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中世、お城に生きた人々の生活実態を描いた本。
様々な人々が生きたお城の運営に払われた苦労が、豊富な資料から分かるのが楽しい。
今も昔も、大所帯を切り盛りするのはタイヘンな事だと実感する一冊。
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イギリスに現存する城を例に、中世ヨーロッパでどのように城の形が発展していったのかが、詳しく書かれている。また、そこでの生活が、過去の書簡などを元に具体的に説明されていて、興味深い。
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ネットの通販で買ったものです。値段を見て勝手に単行本と思っていたけど、文庫でした。しかも何だか本自体が心許ない印象というか……。
文章が主なので視覚的に見たい人にはお勧めは出来ないものですね。
でも内容は結構面白そうな感じです。
買ったばかりなので内容については追って評価し直しますが、多分これ、中世ヨーロッパとか好きな人には楽しめる本なのではないかと思います。
とりあえずいったん「ファンタジー創作資料」に分類。
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学生時代の一時期、アーサー王伝説にはまり、中世の騎士だの城だの必死で調べたことがある。確か、何でも輪切りにして構造を調べるシリーズの絵本の、「城」版も持ってたはずだ。もちろん映画もコスチュームプレイものが好きで、『ロビンフッド』や『三銃士』あたりは外せない。まあ、映画だと嘘が多いんだけど。
というわけで、城もの本を数冊所持。この本は多分、一番堅くて詳しい。なにせ城の生活について語るのに、普通は時代背景から始めるものなんだけど、この本は本当に「城の歴史」から始めているのだ。
土塁と囲い地様式の砦から石組みの城へ。城もゴシック様式の石塔が建つまでにはそこに至る歴史がある。というわけで、最初の10ページばかしはちょっとつらい。全長210メートルで、「東の端にある大手門を通って城郭内に入ると」から始まって庭の大きさ、壁の高さ、塔の高さなどなど解説が続くのだが、そういわれても全然イメージが……。そこさえ乗り越えれば、あとは全て記録に残った実際の出来事を元に「城の生活」が描かれるので非常に面白い。
他の類似の本では、同時代の引用はあるものの、大概は「一般的な話」として記述されることが多いのだが、この本はとかく記録を元にした具体的な記述が多いのでその分想像しやすいというのもあるかもしれない。騎士につきものの「叙任式」の模様も詳しく解説されていて、掲げられている挿絵が中世っぽい稚拙な感じの線画であるにも関わらず、かなりの萌えを感じた……。
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9月5日読了。土くれを積んだだけの古代の城塁から石造りに進化し、敵を防ぐだけの防壁から居住空間・城主の力を誇示する象徴と化す中世の城の変遷プロセスが興味深い。また中世における生活様式や、当時の支配者と被支配者の関係など風俗的な部分についても触れられており、城の話よりも実はこっちの方が面白かったりする。中世における女性の地位と実態がどうだったか?などのトピックについて、各種の手記や日記、手紙などの資料が紹介されており想像力が刺激される。何でもある現代に比べればまー貧しいわ人がよく死ぬわ決して満ち足りた時代ではなかったのだろうが、魅力的な時代のようにも思えるな。
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生き生きとした中世の生活。特に荘園を切り盛りするスチュワードからご主人さまへの手紙(それにしてもこのスチュワード、よく働きすぎである)、お城の家計簿、お城の1日、9月末から始まる1年の暦などが面白い。
そして、気高く強い騎士さま、という幻想があっけなく打ち砕かれました…。(;_;)
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中世ヨーロッパ史三部作(農村・都市・城)より、
12,3世紀のイギリス、ウェールズのチェプストー城を例に挙げ、
城で暮らしていた人達の生活が書かれています。
……といってもまだ読んでないです、積読(汗
身分の高い人達の暮らし向きの本って読んでこなかったので、
楽しみ楽しみですー。
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図説が好きな私にとって、文字だらけでげって思ったけれど、なんなく読めました。
城を中心とした生活史。第1章は厳しいけど、そのあとはそれなりに具体例もあって楽しく読める。
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中世好きの間では有名な本なので、言わずもなのですが テーマパークに聳え立つ様な装飾豊かな城ではなく、実用性を重視した機能美な城についての「生活」を主とした内容となっています。 豪華客船ではなく、戦艦についての解説だと思っていただければ解り易いかなと。 機能及び歴史については多少本書で扱ってはいますが、あくまでも生活という流れの補足程度のものであるので、単純に城の構造について知りたいのであれば他を当たると良いでしょう。 この手の本は少ないので、値段分出すだけの価値があるとは思います。
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資料として役立ったので★5つ。本当は電子データで検索しながら読みたいくらい。索引のある学術書ではなく、「新書的な」読み物なので、「あれどこに書いてあったっけ」と探し回るのがちょっと大変だった。
以下備忘のため、本書より
・11世紀頃の城は濠をめぐらせた土塁の上に木造建築。十字軍遠征後に築城技術が発展して石造の主塔(キープ)がつくられるようになった。四角い塔は角の下を掘られて崩されることもあり、防衛上の死角ができるため、円筒形に変わっていった。居住区の建物は木造が多かった。
・ダンジョン(地下牢)は城の主塔を意味する「ドンジョン」から。後代になって(城の住み心地がよくないので)囚人の拘置や幽閉に使われたため。
・主塔や城の一階は食料庫や穀物蔵、二階以上には大広間と城主の大寝室などがあった。搬入にまぎれた外敵の侵入を防ぐため一階と二階の間には内階段がなく、外壁に沿った外階段か、側塔や壁の厚みの中に入った階段から大広間に入った。厨房は火事の心配があるため別棟。
・大広間の床にはイグサ(後期にはハーブも)を敷いた。絨毯は14世紀になってから。
・窓ガラスの普及は14世紀、それまでは窓には木のよろい戸がついていた。
・煙突や壁に埋め込んだ暖炉が普及したのは中世でも結構後の時代(それまでは大広間の中心に炉があった)。
・寝室が普及したのは中世でも結構後の時代(それまでは大広間で上記の炉を囲んで雑魚寝、城主家族はカーテンかついたてで仕切った奥で就寝、寝巻きはまだ無いので寝るときは裸)。夫婦でそれぞれ個室のある場合もあり。
・領主のベッドは木枠にロープや革紐を張り、羽毛のマットレスを敷いてシーツで覆い、キルトや毛皮の布団をかけて枕を置いた。夜には周囲に亜麻布のカーテンを降ろした。身分の低い者は藁布団や毛織の上掛けを使った。
・入浴は木製の風呂桶をテントや天蓋で覆い、暖かいときは庭で、寒いときは暖炉のそばで入った。領主が領地間を移動するときは風呂桶と入浴係も移動に伴われた。13世紀には浴室が設けられた城もあった。
・トイレはあった(おまるもあった)。紙の代わりに干草を使用(トイレにろうそくを置き忘れて火事になりかけた逸話が紹介されている)。掃除に下水や雨水を流す工夫のある城もあった。
・家来には騎士や守衛などの軍人達と、城の経営や家事を担当する人々がいた。12世紀頃は一人の家令が荘園管理や財務・法律関係の事務、召使への指示を担当したが、後に業務が細分化されていった。
・領主の息子は父親の主君のところで騎士見習いになり「鳥の餌やり、タカ狩り、猟犬の扱い、弓矢の使い方、チェスやバックギャモン、フェンシング、馬術、馬上槍試合(これは14世紀以降?)などの武芸訓練」を受けた。
・領主の娘は家族と離れ、他の領主の城や修道院で「針仕事や杼(ひ)の使い方(=機織のことでしょう)、ラテン語を読み書き話すこと、歌を歌い、物語を語り、刺繍すること」を学んだ。学問に身を捧げたり、男性と同じように狩猟やタカ狩り、チェスに興じた女性もいた。
・女性の婚期は12歳(お互いの合意のないには無効の申し立てができ���)。結婚の際には持参金の見返りに夫の不動産の1/3の寡婦産権が与えられたが、結婚期間中は自分の相続分の土地を夫が売却しても異議を唱えることはできず、夫同伴でなければ訴訟を起こせず、夫の同意なく遺言状を作成することもできなかった。(寡婦=未亡人になってから訴訟を起こして相続財産を取り戻した例もある。)
・領主が不在だったり亡くなった時は奥方が領地管理を任された。
・夫婦とも不倫は教会で禁止されていたが、身分のある男性が愛人を囲うのは普通。妻の不倫は夫から捨てられ、愛人は体の一部を切断されるか殺された(主君の妻との不倫は反逆罪で絞首刑。)女性が乱暴をされた時に「寝取られた夫以外」の父親や家族が密通者を私刑にするのは犯罪。女性の妊娠は快感を得たしるしとされ、妊娠した場合は強姦の訴えはとりあげられなかった(ひどい)。
・三圃式農業の前は伝統的な二圃式農業だった。まだ家畜用の飼料を育てることはなく、家畜を維持できないために冬には家畜の一部をつぶした。
・9月29日の聖ミカエル祭からクリスマスまで(秋蒔き小麦、ライ麦の種まき)が冬。城の会計年度の始まりは聖ミカエル祭(このあたり現代西欧の秋学期制などに通じるものがあるのかも)、屠畜は11月。
・クリスマスから復活祭までが春(春作物オーツ麦、エンドウ豆、インゲン豆、大麦、ソラ豆の種まきの季節)。
・復活祭から8月1日の収穫祭までが夏。羊の毛刈は夏至祭りの前。夏至の翌日、聖ヨハネ祭から収穫祭までは牧草刈り。
・収穫祭から聖ミカエル祭までが秋。収穫祭には初物の小麦で焼いたパンが教会で祝別され、それから刈り入れが始まる。
・クリスマス・イブからの十二日間(歌にもある)は農奴の仕事はお休み、領主の召使にはボーナス(物で)があった。贈り物や宴会などが続く。
・1月6日の公現祭明けに鋤レースなどが行われたが、本格的な耕作は2月2日のキャンドルマスから。復活祭(春分の日の後の最初の満月の次の日曜日)から一週間は農奴の仕事はお休み。聖霊降臨祭(復活祭後の七回目の日曜日)から一週間も農奴の仕事はお休み。
最終章のおわりにあった、20世紀の戦争でイギリス沿岸部の城が監視所や対空砲の据付場所として使われ、フランスやドイツやイタリアの城が大砲の砲撃にさえ耐えうる陣地や避難所として使われたというエピソードが興味深かった。
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中世の城の構造と歴史から、城に住む人々、貴族たちの生活などが事細かく説明されており、読み応えたっぷり。中世に似たファンタジーを書く際にも参考になります。
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チェプストー城◆城、海を渡る◆城のあるじ◆住まいとしての城◆城の奥方◆城の切り盛り◆城の一日◆狩猟◆村人たち◆騎士◆戦時の城◆城の一年◆城の衰退
原書名:LIFE IN A MEDIEVAL CASTLE(Gies,Joseph;Gies,Frances)
著者:ジョゼフ・ギース
著者:フランソワ・ギース
訳:栗原泉、翻訳家、セント・メリー大学(米国)卒
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面白く読み進められる。唯一の欠点であり致命的な欠点は、オールモノクロであること。イラストはまだしも、本書の最も重視する城の写真が暗く(黒く?)、折角ページを割いて載せる意味がない。せめて、一番初めに数ページのカラー写真をつけて欲しかった。そういった意味で、星をひとつ減らした。内容が良いだけになおさら残念だ。
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タイトルのとおり、中世のお城で生活するとはどういうことか、といった内容です。主な題材になるのはイギリスはウェイルズのチェプストウ城。他にもフランスやドイツの城がわんさと出てきます。
中世に生きていた人間の頭の中身がちょっとずつわかってくる気がする本です。文庫本なので手軽に読めるのもいいところ。
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ウェールズのチェプストー城を例に挙げ、
中世ヨーロッパの城での生活を描きだす。
何故このような城が作られたのか、
どのような者たちが城にいたのか・・・等、
豊富な資料で説明。
戦略と防衛のために建てられ、領主の権力と富の象徴であった城。
城の中には、領主の家族以外にも多種多様な仕事を受け持つ者や
騎士たちがおり、また城の経済基盤となる村や荘園には村人がいた。
城の中での生活、村人との関わり、狩猟、戦時と、詳細です。
特に家令の家計簿の細かい記録!
それと騎士の意外な実態!
但し、文章が豊かな反面、図版が少々足りない感あり。
トイレとか風呂とか、文章だけではわかりにくい。
「中世の城日誌―少年トビアス、小姓になる (大型絵本)」と
「カラーイラスト世界の生活史8 城と騎士」で
補って読みました。