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トレイシー・ローズ 15歳の少女が、いかにして一夜のうちにポルノスターになったのか? みんなのレビュー
- トレイシー・ローズ (著), 野澤 敦子 (訳)
- 税込価格:1,760円(16pt)
- 出版社:WAVE出版
- 発行年月:2005.4
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紙の本
痛々しい青春の記録ー搾取する大人たちの醜さ
2005/06/16 20:04
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:甲斐小泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
15才の少女がいかにしてポルノスターになったのかというコピーを読むと、大変にスキャンダラスなキワモノだと思われるが、読んでみると、痛々しい出来事が多数語られていて、アメリカ(恐らく日本でも他国でも)でいかに無知につけこまれて少女達が性的に搾取されて行き、心にも深い傷を負うかが生々しく描かれている。
白人の貧困層の生まれのノーラ(これが彼女の本名)は暴力亭主である父親と、それから逃れるように男性遍歴を繰り返す母親の間に4人姉妹の二女として生まれた。自分では意識せずとも、異性の目を惹きつけずにはおかない容貌をしている彼女は心的なぬくもりを求めて付き合っていた年上の少年から僅か10才でレイプされる。父親から性に対する罪悪感を植え付けられていた事もあって、彼女はその時点で自分を「売女」だと思いこむ。
その後、母と一緒になった継父を若干の疑念を抱きつつ、昼間の顔を見て信頼のおける人間だと思って、15才で妊娠したことを相談すると、こいつがとんでもない食わせ物で(寝ている著者に性的ないたずらも試みていた)、彼女をポルノスターへの道を駆け上がらせるようにし向けた。合間には彼女を陥れて、自分の懐を暖めようとする人間が多数出没する。朱に交われば赤くなるという言葉通り、まだティーンエイジャーだというのに、彼女は麻薬の売人との出会いも恐れなければ、おかしな男をヒモにするような羽目に陥り、稼いだ金は右から左へ消えて行く転落の時期を過ごす。
本当はやりたくない、イヤダという気持ちを打ち消すためにドラッグやアルコール、セックスの依存症状態で20本の映画に出演するが、やっとポルノから足を洗おうという時にFBIの捜査が入り、児童ポルノの被害者であるにもかかわらずマスコミの格好の餌食になり、更に傷つけられる。
後半は彼女がセラピーを受けたり、山ほどの中傷や先入観のために辛い思いをする中、薬物に立ち返る事もなく、演劇の勉強をしたり、自らの努力で立ち直り、映画や音楽の世界で活躍する姿を写真も添えて描いているが、こういう風に己を語れる強さを持たずに沈んでいく少女達が世界中にどれほどいるのだろうかと思う。
レイプされた女性達は「自分にも落ち度があった」と思い、親や周囲から虐待されていた人間は「自分が悪かったから」とこれも自らを責めるというが、彼女もそう思い込む。そこにつけこむようにして周囲の人間のほとんどが彼女を救うどころか、つつき回して金儲けの道具にして行く。これが今日も世界のどこかで日常的に繰り返されているのだと思うと、本当に嘆かわしいとしか言いようがないのだが・・・。
悲惨な青春の物語だが、淡々とした語り口から、今は不幸な時代を過去のものとして決別出来ている事が分かるのが幸い。さらに幸せな結婚生活を送り、今は少女達を守る側に回ろうとしている結びを読むとホッとする。
彼女自身が「自分が語る事で、ポルノからスターになれると思われるのがコワイ」と言っているが、欲を言えば、同時に「薬物依存からも簡単に立ち直れるという勘違いをしないように」と一言書いておいて欲しかったと思う。
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