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"弱い絆の強さ"
ある人のネットワークを多様で豊かにしているのは弱い絆である。AとBが社会的に関係が強い場合、彼らの周囲も共通の友人であることが多い。(部活のつながり)。AとCは1回の面識しかなく年に1度連絡を取り合う程度だが、Cの周囲の友人とAは社会的繋がりを持たない。よって、Cとの繋がりがAにとって普段は交流しない世界の人々との架け橋になっている。(1人のITギークと繋がることでITという普段はあまり触れない世界の情報を得ることが出来る)
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まあ、本自体は、悪くないし、ブキャナンの書き口も好きなので良い本。でも、だいたい知ってることなので、今読むと古いかな。
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誰もが6次の隔たりで繋がっている。この内容から始まるスモールワールドの世界。私たちが関わっている世界は想像以上にスモールワールドであり、それを形成するネットワークはインターネットも、食物連鎖、河川水系や言語も、ありとあらゆるものが、みな同じなのである。それならば、このネットワーク科学を理解し活用しなければ、目にしている結果をもたらした原因はわからないのである。
従来の自然科学の研究は還元主義であった。しかしこの手法は限界がきている。個々の要素の和や積が、それら要素が集まってできた組織全体のパターンを示すわけではない。よって相互作用からなる系をネットワークとみることで、現代科学のアプローチが可能になってくると著者は語っている。
どの学問にもそうであるが、従来の研究手法に行き詰まりがあり、それをブレイクスルーする方向に動いているのを散見する。これらは今のところ点ではあるが、そのうち点になり、これもやはりネットワーク科学となっていくのであろう。
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10年ほど前の本(2005年 日本で初版).350ページでそこそこ分厚い科学読み物ですが,内容は少し冗長だったので少なくとも 2/3程度には圧縮できたのではないかと感じた.読みやすいのでスルスルとは読み進められます.
2000年前後あたりからの複雑系→複雑ネットワークあたりの数年間の発展を中心にもう少し遡って歴史を紐解いた内容.
骨子は,規則的なネットワークに僅かなランダムを交えたワッツとストロガッツのスモールワールドモデルの話と,バラバシ・アルバートの次数優先接続によるノード追加成長モデルのスケールフリーモデルへの発展までの経緯.
同時期の様々なネットワーク評価実験結果をうまく説明するためにこれらのモデルが生み出されていった背景とともに記述されていました.
様々な事例で複雑ネットワーク的なアプローチや概念が必要となる幅の広さは感じられました.最近の展開や数理的な裏付けについては先日読んだ「自己組織化する複雑ネットワーク(林)」の方で補完できそう.
筆者の予想として,BAのスケールフリーモデルで成長し始めたネットワークはやがてノードが取りうる次数上限に達してきた段階で,WSのスモールワールドモデル(ハブが弱くなる)に近づくのではないか?という予想が印象的でした.
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小さな傾向が集めると結局は大きなトレンドになったりすることは驚いた。自分が少数派になりたくないをみんながやると、結局は白と黒とが混ざり合わず別々の塊になるという
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"脳のシナプスのつながり、コンピュータネットワーク、電力網、人脈など一見なんのつながりも法則もなさそうなつながりにはパターンがあるという話。
物理学、医学、生物学、社会学、経済学など様々な分野に共通したものだという。
世界中のだれかとつながるには、どんな人でも最大6人の紹介でつながることができるという。そんな不思議を俳優業界の中で、ケビン・ベーコンさんにつながる人数で検証している。ネットワークの不思議を理解することは、現在の生活でなんかしらの役に立つ。本書に登場した人物の著書を読み広げたい。"
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統計が現実世界を近似する学問であることはよく知られているが、
本書で語られる範囲のネットワーク科学の目的とするところも同様に、
現実にある無数の接続からパターンを見出しモデル化し、理論と実在の結合点を探し出す。
例えばよく聞いた話、6人たどれば世界中の誰にでもたどり着けるというスモールワールド・ネットワーク。
これを実現するためには、全ノードを互いに接続させる必要はない。
ハブを必要とする貴族的なネットワークでも、そうでないランダムなネットワークでも、高度にクラスタ化されたネットワークでも、
遠方へとたどり着くための少数のランダムな長距離リンクさえあれば、スモールワールド・ネットワークは実現できる。
そしてそのようなネットワークは人の繋がり以外でも自然界に多数存在する。
脳の細胞で、電力網で、インターネットで、食物連鎖で。
たとえそうなろうという意図がなくとも、『偶然の科学』により、富めるものはますます富み、多くのノードを従える結節点となり、べき乗則で表現可能なフラクタルなネットワークは自然発生する。
ではこのネットワークの限界はどこかにあるのだろうか。
例えば現実の経済においては、富めるものは世代交代するのみで、大多数の貧しいノードはその役割を超えることはできないが、
貴族的なネットワークモデルにおいては、ハブの接続数に臨界点さえ存在すれば、平等なネットワークへと近づけることはできる。
例えば感染症の蔓延に対しては、拡大のハブとなる人、場所、移動経路を重点的に検疫できれば、生物災害を未然に防ぐことができる。
単一の水分子の働きを素粒子レベルで解明したとしても川の流れを理解することはできないように、
経営者の経験談に感銘し、どれだけその成功の秘訣を聞いたところで、経済を理解することはできない。
完全には理解不可能な現実の複雑性の中で、わずかでも勝率をあげるため、人は近似というツールを用いて学ぶのだ。
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【要約】
・
【ノート】
・バラバシ本の分かりやすい版らしい。ブキャナンは「歴史は『べき乗則』で動く」の著者やんか。
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カオスでネットワークをつくれば、おもしろいことになるのがわかった。インターネットはリンクを貼るのにコストがないぶん、一極集中しやすいことがわかった。
ネットワークの科学っていうよりは、ネットワークを通した社会科学っていった面がつよい気がするけど、Factなことものってて勉強になった。
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個人的にはネットワーク科学には触れたことが無かったので非常に勉強になった。 スモールワールドの特徴として、裾が広いべき乗則の曲線を表すというのは直感的に当然のような気もするが、無秩序と思われたあらゆるジャンルの複雑系に共通点が見られるとの指摘は非常に斬新。社会・経済・神経系・生化学・生態系などで例が挙げられているが、宇宙の大規模構造やダークマターの分布などにも同様の共通点が見られるような気がし、量子のゆらぎなどに起源があるかもしれないと思うと今後の発見に期待が膨らむ。
ティッピングポイントの考え方についても興味深い。個々の詳細は全体の結果に大した影響を及ばさないモデルを考えると、相転移や経済、歴史までも共通した何かがあるように思えてしまう。 それこそ物質と反物質の存続の運命を分けた背景や、真空の相転移にも共通しているかもしれない。
簡単な条件を入れて観察したランダムなプログラムが思いのほか複雑なバリエーションを持つライフゲームの事例は、まさにこのスモールワールドの逆からのアプローチではないかと感じた。最初の生命の誕生も相転移のような要素が絡んでいるからこそ難問なのかもしれない
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弱い繋がりが世界を繋ぐ、まぁ、さもありなん。という感じ。閉じた濃密な世界だけでなく、物事を解決するには外に出ていかなくては、というのは納得。人は知らないことを知らないのだから。
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複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線
(和書)2010年12月09日 15:32
2005 草思社 マーク・ブキャナン, 阪本 芳久
柄谷行人さんの朝日新聞の書評でチェックしていた本です。
面白い見方だなって思いました。
様々な領域でそれを見ることができて、物理学の世界観も変わるかもしれないというのも面白かった。
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長く積読にしてしまっていたが読了。
類書をいろいろ読んだがほとんどここに書いてあった。
ネットワーク科学はこれから絶対流行るのでもっと良い啓蒙書が出る可能性が高い(SNSを含めたりCOVID-19を含めたり)がかなり良い入門だと思う。
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今年ベスト。2005と古いが複雑系とネットワーク科学の醍醐味を、6次の隔たり、スモールワールド、神経、ウェブ、自然、生態系、行動科学、感染症、社会資本までたっぷり味わえる。おすすめ。
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私たちは、配線された。
同じ論点が繰り返される。それだけ本著に取って重要な軸だという事だろう。お陰でよく分かる。「服従の実験」で有名なスタンレー・ミルグラムを引用した解説が何度も登場する。ミルグラムには他にも重要な論文がある。これが本著のポイントとなる「6次の隔たり」だ。
ー 世界中の人間は、「知り合いの知り合い」といった関係をたどっていくと、5人の仲介者を経て、6人目で全てがつながる。
こうしたネットワークの効率性は、普遍的な仕組みでもある。コンピューターネットワークや神経系、企業組織、ニューロン等の接続パターンであり、緊密につながっているがゆえの利点がある。また、そこにはコネクターとして機能する存在があるが、こうしたクラスター同士をつなぐためには、弱い絆も重要である。毎日会うような友達、家族のようなクラスターではなく、それら外部と繋げる役割が重要だ。
面白い!確かに、個々の分業を繋げる仕組みには「最適性」の答えがあるべきで、世の中のネットワーク構造は、既にそれに近い法則が取られている。脳内のニューロンネットワークも例外ではない。この「最適性」を解説するのに分かりやすい例がある。
ー 1964年のアメリカにおける電話網等の期間通信システムは、中央集中型のシステムであり、電話ネットワークは極めて脆弱。わずか数箇所の重要な制御中数を攻撃するだけで、ネットワーク全体を機能停止状態に追い込むことができた。この問題を回避するために、バランが考えたのは、分散型ネットワークと呼んだ方式。同様に、マサチューセッツ工科大学のコンピュータ科学者、レナードクラインロック、イギリスの国立物理学研究所の物理学者、ドナルドデイビスもそれぞれ独自に同じような仕組みを考えた。アーパネットと呼ばれ、当初はカルフォルニア大学、ユタ大学のコンピューターで構成されたこれがインターネットの起源である。
リスク回避と即応性、優先的役割の設定と分散。
拡散律速凝集法、べナール対流、粒子のランダムウォークのような自然界の原理。個として生まれながら、既にその原理の中にいるという事を自覚し、その意味を手掛かりに、人間とは何かを改めて考える。私はニューロン回路をもつ、一つのネットワークの構成要素である。