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なんとなく、ドイツは世界で一番ユダヤ人差別が許されない国だと思ってた。
でも当然ながら時間は連続しているから、昨日までの感情を今日から切り替えられるはずもなく、そんな簡単なことじゃない。
ナチの国で暮らすという選択には、差別が許されないから安全というだけではない政治や思惑が入ったり、そもそも行き場がなかったり。
「ユダヤ教徒」ではなく「ユダヤ人」という意識がナチスの行為によって作られた(できあがった)とはなんという皮肉、とか、
世界中から居場所を失うホロコーストを経たユダヤ人が、心のよりどころ、最後の砦、絶対に受け入れてくれる約束の地を求めるのは当然なのかもしれない、とか、
色々思ったんだけど。
一番衝撃だったのは、これがドイツとユダヤ人の話だってこと。
ナチ以前には非ユダヤ系ドイツ人にもひとりやふたりはユダヤ系ドイツ人の知人がいたから「人間」を想像できたけれど、断絶のナチ時代を経た戦後の憎悪は抽象としての「ユダヤ人」に向かった(例、ユダヤ人墓地というシンボルを荒らす)とか、加害者の被害意識とか、補償を「しぼりとられる」と感じて憎悪するとか。
なんだこれは。今日本で起こっていることじゃないのか。
ここに書かれているのはナチス前の空気ではなく、ナチス後の世界だというのに。
あらゆる差別・偏見を批判してドイツとの融和を探ったらしいユダヤ人指導者が「死後にまで反ユダヤ主義の対象にされたくない」という自身の希望によってイスラエルに埋葬されたというエピソードが悲しすぎる。
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[ 内容 ]
ユダヤ人はなぜ、第二次大戦後も「ヒトラーの国」を選んだのか。
ホロコースト後のドイツに生きた「マイノリティ」の歴史。
[ 目次 ]
第1章 解放(生存者たち;ユダヤ人として認識されないジレンマ)
第2章 戦後ユダヤ人社会の形成(ゲマインデの結成;ユダヤ人DP;「殺人者の国」で;死者の財産は誰のものか)
第3章 ドイツ社会のなかのユダヤ人(反ユダヤ主義と親ユダヤ主義のあいだ;アデナウアー体制とユダヤ人;補償;「詰めたスーツケースに座って」)
第4章 岐路に立つユダヤ人社会(変容するユダヤ人社会;再燃する補償問題;ホロコースト世代の終わり)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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収容所から解放されて食物を摂取したがゆえに死亡しtものが多くいた。突然の食事に消化しきれずに死んでしまった。
ドイツ国内にいた混合婚のユダヤ人が収容所のユダヤ人を助けに行った。
戦後ポーランドでポグロムがあり、多くのユダヤ人がドイツに来た。
DPキャンプでは日常生活に戻る為の社会的基礎訓練が行われた。
ユダヤ人同士のもめごとはユダヤ人の間で解決されるべきと多くのユダヤ人が考えていた。
終戦直後は占領の開始とユダヤ人による報復の恐れから暴力的な反ユダヤ主義はなりを潜めていたが、46年くらいになると明らかな反ユダヤ感情の高まりが指摘された。
1990年以降ユダヤブームがドイツで起こる。しかしネオナチも登場し、1994年には水晶の夜以来、シナゴーグが放火される。
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ドイツの歴史を学ぶ上で切り離すことのできないホロコーストのその後がずっと知りたかったが、やっとそのテーマのど真ん中の本を見つけることができた。
ドイツの敗戦とともに強制収容所や、地下の住まいから解放されたユダヤ人は、そこから生きるための戦いが始まったという。
身体的な問題で言えば、栄養失調で痩せこけた状態のユダヤ人たちは、栄養を受け付けることができない体になっていた。解放された時に得られた食べ物を体が消化できず、命を落とした方もたくさんいたということに大きな衝撃を受けた。
そして身体的ではなく、そこから始まる長い「ユダヤ人としての自分」と世界との戦いである。
ユダヤ人特有とも言える互いに支え合う精神から、戦後の混乱したドイツで生きるために、海外から物資を送るなどの活動も展開された。当時4分割されたドイツそれぞれに、ユダヤ人のための居住区やゲマインデと呼ばれる共同体があることは、古くから迫害を受けたり、土地を追われた歴史を持つユダヤ人らしい連帯感のようなものを感じた。
ドイツにとっては東西統一で戦後は終わったという見方があるが、ユダヤ人への過去の克服という視点からもドイツの戦後の見方がある。賠償問題の解決はされたにも関わらず、現在でもユダヤ人への金銭的な支援や精神的な支援も含めて続けられており、ドイツにとって永遠に背負う罪だと感じた。
ドイツは戦後においても反ユダヤ主義が見え隠れしていたことが多く書かれており、そこが今回の本の中で一番の衝撃であった。
また、イスラエル建国は1つの大きな話題であり、これを理解することで、更にユダヤ人への理解が深まると感じた。
あとがきで著者はアウシュビッツに心を動かされなかったとあるが、自分もドイツ国内の強制収容所を訪れた時もどこか平和な敷地だけが広がる姿からは、ドイツ最大とも言える犯罪が犯された場所と想像するのが難しかった。
きっとこういう本を読んだり、ドイツの歴史へ理解が深めたいと思うのは、歴史が動いたその場で、その当時の人へ心を寄せながら何かを感じ取りたいから無意識にやっているのだとわかった。