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最近よく言われる「犯罪者の人権に比べて被害者の人権が軽くみられてきた」という前提は誤りである。もとより犯罪者の人権と被害者の人権とは必ずしも連動するものではない。かつて日本の国で犯罪者の人権が充分に守られてきたという事実はないし、犯罪者の人権を制限することによって被害者の人権が守られるようになるわけではない。
しかし、それにもかかわらず、こうした誤った認識に基く法律や諸制度の改正が最近次々に行なわれてきた。それは代表的には少年法改正や心神喪失者等医療観察法の制定となってあらわれた。これに対しては私は繰り返し専門家の立場から疑問を投げかけ、場合によっては反対の姿勢を明らかにした。
こうした時代の流れの中で私は学問的な調査研究を積み重ね、多くの学術誌に投稿すると共にメディアなどに意見を発表した。その内容は多彩であり、またそれぞれが時代の要請に応えるものであったと思っている。そしてそのほとんどすべてを網羅した上で、以前の業績の一部も加え、必要な修正を行った上で、今回「新しい犯罪心理学」として上梓することとしたものである。(作田明HPより)