紙の本
なかなか……
2007/09/24 10:38
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぶにゃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつのことだったか、珍しい名前だなと、本屋でぱらぱらと乙一の本をめくったことがある。題名はおぼえていない。その時はさほど興味を感ずることなく本を棚に戻した。数年経って、この珍しい名前を持つ作家の文庫本が本屋の棚に目立つようになり、現在若者を中心に人気のある作家だということがわかってきた。
僕はスプラッタは嫌いである。牛タンのスモークは好きだし、以前は好んでレバ刺を食べていたが、それらは決して「舌」ではなく「肝臓」でもなく、それらを調理したあくまでも「食物」なのである。映画や小説に描写されるスプラッタ場面から食物としての臓器を連想するのは難しい。
スプラッタがダメなら乙一の「GOTH」は読まないほうがイイよ、と親切にも忠告してくれたのは高二の娘である。「わたしは平気だけど……」。どうやら乙一の作品には黒いのと白いのがあり、この「GOTH」はきわめつけ黒いらしい。
では読んでみよう、と天邪鬼な僕は二分冊の文庫本を買ってきた。つまらなければやめればいい。内臓ばかり飛び散らかすものだから、干涸らびた残骸のような中身のないホラーが生まれる。そんな小説なら読む必要はないだろう。
ということで、読み始めた。やはり、のっけから、解体新書である。殺人鬼にえぐり取られた目や耳が……。しかし、なぜか、そんなに気持ち悪くない。いや、なかなか、どうして、大変ていねいに書かれた文章である。六編の連作短編集。ミステリーだと作者が断っているわりには少し偶然に頼りすぎているところもあるが、それでもなお、読む者を惹き付けて離さない何かがある。この「何か」が大事なところであって、きっと若い読者は若者なりに「何か」を感じ取っているのだろうと思う。
そういえば、夢野久作の「ドグラ・マグラ」や、中井英夫の「幻想博物館」をはじめとする一連の作品群を読み始めたのは高校時代だった。もう30年以上も昔のことであるが、現在の高校生はこういう書物を読むのだろうか。「GOTH」の世界は、かつて愛読した彼らの織りなす妖しい世界と共通するものがある。乙一のこの作品は、決して底の浅いスプラッタでもなければグロテスク小説でもない。たとえば「土」などは究極の純愛小説とも読めるではないか。
ひょっとしたらこの作家、いつしか坂口安吾の凄絶な傑作「夜長姫と耳男」に匹敵する物語を書き上げるかも知れない。
その時が来たら、また読んでみようと思う。
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話自体は、乙一さんらしく(?)グイグイ話に引き込まれるし、「え?そうなの!?」っていい意味で裏切られる。先が読めた話もあったけど・・・。でも、少し謎なんだけど、これって題名「GOTH」って・・・あんまりあってないよね・・・。05/07/06
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基本的に主人公が連続している短編小説。ただし、主人公がいつもストーリーの中心ではない。後の短編にいくほど重要人物として犯人に接触するが、語りは犯人側が中心になっていく。夜の章では副主人公である夜の秘密が明かされることになる。
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乙一です。ちょっと怖い系にシフトしすぎていて絶賛というわけではないが、裏切り方というか意外性のあるストーリー展開は健在。普通の小説書いたらもっと良さそうなのになあ。
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81点
短編の6つの話があって主人公がいろいろな怪奇殺人に関わっていく。
思ったほど面白くなかったけど、全部の話にどんでん返しがあってなるほどーと思った。暗くて、人の心の闇をうつしたありえない設定ばっかりで途中嫌な気持ちになるのもあったけど最期まで読むと意外とすっきり終わる。現実離れしていたので単純にお話として楽しめた。
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本屋でバイトしてたときに良く漫画が売れてたもんだから気になって。若者向けのライトノベルかなーと思って読むと痛い目にあう感じ。
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グロです。常に「死」のテーマが付き纏っています。あっ!と言わせる展開をします。思わず笑っちゃいます。その意味を知るためにも是非読んで下さい。
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GOTH前編です。
毎度乙一さんらしい文体で書かれた、初のミステリー小説。今までの作品にも増して、不気味さが表に出ていて、ちょぃグロイですけど。タイトルが漢字一文字っていうところに妙に敏感に反応してしまいます、 あたしは。
余談だけど、他にPEACE MAKER鐵のタイトルも、漢字一文字ってとこが気に入ってます。
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奇才と謳われた『乙一』の最新文庫本。一度ハードカバーで発売されたが今夏文庫本として2冊に分けられて再発売した。
主人公は一言で言って『変な趣味』だ。人の放つ断末魔や死体、そういうものに強くひきつけられ、そういうものを強く求めている。
同じ『変な趣味』を持つクラスメイトと共に様々な事件に第三者として遠巻きに巻き込まれていく(もしくは自ら巻き込まれに行く)
グロテスクな表現が含まれているにもかかわらず最後まで読みたくなるところはさすが乙一といえる。ただ、『GOTH』『リストカット事件』については私的に目を覆いたくなるような痛い表現がふくまれていた。(でも面白いのだが…。
装丁としてはハードカバーのほうが美しいので金銭的に余裕のある人はそちらのほうがオススメ。
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文章の視点が、乙一らしさなんでしょうね。最後にはちゃんと展開があって終わります。ホラーというほどホラーじゃないような・・・(映像がないから?)
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節回しが読みやすいが、全体的に話が似ている。
「僕の章」より非現実的だが、それがかえって良いと思う。
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なんか。。物足りない。。面白いんだけど。。でも『あとがき』読んでちょっと納得したかも。初めからファンタジー寄りだと思って読めば、印象もかわったかも(プラスに)。
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こっちが上巻だと思う。
最初は不気味なのが夜ちゃん。で、夜ちゃんの於かれた立場なんかの背景が明かされるところで終わる。
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僕の章の続編。・・・どっちが先だか記憶が確かじゃないけど。読み終わったあと背中がぞくっとする感じ。でも面白い。
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僕がいっぱいいてわからなくなりました。もう1度じっくり読みたくなる欲求をうまく利用されたような作品。