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バスジャック みんなのレビュー

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みんなのレビュー139件

みんなの評価3.6

評価内訳

136 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

褒め言葉ですから誤解しないで欲しいんですが、読んでまず筒井康隆を連想しましたね。冒頭の一篇で、やるな!って。で、最期の作品で、やられた・・・って

2006/01/14 20:43

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

カバー写真 高橋和海、ブックデザイン 鈴木成一デザイン室。すっきりはしていますね。写真を使うと、何だかいかにも若手作家の文学!っていう気がするのですが、これが読んで愕然、なーんだ、筒井康隆ジャン、と思ってしまうんです。ただし、貶してません。これは私にとって最上級の褒め言葉。なんたって筒井サマは私にとって生き神様ですから。
で、なんで今さらそんなことを騒ぐのか、といわれれば、評判になった三崎のヒット作『となり町戦争』を読み逃しているんです。いや、ぶっちゃけて言えば、読もうと思っているうちに他人さまが評価してしまい、なにも今さら読まなくてもいいか、作家の真価は二作目以降、って敬遠したせいです。うーん、読んどけば良かった・・・
春池に住む私の妻は産後の静養で家にはいない。そんな時、回覧板を読みましたか、という隣家の主夫が「二階扉をつけてください」。街を見下ろす丘の上から僕が双眼鏡で見ているのは、自分の家。窓の中では「しあわせな光」。薫とのデートのたびに僕には気になることが。思い違いなのかそれとも「二人の記憶」。
一昨年からじわじわと再燃の兆しがあったバスジャックのブーム、たまたま現場に居合わせた主人公は「バスジャック」、雨降りの冬の夜、初めて僕の部屋を訪れた彼女は、もう開いてますか?と「雨降る夜に」。動物園からの依頼はヒノヤマホウオウを展示したいというものだった。マニュアルにしたがって私が作業を始めて「動物園」。私と父親を置いて出て行ってしまった母親が住む街に出かけた「送りの夏」。
いかにも「小説すばる」の作家らしいなと思います。まず読物としての完成度が高いです。それに、いわゆる薀蓄がありません。科学知識、最新情報に頼るのではない。あくまでも設定した世界のなかでの人間を丁寧に、時にユーモラスに、いや苦く、あるいは流行り言葉でいやですが「切なく」描きます。
ま、著者の年齢をみれば30代ですから、よほど文学に間違った思い込みさえなければしっかりした文章が書けるはずで、それがよく出ています。早速、娘二人に読ませたのですが、絶賛とまではいかなかった。でも、一気に読み終えていました。
で、私は文学の王道である人間の生死をテーマにした「送りの夏」と、人間関係の現実をみつめた「二人の記憶」が好きです。でも他の作品も楽しめる。「動物園」も、いいですね。読書好きには「雨降る夜に」、スラプスティックファンには「二階扉をつけてください」、ワイドショーがお気に入りのかたには表題作。ふむふむ、全作合格ですか。ちょっと「しあわせな光」は弱いですけど。
データですが、『となり町戦争』で第17回小説すばる新人賞受賞した1970年生まれの作家。今回のお話の初出誌は全て「小説すばる」で、2005年のものばかり。出版社の売り言葉ではないですが、この作家はホンモノですね。

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紙の本

日常からの脱出・日常への滞留

2006/03/24 18:25

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:森山達矢 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『となり町戦争』に続く作品。僕は以前この本を、戦争が目に見えない形で日常に侵入している事態を描いていると評した。『バスジャック』を読んで、それが間違いであることに気づいた。三崎が描こうとしているのは、そのような非常事態ではない。
彼のテーマはあくまでも「日常」なのである。彼の言葉を使うと「ずっと続いていく」日常である。「送りの夏」に次のような会話がある。
 「続けていくものではなくて、続いていくものなんだよ。晴れる日もあれば雨の日もある。日照りの夏があれば、時には嵐の〜夜も〜ある〜〜っとね」
 幸一は、最後の部分は節をつけて歌にしてしまった。
 「続けていく、じゃなくて、続いていく、か……」
 麻美は納得したような、はぐらかされたような複雑な気持ちで、手元の平らな石をつかんで立ち上がるアンダースローで投げると、波のない海面で、石は二度、三度と水を切って進んだ。それで麻美の気持ちは幾分すっきりした。石の軌跡を見つめて、幸一が呟く。
 「そう、続いていくんだ。続いていかなくちゃならないんだ。」
 その呟きは、麻美にではなく、自分自身に言い聞かせているようにも聞こえた。
「続けていく」日常と「続いていく」日常。この表現の仕方は、どう違うのか。
そこには、主体が介在するか介在しないかという違いがある。
「続けていく」日常は、主体の意図が入り込んだものとして捉えられる。「続いてく」日常は、主体の意思とはまったく無関係なものとして捉えられている。つまり、筆者は、我々の意思では、どうにもならないものとして「日常」を捉えているのである。日常とは、我々の意思とは無関係に我々の行動を規制する不条理なものなのだ。
「動物園」では、動物を人間、「檻」を日常のメタファーとして描いてる。日常とは、抜け出したいけど、抜け出せない頑丈な檻なのだ。
 「誰にでも日常を放擲したいという願望は訪れる。運転をしていて「今ここで思い 切りハンドルを切ったら」と思うってしまうような。実現させえないからこその、 破滅への刹那の欲望。
 (略)
 丘の高みから見下ろす。雑多な町並みに朝の光がさしていた。遠く都市高速の高架を車が行き交い、着陸態勢に入った飛行機が、速度を感じさせないまま舞い降りようとしていた。
 私は眼をつぶって、大きく息を吸う。この日常の日々は、劇的でもなく、華やかでもない。まるで、緩やかな起伏の坂道を思わせる。私はそんな人の営みを一瞥して飛び去るヒノヤマホウオウにあこがれる。ほんの一瞬だけ。」
 しかし、そうした日常化から脱出したいと願うが、その檻がはずされたとしたら、どうするだろうか。筆者は、その抜け出したい日常にこだわり続ける。不条理な日常から脱出するわけでもなく、不条理を道理あるものとするのではなく、不条理を不条理のまま肯定する。これこそ筆者のテーマなのだと思う。
「今この檻が突然なくなってしまったら、ヒノヤマホウオウはどうするだろうか? あの時のように一瞬で飛び去ってしまうのだろうか? ううん。私は首を振る。きっとホウオウは、無限に開かれた自由な空を見上げて、一度だけ羽を大きく広げるのだ。そして、いつでも飛んでいけることを確かめて、やはりここにとどまるのだろう。」

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紙の本

出版社コメント:やっぱり只者ではなかった!!

2005/12/06 10:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:集英社 - この投稿者のレビュー一覧を見る

今度の作品は七篇の短編集。といってもショートショートから短編、140枚の中編までバラエティに富んだ形式。しかも形のみならず内容や筆致も多彩、それゆえに三崎亜記の一筋縄ではいかない個性がくっきりと浮かび上がっています。
恋愛の摩訶不思議さを叙情豊かに描いたかと思えば、犯罪を奇想たっぷり(時には悪ふざけスレスレ?)に“アレンジ”してその手腕には拍手喝采したくなるほど。「自分」を生き続けること、毎日が続いていくことへの希望と諦念が見え隠れする読み応えたっぷりの中編もあり、この著者の想像力とストーリーテリングは決して“偶然の産物”ではないのだと分かります。
詩情、ナンセンス、シュールさ、切なさ、優しさ、温かさ、そして生の深淵に触れたときの落ち着かないさ。
この複雑さ、読む人によって違う顔を見せるのが“三崎亜記”です。
すでにして独自の匂い、彼だけの世界を持った書き手の最新作をぜひお読みください。
***
担当者イチオシ
編集:『バスジャック』のぶっとびぶりには驚きました。見知った風景を「当たり前ではないもの」として捉え直すこの人の目(脳?)はすごい!
***
販売:『しあわせな光』。たった3Pの物語。しかし、今年イチバンの感動作に間違いない!!
宣伝:いえいえ!!NO.1は『二人の記憶』です。恋人たちの違和感をこんなカタチで描くとは!奇妙で切なく、じ〜んとするお話です!

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2005/12/25 13:48

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2005/12/29 16:42

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2006/01/17 00:37

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2006/01/04 23:22

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2006/01/07 13:00

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2006/02/01 17:29

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2006/03/13 11:34

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2006/09/10 01:18

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2006/09/03 02:31

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