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前作「ベルカ、吠えないのか?」に対する、猫的アンサー。世界を股にかけ空間的にも時間的にも壮大だった前作と対を成すように、品川、目黒、白金、五反田という東京の限定された地域で秋冬春夏の1年間について語られる。東京という手垢のついた題材を、こんな風に神話的に、ファンタジックに描いた所が新鮮だった。とはいえ、後記の通り「巨大な短編」だったので読むのは大変だった。猫地図っていうアイディアが素敵なのに、前作のイヌに比べて、猫の割合が少なかったのが残念だったニャア。
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古川日出男作で初めて読んだ本。カバーに惚れてかって読みましたが、内容もよかったです。独特な文体とぐいぐいと押し進んでいく感じがなんとも言えず、これで古川日出男に嵌りました。ベルカ、吠えないのか?は未読でしたが、面白いかったです。
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THE・エキセントリック。舞城王太郎読んだ後だったから似たモノを感じたけど、三島賞繋がりになったね。尻切れトンボといったら悪い表現だけど、もうちょっと続きを知りたいのにっていう所で全部終わっちゃう。やたら多い固有名詞と、あっさり深くは語らないままクセの強い文体でゴリ押ししていくので、読みにくい感とスピード感が交錯する。漫画っぽい先進的さを感じた!
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春樹なら「通奏低音として」とか書くのかも。短編が複雑に絡み合って飽きさせない。東京と現代を描かせても上手いな、と思う。
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三島由紀夫賞受賞作。これまでに読んだことのないような小説だった。読んでいて気持ちよい。その疾走感が。変異的。装丁もとってもよろしい。紙の質感もフォントも。いろいろと凝られている。面白い作家だと思う。おちょくっているようで大真面目で。その逆なのかもしれないけれど。小説を変えられる力を持ってそうな、そんな可能性を秘めてる作家だと思う。直感的に。そう思う。21世紀の高橋源一郎的な。何か。興味そそられずにはいられない。何か。を持っている。と思う。シュガー、山辺麻衣佳、ジャキってらへんが、いいキャラクターだった。(06/9/22)
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市とそこで生きるものたちの喪失と再生を、鮮やかにきりとった青春群像小説
僕は速度だ。
あたしたちは全員同じだ。
でも、あたしたちは全員、違うのかもしれない。
現代なんて三月後には消費されて、東京の記憶から消されるんだろうな。
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古川さん…感激です!独特な文体なのではじめは、ん?と思ってたのに、のめり込まされ、何時の間にか嵌ってた。紙の質とか隅々に渡って凝っていてるし。後記の登場人物現状も好き。装丁惚れして借りてよかったー、本当よかった。買いに行かなくては!「おれは生き残ってやる。おれは生き残っている。」いいね。(2007/04)
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あたしたちは全員同じだ、でも、あたしたちは全員、違うのかもしれない。現代なんて三月後には消費されて、東京の記憶から消されるんだろうな-。都市とそこで生きるものたちの喪失と再生を鮮やかにきりとった青春群像小説。
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感動とかドキドキとかそう言うのを越えて、純粋におもしろいです。最初から最後まで
二人称で展開される小説を初めて読んだのですが、これ挑戦しようと思ったらおかしなことになるんだろうなあ。技量があってこそ成立する書き方だよな、きっと。少しづつ提示される人々が・彼らのストーリーが絡みあって行く様は圧巻。傍から見たら絶対おかしいのに、日常にとけこんでしまっている登場人物もいい。いっそキャッターになりたい。
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●「キャッター」でググると「もしかしてキャッチャー?」と言われるのがせつない。 ●古川日出男自身による後記によると、中短編集でもなければ連作モノでもない「巨大な短編」。『ベルカ、吠えないのか?』に対する猫的アンサーである、とも。 ひとつひとつのシーン、断片が、リンクはしています。
毎日通勤路で見かける親子連れは、決して知人ではないけど、まったく無名の他人でもないように、個々がたまたま接近・遭遇・接触したカットをつないでいったような小説。系統立ててると言うより、同時的並列的に気まぐれなのが(ステレオタイプに)猫的と言えば猫かも。
●ユウタ・ジャキ・山辺麻衣佳(小学校のおねえさん)・さすらいの料理人・やる気マンマン!の黒澤カズヤ君のへんがお気に入りです。ユウタとジャキ(ジャギ・・・)は遭遇しないのかなー。
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これもまたスピード感!後半畳み掛けるような展開。短編のようで短編でない。長編のようで長編でない。地図を開きながら読むのも楽しいなー。読んだ後にその土地にこれを持って散策に行きたくなりました。
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言葉が疾走する。なぜなら「僕は速度」だ、散りばめられた【日常】は著者の視界の中で物語に変わる。ほんと読んでいて楽しい、読めば動く「世界」がある。この男に映る東京は、最高にドラマティックで爽快だ。
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読み始めてから途中まで
わたしの頭はひどく混乱した。
読むのを一時的にやめた瞬間は
自分がどこにいるのかわからなくなってた。
誰が誰でどこにいるの?
場所や人物の描写はとても詳しくて
なのに人々の行動が不思議な感じ…。
品川、目黒、五反田あたりに詳しい人には面白いのかもしれない。
本を持ってその場所を散策してみたくなる。
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東京・品川あたりで繰り広げられるいくつかの“戦争”。交わりそうで交わらない短編集。
ぽつぽつしたストーリーが最後に合致するのかと思ったら、ぽつぽつしっぱなしだったのが残念でした。魅力的なキャラが多く出てくるので、どうせだったら全員が絡む話が読みたかった。『ベルカ、吠えないのか?』に対する猫的回答、とのことでしたが、猫的は解るにしても(?)『ベルカ、〜』が未読のため、読んだあとだとまた違った感想を抱くかもしれない。
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この人の文体、クセがあるのに、なんかいつの間にか引き込まれるんだよなー。
(いや、すごい好きなんだけど)
しかもその雰囲気に流されて結局物語の着地点に一度じゃうまくたどりつけない。
だからこの本も何度か読むだろうなと思う。