悲しさ
2001/11/20 18:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きんぴら - この投稿者のレビュー一覧を見る
大の大人が泣くのだ。それも猫が帰ってこないといって、風呂にも入らず食事も取らず、泣き暮らすのだ。
もともとノラは作者の庭に遊びに来た野良猫の子供だった。いつか懐いてしまった猫だった。ノラは風呂桶の上で眠る。寿司が好き。些細なことまで覚えており、いつか消えてしまった後、思い出しては涙する。何だ猫くらいと思っていても思わず共感し、目頭が熱くなるのは何故だろう。猫を飼った事のある人も無い人も、作者が必死に猫の行方を捜す様を見て、笑えはしないだろう。新しい猫との出会い、別れ。悲しみや、その悲しみを忘れる時の恐怖。文壇で恐れられていた内田百間の意外な一面がかいま見える作品である。
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とりわけ猫好きでもなかった百?宅の庭に、ある日子猫が住み付くようになる。野良猫なのでノラと名づけて飼い始めるが、1年半を過ぎた頃、ふらりと外に出たまま帰らなくなる。
それ以来、ノラが寝ていた風呂の蓋の座布団に頭を付けては涙。「いい子だいい子だノラちゃんは」と妻に抱かれて合点のいかぬ顔をしていた姿を思い出しては涙々。雨風の強い日には「寒くないだろうか」と思い煩いさらに涙。延々と泣き続け、帰らぬノラを待ち詫びる日々を綴った日記。
読み始めの頃は百?に共感し思わずもらい泣きしてしまったが、あまりにいつまでも泣き続けているので段々と滑稽になってくる。嘆きっぷりが尋常ではない。これは今流行のペットロスだろう。当時百?は七十歳近かったらしいから、初老性の鬱もあったのかもしれない。
晩餐の席が寂しいと弟子や友人を呼びつけ、その前で滂沱し続けたり、新聞やラジオやさらには警察にまで捜索願を出す百?に、周りはほとほと困ったことだろうと思う。
その騒動の渦中にある本人が、混乱したままの気持ちを赤裸々に綴っている。ちょっと辟易するところもあるが、ストレートな感情描写が素晴らしく、ついつい読んでしまう。図らずも、百?の代表作になってしまった作品。(04.9.30記)。
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失われたノラを求めて、来る日も来る日も泣いている。ご飯も喉を通らない。読んでいて著者が心配になってくるくらい、いつも泣いている。
この本のせいで猫好きなイメージが強い内田先生ですが、本来は鳥好きなんだそうです。
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愛すべき頑固な老人と猫の話。
できれば百?先生のほかのエッセイをいくつか読了後し、心に「百?先生像」を作り上げてから読んでいただきたいと思う。
旧仮名に抵抗のない方には、中公文庫版をお勧め。そうでない方はちくま版でどうぞ。
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ノラやノラやといなくなった猫を想って泣く百?先生が可愛すぎる。読んでるこっちも胸がきゅうっと切なくなります。ノラとクルツの描写がすごく好き。
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猫嫌いの老人が愛猫家になる様がとても愛しい。
猫が失踪した後の狼狽振り、必死の祈り、いつまでたっても消えることのない喪失感には涙涙。
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雑記:田園。本屋。
http://ameblo.jp/pippu-t-takenoki/entry-10002899689.html
雑記:昼休み。訪問者。一服。
http://ameblo.jp/pippu-t-takenoki/entry-10002859255.html
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突然家出した猫を待ちわびる気持ちを、淡々とした日記のような文章の中で吐露した本。これは小説なのか…?猫を愛する者として、共感せざるを得ない一冊。
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いやぁ、もう、切ないのに何故かふふっと笑ってしまう傑作。いなくなった猫をひたすら待ってみる。探してみる。泣いてみる。そんなお話。
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猫好きは読めばわかる。猫好きじゃなくても動物好きなら多分わかるこの気持ち。そして猫を想って泣き続ける百間〈※正しくはもんがまえの中に月〉老の愛らしさよ。胸キュンものですぞ。
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野良猫「ノラ」の活き活きとした描写が印象的。表現の端々に、抑えきれない愛情がにじみ出ている。愛猫を失ったときの内田翁の悲嘆と、ある現代の作家の姿が重なった。「へッケ」を失った時の町田康である。彼の怪著『猫にかまけて』の原点がここにあったことを発見。
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内田百?を大好きになってしまった一冊。花火が上がるたびにノラが家に向かって帰ってくる!あのシーンはすごく響くよ。
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延々とノラを探し求める百鬼園氏の切実な姿が堪らない。「今日もまたノラが帰らない」「ノラやノラや」など、単純な言葉なのにその様子がありありと浮かぶ。
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猫好きなら読むべし。
突然消えた野良猫ノラが、とにかく大好きで、忘れられない!
何とか探し出そうと毎日奮闘する百?先生。延々と猫への思いを綴っています。
何てかわいいのだ。実は人間は猫に飼われているんだよ。
クルツが死ぬ場面は、涙無しに読めない。
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ノラやクルツをなくした百鬼園先生が痛々しく、哀しい。
でもそのお気持ちは猫好きとしてようく解ります。