サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

ブルースカイ みんなのレビュー

文庫

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー86件

みんなの評価3.4

評価内訳

86 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

役立たずの神様

2007/05/15 20:13

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る

 2005年に出版されたこの本の中で、この物語は2007年4月に始まって、終わる。ゲームの世界では過去はおもちゃにもなる。それ自体もはや過去の物である「信長の野望」だとか。同時に僕たちもどんどん年を重ね、育った街も変わり、ゲームソフトも廃盤になり、自分が好きだったものたちも変化していく。
 この作品はSFというジャンルに入れるべきものだろう。ご存じの方はご存じの、「僕たちの生きている世界は実は誰かが実験室で…」というテーマで名高いエドモンド・ハミルトンの「フェッセンデンの宇宙」の流れを引くものだといっていい。いろんな人が扱ってきたテーマだ。でもその時代ごとに色合いを変えている。作者がこのテーマを今扱うのは勇気を要しただろう。
 例えば「木更津キャッツアイ」が好きな若い子に1981年の「薬師丸ひろこ」という存在を説明することは可能でも、その子にとって彼女はやっぱり「美礼先生」だ。時の流れを超えた、「上」の存在がいるとして、その存在は1981年の「星泉」と2002年の「黒田美礼」を慈悲深く「守ってあげたい」とおもうだろうか。それとも、データベース上の一塊のデータに過ぎなくて、さっさと新しいソフトを入れるために「ゴミ箱」にドラッグしてしまうのだろうか。
 薬師丸ひろこ氏は現実に生きていて。いつか死んで。「星泉」とも「黒田美礼」とも関係ないのだけれど。実際に僕が知っているのは「星泉」や「黒田美礼」でしかない。
 映画が誕生してもう100年以上経った。でもいつでも(お金さえあれば)ほとんど好きなときにそれを手に入れて家で楽しめるようになったのは、ここ20年来のことだ。架空の街をディスプレイの中に組み立てることができるようになってから、10数年。メイドカフェなどもう廃れはじめているという。
 だんだんと僕たちのおもちゃの変化のスピードは加速している。「フェッセンデンの宇宙」で扱われたSFの古典的テーマが現実世界に浸透し、加速しているのだ。
 その加速する流れの中で、この作品は、筆力と文体と饒舌になりすぎない深い考察で世界に開かれた作品として成功している。そして現代の「生」と「死」というテーマにも丁寧にアプローチを試みている。そして「少女の絶滅」にも。
 どんな人がこの文章を読んでくれたのだろうか。どう感じたのだろうか。この作品のおかげで、いつもよりすごくネットの向こう側に敏感になってしまった。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

「少女」とは?

2008/03/16 22:14

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:サトウジョン - この投稿者のレビュー一覧を見る

3部構成から成るSF長編。
だけれども、私にはあまりSFという気はしなかった。
いや設定は確かにSFなのだろうが、全3部で収束されるこの物語が語りたかったことというのは、ただ「少女」という存在それ自体ではなかったのだろうか、と思えたからだ。


第1部の舞台は1627年のドイツ。
10歳の少女・マリーはレンスという田舎町のはずれに祖母と二人、ひっそりと暮らしていた。しかしその静かで穏やかな暮らしも、魔女狩りの断行によって打ち破られる。マリーの祖母が魔女の疑いをかけられたのだ。
一人きりになり途方にくれるマリーが出会ったのは、なんとも奇妙な容貌をした一人の少女だった。
第2部の舞台は2022年のシンガポール。
CG世界を構築する仕事に従事する青年・ディッキー。ゴシック好みである彼は、自分と自分と同じような仲間(青年)たちのことを「いつまでも大人になりきれない、けれども子供でもない存在のようだ」と感じていた。それに比べて女たちのなんと強く、大人であることだろう、と。そんなある日、すでに過去の存在であるはずの不思議な少女と遭遇する。少女はかつていたはずの「少女」と呼ばれる存在だった。
第3部の舞台は2007年の日本、鹿児島。
高校卒業を間近に控えた少女が主人公。家族仲も良好、友人も彼氏もいるはずの彼女は、しかし携帯電話で他人とアクセスを図る時にこそ「世界と繋がっている」と感じることが出来た。平和で幸せで穏やかで緩慢な日常を過ごしていたはずの少女は、ある日、あるきっかけで、その日常から隔絶される。


謎だらけの第1部が、2部、3部と進むうちに詳細が明らかになっていく。入れ子細工のような構成で、恐らくはその構成そのものも味わうべきなのだろうが、私が強く感じたのは「この本は作者の『少女論』である」ということだった。
特に第2部では作中キャラクターもが少女論、少女という存在についての考察をしており、それをそのまま作者の考えだと受け止めると、桜庭一樹という人は、とても「少女」という存在に対する思い入れが強いのだろう。
大人でもなく子供でもなく、未成熟であり、殻にこもり、傷つくことを怖がり、仲間を求める・・・
本書以前の作品でも少女をテーマにしたものが多い作者だけれども、この本が一番「少女とは」ということを明確に語っていると思う。
エンタメ小説としてというよりも、桜庭一樹の考える少女、少女性というものについて興味深く読めた一冊だった。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

斬新な感じ。

2010/08/22 08:50

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 桜庭一樹さんの書籍はこれが二つ目。前に読んだ書籍は、興味がない世界が中心だったし、舞台も設定も自分好みではなかったけれども最終的には読み応えがあったなという感じだった。今回はどんな流れなのだろうと読み始めてすぐ、中世ドイツの魔女狩りの話か、と思ってわくわくした。特別、魔女狩り関係の話が好きなわけでもないけれど、ストーリーの展開がページを捲る指を駆り立てる。むしろ、このマリーと言う少女を主人公にして一作書いてほしいくらいだ。

 魔女狩りが始まってしまったときの焦燥感や絶望感、マリーの身に降り掛かる出来事に息を呑む。そこで救世主のように登場した少女が日本人の高校生で、一体どんなジャンルに属する小説なんだろう?と小首を傾げる。そして、その先の展開が気になってしかたがなくなった。すると、第二部になったので本書がマリーの話だけで成っているわけではないということに気づいた。

 第二部は、未来のシンガポールが舞台。西暦もマリーの時代とは全然違うし、どんな流れになるんだろうと不思議に思っていた。本書を読み進めていくと、物語の節目節目で数行の誰かの対話だけといったページもあるので、誰かがブルースカイを探しているというようなイメージは湧く。だけどなかなかその詳細はつかめない。シンガポールでのストーリーが終わると、今度は青井ソラという日本人の女子高生の話になる。

 鹿児島出身の青井ソラは、どうやら数日後に亡くなったらしいという情報はその子の章になってすぐに分かる。その数日間の出来事を振り返るような最後の章は、自分のその時代を思い出したりしつつ楽しく読めた。言葉遣いや考えていた事、ものすごくリアルに描かれているので桜庭さんの技量に拍手です。正に、“いまどき”の子。なんだか切ない終わりだったけれども、本書は私にしてはあまり時間をかけずに読みきったので驚きでした。次はどの作品に触れようか、楽しみが一つ増えました。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

ブルースカイを落ちる時

2008/07/27 16:03

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:とりお あきら - この投稿者のレビュー一覧を見る

桜庭一樹さんの作品は 本当に一気に読ませてしまう作品ばかりで 感心してしまいす。
だから ついつい読み終わると次の作品が読みたくなって来ます。
ただ 作品の書き出しの あの グイグイと読み進めさせる力が 何故か後半になって来ると弱くなると 感じてしまいます。
「少女には向かない職業」にしても「赤×ピンク」してもそう思いました。
「私の男」なんかは 特にその傾向が強い作品だと思います。

このブルースカイは「私の男」などの構成にも通じるのですが 最初に濃密でインパクトの強い物語の切り口を 私達読者に向けて投げ出しています。そうすると 当然の流れですが 私達読者はその切り口の強い磁場の様な物に沿って物語りのなかを連れられて行く事になります。
このブルースカイは 他の作品よりも強くその事を感じます。
それは多分SFと言う作品のジャンルと関係していると思います。
時間や空間を恣意的に操作出来 社会関係を自由に組立てられるのですから物語はより広がりを獲得出来るはずです。

しかし その様な広がりを一つの作品の中でどの様に纏め上げるのかは とても難しいのではないかと思います。
その事が 特にこの作品のなかでは 最初の第一部と次の二部・三部との驚くほどの存在感の落差を形作っているように感じました。
桜庭さんの他の作品にも その様な事は有りますが この作品は特に顕著に私達の前に露出しています。
極端に言ってしまえば 二部と三部は一部の説明でしかない付け足しになってしまっています。
この様に 敢えて物語を説明で終わらせなくとも 私達は楽しめるのではないかとも思えるのですが そうはいかないのでしょうか。

このハヤカワ文庫の帯に「少女という概念をめぐる3つの箱庭の物語」と書かれています。
桜庭さんの他の作品にも同様の事が書かれているのを見ます。
私は 少女という概念を実感出来ないので混乱してしまいますが この様な表現の仕方は 作品本来の力を不当に落し込める様に感じます。

と言う訳で 桜庭さんの作品を読む度に 本当にどこかに連れて行かれそうで とても楽しんでいます。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2005/10/31 21:46

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2006/02/10 19:27

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2006/08/22 19:41

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/01/08 17:39

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/04/19 17:53

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/05/01 10:50

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/06/24 12:19

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/02/18 19:47

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/03/26 22:02

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/04/03 02:04

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/04/05 15:14

投稿元:ブクログ

レビューを見る

86 件中 1 件~ 15 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。