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[ 内容 ]
明治日本には、民主主義の思想と運動の豊かな蓄積があった。
「主権在民」論と「議院内閣制」論の間のせめぎあいの中で、それはどう深まり、挫折していったのか。
また後の時代に何を遺したのか。
福沢諭吉、植木枝盛、中江兆民、徳富蘇峰、北一輝、美濃部達吉らの議論を読み解きながら、日本の現在の姿をも照らし出す刺激的な歴史叙述。
[ 目次 ]
第1章 士族と農民の結合
第2章 参加か抵抗か
第3章 分裂と挫折
第4章 束の間の復活―大同団結運動
第5章 「官民調和」―明治憲法体制の定着
第6章 継承と発展―「大正デモクラシー」へ
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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本書は、明治における歴史的過程を「政治システム」という側面から捉えなおし、しかも日本の近代史を「上からの枠組み」ではなく、「下からのデモクラシー」という枠組みで理解するというという、歴史書としてはあまり見たことがない視点から展開している。
「大同団結運動」や「明治憲法体制の定着」「大正デモクラシー」、すべて当時の政治運動についての考察は相当この時代についての知識がないと歯が立たないほど緻密・精密としかいいようがない。
それでも、本書を読み続けることができた理由は、「第一に、日本人は二大政党制が嫌いなのではないだろうか。戦前日本で1925年から31年までの7年間、二大政党制は実現されたが、この7年間以外の約120年間、それは一度も実現していないのである」という本書の一節に衝撃を受けたからである。
本書を読んで、2009年に発足した民主党政権がわずか3年3ヶ月で崩壊した理由は、「鳩山由紀夫」の不用意な対米対応や「管直人」の特異なキャラクターにあるのではなく、日本人が意識せずに持っている「国民文化」やそれに規定された「政治システム」自身の内側にあったのではないかと驚きとともに思いついた。
しかし、本書は当時の「政治運動」だけでなく、その裏打ちたる「政治思想」や「人的評価」までも総合的というか、じつに立体的に考察している。
その内容はあまりにも専門的というか緻密であり、読んでも巨大なモニュメントの前で呆然とたたずむように圧倒されるばかりであるが、現在の日本の政治を考える上で、「明治日本」の歴史考察が生きてくるという視点に興奮する思いを持った。
本書は、日本という国家がもつ独特かつ特殊な歴史を解析した凄い本であると高く評価したい。
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デモクラシーと聞けば、大正時代に移入された欧米からの政治思想と思われがちだが、本書ではその始点を明治時代の自由民権運動からに求めていく。
1925年の普通選挙法によって人民に代表民主制への道が開かれたが、それは政府によって用意された「上からの改革」にすぎなかった。本書はそのような従来の歴史の教科書的なデモクラシーの定義に疑義を唱え、民主化が明治の言論人や地方の農民層の活動による「下からの努力」によって要求されていく過程を追っている。
「主権在民論」や「議院内閣制」。いまではあたりまえの政治ステムも明治の世にすでに主張されていたが、それは地方の政治結社の足並みが揃わなかったことや、急進野党が与党に据えられる(民権活動家たちを大赦してポストを与える)ことで、また天皇君主制を明記した憲法発布によって挫折していった。
福沢諭吉や徳富蘇峰が唱える「二大政党制」は退けられ、フランスのルソーに感化された植木枝盛や中江兆民らの社会主義も頓挫し、結果として板垣退助の求める「官民調和」体制が作動していく。「官民調和体制」とは、保守勢力で固めた軍部や官僚、貴族院と、一つの巨大政党による衆議院とが利害を調整しながら、安定した国政を布いていくシステムであるが、これはのちに自民党が族議員や官僚とねんごろになりつつ政治を動かす現今のシステムの礎となっていく。「官民調和体制」によって、明治のデモクラシーは挫折したというのが本書の骨子である。
このような政界の勢力図、離合集散は目新しいものではない。民意を得て政権奪取した野党が連立内閣によって、各党首の主張の齟齬によって瓦解していくさまをすでに何度も現代人は体験している。
まさに政治は、歴史はくりかえす、ということか。
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聞きなれない言葉ですよね。
というか、教科書には乗っていませんもの。
時代を変えようとした人たちが数多く出てきますが
結局のところ言えば
本当に歴史は繰り返すのですよ。
よいことも悪いこともね!!
だからこの本を読み終えたときに
ああ、せっかくの流れを
結局はさえぎってしまったのか
と思ってしまったのですよ。
まだ悪いことを悪いこと言えるのは
すごいことなんですよね。
でも…
文中には教科書でも名前を
見たことがある人たちが数多く出てきます。
だけれども、かのお札の人の思想も
社会主義を夢見た者たちも
生まれてくるには「早すぎました」
えてしてその考えは、駆逐される。
残酷ですね。