紙の本
異端書として封印されていた古の手稿が語る「名もなき姫」の探索の物語
2006/03/18 15:21
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kou - この投稿者のレビュー一覧を見る
礼拝堂から発見された古の手稿と、かつての教皇の手からなる覚書は、明らかに異端に属するものだった。
その手稿が語るのは、消失した夫を探す「名もなき姫」の冒険と、そこで遭遇した不可思議な出来事や賢人・亡霊たち。異民族の土地。
「名もなき姫」による手稿というかたちで始まる物語ですが、そこはすっとばして読んでも問題なく、十分面白いです。
結婚式の最中に雷に打たれて消えた夫を探して旅に出る、一地方の領主の姫君「わたし」のお話なのですが、この「わたし」の性格が魅力的です。
宗教の支配力が強く、女性は抑圧されている時代。たおやかで従順な姫君を期待されながら、その枠に収まりきらない理性と現実主義。周囲の価値観に疑問を抱きながらも、果たしてその期待に応えられるか真剣に悩んだりもして、乳母の言いつけどおりにっこりと微笑む特訓をしていたりする。
とても不思議なバランスなのですが、それが魅力的で、なんとなく川原泉さんの描く漫画の主人公たちを連想させるようなところもあります。
そんな「わたし」が旅の過程で出会う「賢い人・セラフ」や亡霊付の名剣、大断層の向こう側−異民族の土地で出会う異なる風習や、人語を解する獅子との神についての対話が、寓話的だったり哲学的だったり、かなり抑えられているものの人の愛憎物語だったり…
新人さんですが、かなりの掘り出し物でした。
続編はないでしょうし、出さないで欲しいのですが、また別の物語を是非是非読んでみたいです。
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封建時代のヨーロッパちっくな世界観をベースにした、ファンタジー小説。
結婚式の当日に魔法でさらわれた旦那(王子)さまを探しに出かけるお姫様が主人公。そこへ幼馴染の坊主とか、口の悪い隣国の王子とかが従者として絡んでくる。
ストーリーテリングをするお姫様の語り口調が面白くて、すいすい読める。すいすい読めすぎてRPGのゲームみたいな話。淡々と簡単に進んで終わる。
最後の『教皇の覚書』のところで、ちょっとじんわりくる。
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盛り沢山。200ページなのがもったいない。大幅に加筆して600ページくらいあれば良かった。冒頭で「オリジナルは散逸した」風な事を書いてるので、シリーズ化もあるかも。
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最初は面白いのだが、最後になるにつれて精神的、思想的、宗教的な話になり、つまりそこに重点をおきたいがために、最初と最後の話の流れが作業的に思えてしまう1冊。でも、面白いです。
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第1回C★NOVELS特別賞受賞作。
非常に特異的です。主人公もそうなら、語り口も。私にとってはこれがハマりでした。
結婚式の最中に行方不明になった夫を探し出すために幼馴染を連れて旅に出た主人公の「わたし」。そこには数々の謎が……。
賞の選考では賛否両論だったようですが、確かにそうでしょう。すべての人に受け入れられるタイプの作品ではありませんが、私は面白いと感じました。
次の作品が待ち遠しいです。
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結婚式の最中に夫となるはずだったパルジファルが消えた。彼を取り戻すために幼馴染で修院の見習い坊主のイーサンを連れて旅に出るわたし。途中から魔法使いのセラフに命じられたマンフレートが北の大国マドックを継承するための試練としてわたしについていくことに。様々な試練を乗り越え彼を取り戻せるのか。
姫が王子を求めて放浪する冒険譚。淡々としているように見えて意外に熱い「わたし」。パルジファルのことをそんなに好きだったんだなぁと予想外でした。わたしとイーサン、わたしと皮肉屋なマンフレートのペアもそれぞれ好きでした。この本はわたしの語り口調が特徴的な話だと思います。
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C☆NOVELの『煌夜祭』がとても面白かったので、同じく賞をとっているこの本を読んでみました。なかなか面白い語り口で楽しめた。結婚式の日、式の最中に夫となるはずのパルジファルが消えてしまった…。そこからパルジファルを探して旅に出るお話。上下巻に分けられるくらいに、もう少し詳細に展開されれば☆5つだったかも。
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結婚式の最中に消えた夫を取り戻すため、わたしは幼馴染の見習い僧を連れて城を飛び出した――封印された手稿が語る「名も無き姫」の冒険譚!第一回C★NOVELS大賞特別賞受賞作。 読みやすい訳でなく。読みにくい訳でもなく…。少し物足りなさを感じた作品。キャラは良かった。…【2007/10/06】
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2007.11.22。後半になればなるほど読まされてる感が強くなりました。前半はおもしろかったんですが。世界観の設定は結構引き込まれた部分があったんですが、ページ数が少なかったか話がざっくりすぎたか。展開が淡々としていて膨らみがなく、冒険譚としては物足りなかったです。
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全体的にあっさり。神様みたいなのとの対話とかは面白いのに、あんまりどきどきはらはらしない。
2009/7/16
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面白く一気に読めた。個人的に好みのタイプの主人公だったのが大きいかも。
勇敢で知的な女主人公が好きだったら、素直に楽しめる話だと思う。
脇役もそれぞれ人間味があるというか一癖ある感じで、それもまた良し。
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最後まで読み終わって初めて、その意味がわかる。
主役の王女に名前はないが、姫様なので支障がないというかそれほど意味はなかった。情緒に欠けるので王女に向いていないと自己分析する、妙に冷めた姫様なのが珍しい。結婚式の最中に掻き消えた夫王子を探しに、乳兄弟の坊主見習いのイーサンを連れて旅に出る。また共に旅する北方の王子マンフレートはちっとも優しくなく、王女と憎まれ口を叩きあう。恋が生まれる期待はもてそうにない雰囲気だが。
旅の道中の出来事は、少々ご都合主義と言わざるを得ない。登場人物の背景も性格も面白いのに、再登場するパターンは少なく、活躍シーンもないのが残念。祖父はくせ者ぽいし、父親もキャラクターが面白いのに、後半放置なのが物足りなく感じたし、王子マンフレートはイラストもイケメンで「黒衣の王子」なんてカッコいい紹介文なのに、姫のピンチに抜刀して駆けつけるなんて最高の見せ場なのに、シーンはそこまでとか、ほかにもいろいろ「もっと書いてほしい」と思う部分が色々と(どんだけ分厚い本になるのか)。
最後に添えられた手記は良かった。みなのその後がわかる。
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友人から借りました
ファンタジー。目まぐるしく、あちこちに行く、お姫様の話。
弱き者、汝の名は女。
という言葉で始まるこの物語。
姫の一人称で、進む。
この世界の女に名前はない。誰々の娘、誰々の女、誰々の妹と呼ばれるだけ。
北の地の、さして裕福ではない領地の姫として生まれた主人公は、南の地の従兄王子と結婚することになる。「橙(食べ物)」につられて(笑)。
が、王子は攫われてしまう。姫は果敢にも、王子を探しに行く。坊様見習の乳兄弟を伴い、近くの国の王子様も巻き込んで。
けっきょく、彼女は冷静に世界を見詰め続けて、自分というものがどうであり、世界が求めるものが何かわかっていて、神様を盲信しないがゆえに、この宗教社会のただ中で、自分の中の神が遠くなり、ついには殺してしまうことになる。
でも、老いて死ぬ間際に、息子に一連の旅の手記を託して、乳兄弟に届けさせる。
乳兄弟は聖人となり、教皇の座についていた。
彼は覚書をしたためる。
「死んだ後、愛した男のいる天国に行きたいから、神を殺してしまった姫様のために、私に祈れ、というだね。私の分の祈りはすべてあげるよ、姫様」と。
優しい物語。
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名前のないお姫様の冒険物語。淡々と話が進んで行くのがいい、と私は思うけど、好き嫌い分かれそう。最初に読んだのはもう何年も前だけど、でもやっぱり今でも好き。全1巻
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淡々とした性格のお姫様の一人称で進む物語。お姫様の性格が面白かったけど、ストーリー自体はまるで出来の悪いRPGのようでした。どこそこに行って誰誰に会って来いの繰り返し。全体的な雰囲気は悪くないだけに、ご都合主義が目立ったのが残念。