紙の本
真の豊かさに誰もが気づくために
2005/10/28 03:30
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
過労死が多発し,過度の労働を苦にしての自殺が増大する現代の日本は,やはりどこか病んでいる。誰もがそれに気付いているのに,事態は一向に改善しないどころか,どんどん悪化していく。
どこかで歯止めをかける必要がある。膿みをすべて吐き出させる必要がある。そのためには,そんな現代日本の労働者達が携わる就業事情を解析し,分析する眼が必要である。
本書は「働きすぎ日本」の現実を捉え,その実態を追った労作である。本書が現代日本の病を正す処方とならんことを願う。
著者は,現代の“働きすぎの時代”を的確に体系化し解明する。
経済のグローバル化により,就業問題は一国内だけでは解決できないほど多様化し拡大していった「グローバル資本主義」による働きすぎ。人類がかつて見ていた将来の夢「生産性の上昇により,労働時間はどんどん短くなり,個人が自由に使える時間が飛躍的に拡大する」が大いなる幻想であったことを思い知らされる。
電話・FAXにはじまりITと呼ばれる情報技術の幾何級数的発達に伴い出現した「情報資本主義」による働きすぎ。人々の後ろからは常に新しい情報がつきまとい,時間・場所・状況をいっさい問われないまま仕事に追われる。
本当の生活の豊かさをいつの頃からか忘れてしまった人たちは,物質的豊かさを幸福と勘違いし,次々と現れる最新の商品に体内にしみついた物欲がさらされる。「消費資本主義」による働きすぎをしないと自らの購買欲を満足させることができなくなる。
そんな社会に夢も生きがいも感じることのできなくなった若者を中心に,フリーターが増加する。収入の低いこういった人たちによる「フリーター資本主義」による働きすぎは,若者の心を一層蝕み,健全な社会参加を阻害する。
さて,言葉だけではない“真の豊かさ”を皆が感じられる社会に変えていくためには,私たち一人一人は何を考え,何をしていく必要があるのだろう。
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過労死や労災の精神疾患急増と非正規労働の問題の原因は一緒なんだと、分りやすく書かれています。
労働組合を大きくしていく必要を痛切に感じました。
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好きなことには時間があるだけ集中的に打ち込めるものだが、仕事は必ずしもそういうときばかりではない。自分も「働きすぎ」と感じるときが多くなってきている。本書では「働きすぎ」のおこる理由を、グローバリゼーション情報資本主義、消費資本主義の罠(ワークアンドスペンドサイクル)、フリーター資本主義(労働時間の2極分化)などより分析していた。自分のなかの「労働」に対する位置付けについて考えるための有用な情報源になったと思う。
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世界的に蔓延する「働きすぎ」について検証した本。
情報通信技術の発達や、消費者が利便性を求めることが過労を生み出していることを指摘。そして日本の法制度の不備を批判しています。
24時間営業や宅配便の時間指定など、私たちは便利さを求めるあまり自分たちの首を絞めている気がしてきました・・・。法律で残業を厳しく規制したら、企業サービスが低下して不満が出るのか、でも不便でも仕事に追われない生き方のほうがいいと考えるのか、、、などとふと思いました。
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『労働ダンピング―雇用の多様化の果てに』はフェミニズム臭がきつかったのだけど、これは中立的な立場から書かれていて良かった。グローバリゼーション情報資本主義、消費資本主義の罠、フリーター資本主義の考え方には納得。
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「働きすぎ」を導く要因を、企業を取り巻く環境、働き方に関する環境、商品市場をめぐる環境、労働市場をめぐる環境という四つの側面から分析し、さらに「働きすぎにブレーキをかける」ための提言を行っています。「提言があればよい」というものでないことはもちろんなのですが、本書の場合は前段の分析が十分に行われているため、提言もうなずくところが多いものとなっていると思います。日本では、賃金・労働環境の面でもジェンダー差別が非常に強く、そのことが30〜40代男性の労働強化につながっているという点については、私も最近考えていたところでした。(20060128)
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2007年6月9日読了
知ってました?過労死って国際語らしいです。{karoshi}。いまや、深刻な働きすぎの問題。この本よんだら、けっこう現状分かります。労働基準法などの法律全く分からなかった私も、ちゃんと読めました。
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現代の労働環境の実情と、自分の職場の恵まれた環境を知らされた1冊。サービス残業なんて当たり前の世の中。
しかし、誰も働きたくて働いてるんじゃない。
残業をしてでも働かないと生きていけないから、こういった事態が当たり前にまかり通ってしまうわけです。
後半の改善策の提案は、気持ちはわかるけど、現場の人間からするとやはり綺麗ごとにしか聞こえない。
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この本は現代社会で問題になっている過度な長時間労働について取り上げています。
過度な長時間労働は日本だけの問題だけでなく、世界中に広がりつつあります。このような問題は労働者だけでは解決が難しいと思うので、行政も積極的にこの問題に取り組むべきだと思いました。この問題を放置すれば、日本は精神的に駄目になってしまう人が増えて、悪い方向にずるずると落ちて行くと思います
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この本は、現在の日本は、働きすぎであるということを述べている本です。今現在日本人は働きすぎいたるところから悲鳴が上がっていて、労働時間が一日十時間を超えるほどに長ければ、疲労とストレスがたまり、最悪の場合は死にいたることもあるそうです。そこで、この本では、グローバリゼーション、情報技術、消費社会、規制緩和などに着目して今日の過重労働の原因について迫っています。まっとうな働き方ができる社会をつくっていくために、今何が必要なのかということが書いてある本です。この本を読み思ったことは難しいなあということを思いました。確かに日本人は働きすぎで過労死が増えていることは事実だと思うんですけど、そのくらい働かないと生活できない人たちもかなり多いと思います。とても難しい問題だとは思いますがこの現状を変えていかなければいけないのは事実です。すごく考えさせられる本です。皆さんもぜひ、読んでみてください。
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残業問題をクリアにするにはどうしたらよいか、という課題を持って読んだが、そういう意味ではあまりいい案は見つからなかった。マクロな視点で労働時間について論じているが、では個別の企業なり組合がどうするかという部分では非常に弱い。
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[ 内容 ]
いたるところから働きすぎの悲鳴が上がっている。
労働時間が1日10時間を超えるほどに長ければ、疲労とストレスがたまり、最悪の場合は死に至ることになる。
本書では、グローバリゼーション、情報技術、消費社会、規制緩和などに着目して今日の過重労働の原因に迫る。
まっとうな働き方ができる社会を作っていくために、いま何が必要なのか。
[ 目次 ]
序章 働きすぎの悲鳴が聞こえる
第1章 世界に広がる働きすぎ-グローバル資本主義の逆流-
第2章 家庭も出先も職場になった-情報資本主義の衝撃-
第3章 消費が変える雇用と労働-消費資本主義の罠-
第4章 労働の規制緩和と二極分化-フリーター資本主義の大波-
第5章 労働基準とライフスタイル
終章 働きすぎにブレーキをかける
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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働きすぎの時代はあった。超過勤務を支払わなくても、法律違反をしているとの認識がない管理職。
グローバル化
海外での労働管理に直面すると、日本での管理方法の課題がわかるかもしれない。
情報革命
情報の集中は防げたが、新たな格差は作った。
消費社会
使うことがいいことだとうのは、背景として働くことがいいことだがあったのかもしれない。
規制緩和
規制緩和は、働きすぎを防ぐ意味もあるかもしれない。
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再読本。
出版は2005年。
その当時で過労による労災と認定されたケースが過去最多の317人。内死亡者が160人。この数字、間違いなく低くなることはないだろう。
問題提起されているように、貧富の差が大きくなるとカネを稼ぐことへの強迫観念が強くなり、長時間労働に拍車をかけている。より多く稼ぐにはより多く働かなければならない。
シンプルなライフスタイルは理想だが、現実はこういうものだろう。
そこで死ぬレベルまで働いてしまうかどうかは、これも個人個人が決断していかなければならない。
今出版されても、書かれている内容・状況は変わっていないので非常によく出来てる本だ。
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産業革命以来の働きすぎの時代を迎えている。労働を軽減し労働時間を短くするはずの多くの技術が、仕事量を増やし労働時間を長くしている。経済の安定をはかるためにも、働きすぎにブレーキをかけ、サービス残業や過労死のない、まっとうな働き方ができる職場、人に値する生活ができる社会を創っていくことが重要である。