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テクノリテラシーとは何か 巨大事故を読む技術 みんなのレビュー

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紙の本

巨大事故から何を読み取るか。別角度から見た「失敗学」

2005/04/10 12:35

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みち秋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

私たちは高度な科学技術を手中にし、多種多様な人工物を作り上げてきた。結果私たちの生活は豊で快適なものになった。
しかし等身大であった技術が急速な発展を遂げ科学技術の負の部分が顕在化されてきた。原発事故、薬害禍、自動車事故、六本木ヒルズの自動回転ドァ事故などはその象徴である。
このように人工物は絶対安全であるというものはなく、事故及びトラブルから貴重な教訓を得て、そこからテクノロジーを学ぶ「テクノリテラシー」が必要になってきた。
以前は事故については人間工学(人間の行動特性、システム設計、リスク論)のみで議論されていたが、01年ごろから「失敗学」ブームになり、畑村洋太郎先生の「失敗学のすすめ」がブームを更に加速させた。畑村先生の考え方はやや技術論、方法論に偏重気味であるが基本的には失敗を隠さず、失敗の情報を公開して失敗の再発防止で、成功へ導くと言うことである。本書は従来の「失敗学」と視点をやや異にしており、事故の因果関係を技術、人、だけでなく社会制度も含めて広い視野で考えようとしている。
本書はエンジニアと事故の関りについて色々言及しているが、その骨子は「エンジニアの傲慢が社会からの批判を浴びるようになり、科学技術と社会との距離が近かずき、エンジニアの社会的責任が問われるようになった。安全問題はユーザーの自己責任に任せるのではなく、「人に迷惑をかけない」と言う哲学と倫理感覚で社会的責任を果たすことが大切である」。と考える。
本書は人工物のライフサイクルに従って多様な側面を含んだ事故のうち特徴的な部分を取上げテクノロジーの基本的な考え方と、それぞれに対応した社会制度の意味を探ろうとしている。
・・・研究開発と事故調査のあり方(コメットの空中分解事故)。認識的、倫理的問題の考察(サリドマイド薬害禍)。 他に製造物責任法の意義、ヒューマンファクターの問題、施工・維持管理問題、メンテナンスに関する組織問題、などなど。各事例で取上げている。
各章の事例は技術に偏らず、工学倫理、法工学的に分析すると共に、人工物の信頼性はテクノロジーだけでは限界があり、組織、制度で補完していることが見出せる。
本書の論点は専門家には自明のことで物足りなさを感じるが、人工物事故を読む為の視点を明示して、テクノロジーの全体像を考えるには参考になると思う。設計・生産思想とヒューマンファクターの一元的な原因追及でなく、事故の特質に合った事故原因を洗い出して、的確な指摘がされており多いに参考になると思う。データーの出典先も明示され、信憑性も高く、著者がよく調べ上げて勉強していることが解る。
今日の人工物は複雑性になり多数の要素から成り立ち、人間が作り出したものにも拘らず、「ブラックボックス化」して、製造した当事者も予想できない事故に私たちは今日遭遇するかも知れない。
このように科学技術が人々の生活を支配するようになった現代においては、エンジニアは守るべき社会的責任を果たし、複雑系人工物で事故が発生した場合、原因を明確に特定できて、再発防止する技術を身につける必要がある。
そして使う側の私たちは「人間は常に一部分しか見ることができず、全てを見通すことは不可能であり、絶対安全であるものはこの世の中にない」と言うことを心に留めておきながら、人工物に拘わっていくことが肝要である。

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紙の本

JR西日本は大丈夫か

2005/05/26 23:45

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:k-kana - この投稿者のレビュー一覧を見る

「テクノリテラシー」とは著者の造語のようである。既存の技術を深く知ると同時に、新しい技術を取り入れること、そしてそれに関わる制度の意味を知ること。すなわちテクノロジーの読み書き——これを「テクノリテラシー」と呼んでいる。著者は、このテクノリテラシーが、現代社会を生きる我々にとって必須のテーマであると主張している。
JR福知山線の事故を見るとき、このテクノリテラシーの必要性を強く再認識する。
六本木ヒルズでの回転扉のトラブルのように、いったん深刻な事故が発生すると、製品を支えている基本的なテクノロジーが再点検され、同時にそれと対応する制度が見直される。回転扉のセンサーによる検出範囲や安全基準の問題などである。本書では、多様な側面を含んだ事故を取り上げている。事故を貴重な教訓として、そこからテクノリテラシーを学ぶことが必要だという立場だ。
製品あるいはシステム——本書では人工物と言っている——を作るうえでエンジニアの果たす役割は大きい。製品の設計は、さまざまな部品を組み合わせることである。自動車は3万点の部品から成り立つという。組合せに基づく複雑性の問題がつねにつきまとう。そのために思わぬ副作用が製品やシステムにエラーをもたらすのだ。
エンジニアは局所的な最適化はできるにしても、全体的な最適化はできない。複雑な部品を統合し、さらにヒューマンインターフェイスまでを含めて、すべてに配慮して製品を設計することはできないはずだ。その結果、事故やトラブルが起こる。事故を防ぎ安全を確保するためには、いままでの事故事例を分析し、その原因が複雑な因果関係にあることを認識した上で、テクノロジーの追及だけではなく、社会のデザインがどうあるべきか——社会制度の問題——としてとらえなければいけない。
本書では、コメット空中分解事故(事故調査と新規開発の問題)やスリーマイル島原発事故(ヒューマンファクターの問題)など7つを取り上げている。
情報システムとしては、みずほ銀行のシステムトラブルを挙げている。情報システム開発の課題としては、顧客がエンジニアに対して要求を明示化して伝えることの難しさ、もうひとつは、情報システムの設計と構築という問題があるだろう。
大規模なシステムにおいてはバグ(プログラムの欠陥)をなくせないために、問題を潜在させることになる。だからソフトウェア製品では、製造の管理よりも設計の管理が大きな問題となる。一方で、ソフトウェア工学が、まだ成熟した工学になっていないという証左だ。たたえば、家の建築に代表されるように、欠陥の発見が容易で対処法も確立されているというのが、成熟した工学の姿である。
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