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実直で公正で紳士であることをプライドとしているディケンズの生き方が、ありありと読み取れた。
そして、これが、イギリスという国が目指し愛し共感する姿なのだろうと思う。
なんて真っすぐで人が良く、毅然としていると同時に思いやりにあふれた誇り高い人なんだろう。
ナイアガラの滝圧倒されたり、シェイカー村を訪ねたり。
ディケンズの視線は、アメリカの滑稽さ、残忍さ、愚かさを敏感にとらえるとともに、その美しく素晴らしい面もちゃんと見つめ認めようとしている。
第17章の奴隷制度はおそろしくおぞましく、その非人道的さを厳しく批判し訴えている。
弱者によりそうディケンズには、とうてい許せないものだったろう。
P155より、ディケンズの友人ジョン・フォスター「チャールズディケンズの生涯」の「アメリカ」が掲載されている。
その内容は、ディケンズからの手紙を中心とするものであり、ディケンズの本音が読み取れ、興味深かった。
イギリス国民にとってアメリカとはどのような国だったのか、その感覚が伝わってくる思いがした。