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「復讐するは・・・」シオドア・スタージョン
「闇の天使」エドワード・ブライアント
「精神一到」リチャード・マシスン&リチャード・クリスチャン・マシスン
「ビンゴ・マスター」ジョイス・キャロル・オーツ
「莫迦げた思いつき」エドワード・ゴーリー
「ゲロンチョン」ラッセル・カーク
「見えざる棘」レイ・ブラッドベリ
「罠」ゲイアン・ウイルソン
「王国の子ら」T・E・D・クライン
スタージョンの短編が収録されているのが嬉しかった。
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図書館で、ゴーリーつながりの検索で出てきたので借りてみる。
小説も書いていたの?と思ってみたら、いつもながらのモノトーンの線描画でした。
エドワード・ゴーリー『莫迦げた思いつき』
ある冬の朝、今日は一日ずるけてみようとおもって、ベットの中で眠ったふりをしたフリードリック。
家族がみんな集まって(みな後姿)いろいろするけど、フリードリックはずる休み中。みなあきらめて、階下に降りたのが夕方。
さて、そろそろ起き出して、夕食まで外の雪で遊ぼうかと思ったのに・・・
フリードリックの「莫迦げた思いつき」の結末は・・・
タイムトラベル?もので、身近にありそうな事件を絡めたレイ・ブラッドベリの短編『見えざる棘』。
頁をめくった最後の1行が印象的。マシスン父子による、超悶絶・閉所恐怖症を掻き立てる密室もの『精神一統・・・』。
独特な世界で後味の残る怪異譚、ラッセル・カーク『ゲロンチョン』他にも数編収録。
久々にざらざらとした感覚の後味でした。
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シオドア・スタージョンの「復讐するは……」とエドワード・ブライアントの「闇の天使」が怖くて面白かったなあ
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「莫迦げた思いつき」エドワード・ゴーリー目当てで。ゴーリーらしい子供を主人公にした不条理ものです。緻密な絵はとても小さくなってしまっていて勿体ないですが、ラストのひとつ前の絵が印象的です。柴田さん訳とは少し違う、縦書きのゴーリーを堪能しました。目当てのゴーリー以外の短編も読み応えがありました。「見えざる棘」のラストや「王国の子ら」のような典型的ホラーも心に残りましたが、意外と一番ドキドキしてずっと忘れそうにないのは、主人公とともに大事を成し遂げた気になっていたところへ一気に落とされた「精神一到」かも。
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優秀な出版エージェントであり、かつ怪奇幻想小説の熱心なファンであったカービー・マッコーリーが、一九八〇年に編纂したオリジナルのアンソロジー集『闇の展覧会(DARK FORCES)』。本書はそれを邦訳した時に三分冊にしたシリーズの二冊目で、『人間以上』のスタージョンや『火星年代記』のブラッドベリ、はては『うろんな客』のゴーリーなど、新旧やジャンルを問わず9篇の作品が収録されている。
以下、ネタバレ無しの各話感想。
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『復讐するは……』(スタージョン)
片田舎のバーで、客が水を向けたことからバーテンダーが語り始めたのは、とある悪党兄弟の話だった。最後にバーテンダーが、彼らが死んだことを口にすると、客は急に慌て始める――。
(表題は新約聖書の「主いい給う。復讐するは我にあり、我これを報いん。」から。つまり復讐は応報として私が行うから、子羊である我が子――被害者は「自ら復讐するな」ということである。しかし、主を敬う敬虔な善人であっても、目の前の悪行を前にして、そしてそれをできる力があったら、復讐を我慢できるだろうか? それを読者に問いかける意味で、とても人間的な作品。)
『闇の天使』(ブライアント)
カフェでかつての恋人と再会したアンジー。彼と一夜を共にした後、彼女はすべきことを始めた――。
(不義理なかつての恋人への、一風変わった復讐を描いた作品。「それだけのことはあったのか?」という父の言葉、そして自問は、女性にしか解らないだろう。)
『精神一到……』(マシスン)
眼が覚めた時、彼は自分がどこにいるのかわからなかった。そしてそこが棺の中だとわかった時、彼の必死の脱出が始まる――。
(表題は「where there's a will, there's a way.」(為せば成る、精神一到何事か成らざらん)という諺から。結末で表題の真の意味が解るという、トリッキーな作品。)
『ビンゴ・マスター』(オーツ)
ローズはとある目的のためにビンゴ遊技場に来ていた。そして運が良いことにビンゴが当たった彼女は、胴元であるジョー・ザ・"ビンゴ・マスター"と一緒に食事をすることになり、彼女は目的を遂げようとする――。
(作者自身が本作を「疑似寓話」と称したように、保守的な家庭で育った女性の空回りを不条理かつ寓意的に描いた作品。そのとても苦味のある後味の悪さは、女性作家ならではの味だろう。)
『莫迦げた思いつき』(ゴーリー)
ある冬の朝、目を覚ましたフリードリックはずるいことを考えた――。
(ゴーリーらしい、ブラックな絵物語。子供ならば誰でも思いつくことを起点に、読んだ子供にトラウマを与えかねない作品に仕上げている。)
『ゲロンチョン』(カーク)
ゲロンチョン――薬師であり化学者であり魔術師である男が麻薬売買と殺人の罪で逮捕される。彼が死刑判決に控訴したことで、その審理がアーケイン卿に一任されることに。そして改めて死刑を言い渡されたゲロンチョンは卿に言った。「あんたの肉体をいただく」と――。
(それがグッドか���ッドか、読者に委ねられる結末はオーソドックス。だがそこまでに至る展開はなかなか読み応えがある。)
『見えざる棘』(ブラッドベリ)
ヒューズが電車の中で、隣に座っていた年配の男が読んでいた新聞の記事に目を疑った。最愛の妻を殺した容疑で自分が指名手配! しかも日付は十数年後の未来! 悪質な嫌がらせかとヒューズが男を問い質すと、男は自分がその未来のヒューズだと言う。未来を変えるため、自分を家まで連れて行ってほしいと頼み込む男をヒューズは受け入れることにしたのだが――。
(その結末に不穏さ――見えざる棘を、主人公と読者は突き刺さされる、「世にも奇妙な物語」系列のSF作品。)
『罠』(ウイルソン)
害獣駆除業者のレスターは困り果てていた。毒餌やネズミ捕りなどの罠を見事に躱すネズミたちと、それをくどくどねちねちと言い立てる家主に。ネズミたちは組織だって動いていると主張する家主が、二階に上がってから降りてこないことを不審に思ったレスターが、恐る恐る二階に上がっていくと――。
(掌編ながらか掌編ゆえか、コンパクトながらインパクトは抜群。戯画的ながらも、その結末は登場人物の悍ましい最期を読者に予感させる。)
『王国の子ら』(クライン)
一九七七年のニューヨーク。わたしが出会ったその神父は、人類の起源についてある説を持っていた。最初は奇説珍説の類と聞き流していたが、手渡された神父の著作と周囲で散発的に起きていた怪事件との符合に、わたしは次第に奇妙な不安に囚われる。そして、あの大停電の夜を迎えた――。
(1977年に実際に起きたニューヨークの大停電を絡めた怪物ホラー。読者に与えるであろう"かれら"の生理的嫌悪感は指折りの悍ましさ。表題は恐らく作中に登場するアンリ・ルソーの作品から。しかし、実際の作品は探しても見つからなかった。なお、著者がラヴクラフトに傾倒していたことから、作中に登場する"かれら"は後にクトゥルフ神話に取り込まれることになる。)