紙の本
オタクの美学
2005/06/14 12:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:関東蒲公英 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この巻で5作目となった「先輩とぼく」ですが、今回の影の主役は1作目からお馴染みのあの男、タッキーです。タッキーといってもテレビで大活躍のあのアイドルなどでは断じてなく、オタッキーだからニックネームがタッキーという、現代社会のオタクの極端な部分を濃縮したような味のあるキャラ。この作品をここまで読んで来られた方ならば知らない人など居るはずのない、あの悲惨で素敵なキャラクター。
今回は、そんな彼といつもマニアックな道を極めようと一緒にくっついて遊んでいるロボット、オーラーとの淡い恋愛話とでも言いましょうか、そんな設定を中心にストーリーが進んで行きます。
今回も新キャラが出てきます。凰林学園生徒会長でにこやかな好青年空山総一郎。なんですが、実は裏では「先輩」つばさと並ぶなかなかの策士。彼には彼で、つばさとの幼少期のトラウマ等色々あるらしいのですが、そんな策士の彼がオーラーに恋心を抱いた事でひと騒動に。
学園の文化祭をネタに、とにかくマニアックに、とにかくオタッキーに話は進み、オーラーをかけたタッキーと総一郎の勝負もまた見どころ。
今回のタッキーは今までと、ひと味もふた味も違ってカッコイイ。はずなんですが・・・
ライトノベル史上最低最悪の告白劇が読者に襲いかかってくる第5段。今回も、面白さは折り紙付き。是非読んでみる事をお勧めします。
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家族の愛情を一身に受け、全てから守られ愛されている赤ん坊は、その愛に気が付くことができない。それがあたりまえなのだから。要するに愛していない、愛してくれない人がいるからこそ、愛する人を愛していると認識できるのだ。
(P.33)
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今回の話は文化祭。メイド喫茶やミスコンは勿論のこと、美少女戦隊やら写真館やらいつもどおり暴走しまくる面々。
はじめの厄災とは別にオーラを巡ってタッキーと生徒会長の戦いも勃発。
人工知能のオーラが「みんなのために」から特定の誰かのためにと自覚が変化したことで、つばさの「興味深い世界」が広がったんじゃないかな。
それにしても告白のシーンは最悪だったけれどw
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“「ゆえに、我々が美少女戦隊を組織し風紀を守ろうと思……」
「なんでそうなるんですかっ!!」
引き戻すというよりは、新たに道を作り出すかのような先輩の言葉の途中で、突っ込みを入れる。
「ナイスな突っ込みだ、言葉を最後まで言わせないとは。はじめ君……恐ろしい子」
「そなことはどうでも良いんです。なんでそんなことになるのか説明してください!」
「いや、知力体力時の運その他もろもろの能力、さらには友人、恋人、手下と人材にまで恵まれた私に生徒会長から助けてくれと、白羽の矢が立った訳だ。私はせいと会長とは懇意にさせてもらっているからね、無碍に断る訳にはいくまい」
「そこまでは理解できないこともないですが、美少女戦隊を結成する理由がまったくわかりません!!」
「平和を守るのはいつの時代も美少女だ」
「先輩、戦隊物やった時も魔法少女やった時も同じようなこと言ってました!!」
「この世界だって美少女に救われた方が幸せだろう」
「んなこと知りませんよ!!」
必死さを通り越して悲壮さすら漂ってきたぼく。そんなぼくを見て、先輩がキリリとした表情をした。
「という訳で、何に代わってお仕置きするかだが…………」”
女子嫌いのさわやか呪術師生徒会長空山総一郎。
文化祭話。
絵のタッチが変わったことも重なって表紙が誰かマジでわからなかった。
タッキーまじかよタッキー。
この学校の生徒たちは面白すぎる。
新展開の予感の終わり方。
だけどここから展開の続編は出てないんだっけ?
残念……。
“ほんと困った人だ。でも……たまにならこんなのもいいなぁ。
「だがその前に、はじめ君」
先輩がぼくの方に向き直った。
「はい」
「君に言っておかなければならない事がある。女の私がうっかり言いそびれていた言葉だ。そして女性の私から男性の君へ贈る最後の言葉でもある」
「……はい」
ぼくは姿勢を正して先輩を向き合う。
先輩が、淡く輝く月明かりの下でいたずらっぽい笑顔を浮かべ言った。
「ずっと前から君の事を興味深く思っていた。私と共に生きる気はないかい?」
「ぷっ」
笑いが漏れた。まったく先輩らしい変な告白。
それで告白の返事は?決まってる。
ぼくは先輩に負けず劣らずの笑顔を浮かべた。
「よろこんで」”
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良くありがちな「入れ替わり」ものですが、キャラが良いっ!
凛々しい先輩(つばさ♀)と優しく気が付くコ(はじめ♂)の奇妙な学園生活は、周りを巻き込んであんなことやこんなことや…読んでみてください(笑)
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今回のお話は文化祭。コスプレ喫茶にスーパーヒロインで風紀の取締りと大忙し。(着替え的な意味で) クライマックスはミス凰林で最高で最低な結末となって、いやー、いつも安心して読めますね。エピローグでは思わせぶりなフラグを立てていたけど、2018/11/10 現在続きはでていません。作者も電池が切れたとかなんとか。続きはいつでもウェルカムなのでずっと待っていることにします。
ところで今回も登場人物の名前を間違う痛恨の誤字があったりと、こちらの方もなかなか楽しませてくれます。