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日本銀行政策委員会審議委員を7年間務めた東大教授の記録のようなものですが、真面目すぎて面白みは欠いていました。アメリカのFRB理事経験者の本などはもっと自由で面白く書かれていると思うのですが、日本では許されないのでしょうか?
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日銀審議委員の一人であった著者が日銀の金融政策を総括した本。当たり前のことだが、自分たちはこれだけ頑張って金融政策を行ってきた。という論調からのみの本であり、面白味の欠片も無い。日本銀行の歴代の中で見ても、最悪の一人と評される前総裁速水優氏と共に日本経済を不況に導いた罪人の一人であり、本の中の説得力は全く無い。
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自分自身既に興味が無くなってきてる&研究者の書くガチな文章ってこともあって、あんまり面白くない&よく分からなかった。ゼロ金利解除されてホットなトピックだったのにね。若輩ぶりにがっかり。
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「時間軸政策」って一章まるまる使って難しく書いてるけど、「ゼロ金利期間ちょっとおまけしますよ」ってことですね。
ゼロ金利下での一段の金融緩和政策は下の3つが説明されていた。
タイプ1:将来の金融政策ないし短期金利についての予想のコントロール
タイプ2:特定の資産の大量購入
タイプ3:中央銀行のバランスシートの規模の拡張
当時よりもひどいデフレ不景気に悩む今、タイプ3を実行しないのだろうか?
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98年~05年にかけて日本銀行審議委員を務めた植田和男氏の金融政策の解説です。
同時期の中原氏の「日銀は誰のものか」に比べ、理論中心で委員たちの人間模様は出てきません。
(私の金融経済政策への理解の浅さゆえ)難解な部分もありますが、書かれた時期が古いにも関わらず、たいへん示唆に富んで勉強になった一冊です。この本でうまく理解できなかった個所を中心に次の読書を進めていきたいと思います。
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流動性の罠に陥っている中、日銀が如何にあらゆる金融政策を実施してきたかが網羅的に記載されている書籍。
●金融緩和の二つの制約
表面的なマネタリーベースの伸びから判断すれば「超金融緩和」期であった過去十数年だが、
①短期金利のゼロ制約
②民間銀行の資本制約
のために、緩和の程度やその効果も限られ、早期のデフレ脱却にはならなかった。
● 流動性の罠からの脱却が必要
・金融政策とは別の経済へのポジティブなショックが必要。
・時間軸政策も、外的な要因で経済が流動性の罠から脱出するという期待がある程度強くないと影響度は弱い。
●名目金利が下がらないときに実質金利を下げるためには、インフレ期待を起こすしかない。【実質金利=名目金利—インフレ期待】。デフレ期待では実質金利は高止まる。いかにして、インフレ期待を起こすか。
●日銀の時間軸政策
・インフレターゲット論や量的ターゲット論は、中長期的な政策のコミットによって市場のインフレ期待形成に何らかの働きかけをすることにある。
・時間軸政策は、デフレ懸念が払拭できるような情勢になるまで、現在のゼロ金利を継続することをコミットする。これは、ある種ターゲット論と同等の効果を持つ政策であった。
●日銀の取れる金融政策のオプション
① 将来の金融政策ないし短期金利についての予想のコントロール
・ 将来の金融政策経路について何らかのコミットメント(約束)をすることによって、そうでない場合と異なった水準に、将来短期金利の予想値、従って現在の中長期金利を誘導する。
・ ゼロ金利をしばらく保証することによって、現在の潤沢な流動性供給(現在のゼロ金利)だけでなく、将来のそれ(=将来のゼロ金利)を保証し、金融機関の誘導生不安をある程度長期間にわたって緩和し、資金繰りを楽にする効果を持つ。
② 特定の資産の大量購入
・ ある特定の資産を大量に購入して、その資産価格に影響を与えようとする政策。以下のタイプ3と区別するためには、ある資産を購入するとともに別の資産を売却し(ツイスト・オペの実施)、中央銀行のバランスシートの構成要素間の比率を変える(例えばAという資産を購入してBを売却する)ことにより、市場に存在する各資産の比率に影響を与え、その結果資産価格を動かそうとする政策。
・ 短期金利はゼロになっても、金利や期待収益率がゼロでない資産は存在する。中長期国債や社債が典型。
・ 金融不安の根っこにある金融機関の自己資本不足への直接の対策になる。例えば、金融機関が資本不足でリスクが取れない結果、リスクプレミアムが上昇している資産があれば、これを中央銀行が購入してやることによって、経済へのマイナス効果を緩めることができる。
③ 中央銀行のバランスシートの規模の拡張
ゼロ金利を実現するに必要以上の資金供給に意義を認める政策。金利がほぼゼロとなってしまった短期国債を買い続ける政策。
—高水準のマネタリーベースが民間部門のポートフォリオ・リバランス(マ��タリーベースを他の資産に替えようという行動)を引き起こす可能性。
—タイプ①の政策における期待効果を高める(高水準のマネタリーベースの供給によって中央銀行がタイプ①の政策を真剣に進めるという認識を醸成する)
●金融政策の限界
ー1998年施行の新日銀法で独立性を高めるかわりに、債務超過に陥った場合の政府の補填条項が削除された。これは、政策決定に関する自由度を高めた代わりに、政策の帰結についても日銀が責任をことをはっきりさせた。
ー“資源への配分、中央銀行の財務状態への配慮等を無視してよければ、デフレの克服は容易い。財を大量に購入して、廃棄することを続ければデフレは止まる。中央銀行が政府の代わりに公共投資を実施しても同じであるし、大量に株式を購入して、株主として設備投資を命じることも考えられる。不良債権で苦しんでいる銀行から市場価格を上回る価格で不良債権を大量購入することも考えられる。積極的に自己資本不足でリスクを取れない民間銀行に代わって、中郷銀行が大規模に融資を事項することも考えられる”
ーなぜ、こうした政策を実行しないかといえば、1、2%のデフレのコストは自動車やパソコンを大量購入して排気するコストに比べれば小さいと考えられるから。
ー民主主義の下では、独立性の高い中央銀行がとれる、あるいは取って良い財務リスクには限りがある。本当に損が発生すれば、結局は国民の負担になる可能性が高い。
ーしかし、中央銀行の政策担当者は直接国民の投票によって選ばれているわけではない。国民に大きな負担が発生するかもしれないような政策は投票によってえら腹ている政治家が決めるものと考えるべき。
<参考文献>
日本におけるテイラールール
http://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list5/r99/r99_082_096.pdf
テイラールールが示唆するゼロ金利解除時期
http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/market-insight/MI060309.pdf
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(2007/3/14)
東洋経済で2006年度の経済本1位になってたので,興味がわいて買ってみた.
ゼロ金利政策,量的緩和のまっただなかに日銀の中枢にいた著者が,そのときの意図と,
ふりかえってのデータからの政策の評価をするという,極リアルで極学術的な本です(多分).
文献引用もしばしばあるが,そのほとんどが自分の論文か,バーナンキの論文というのはどうしてなんでしょう??
主には,時間軸方向の政策と筆者がなづけるものについて検討されています.
つまり
「金利ゼロになるようにがんばります.」
というのみならず,
「これからカナリ長い間,金利ゼロになるようにがんばります.」
と,発言することを加えることで,現時点での長期金利までコントロールしようという政策.
ゼロ金利に実行後に更に緩和するために取れる方策はないか?と考えられたものだそうです.
本書を読んでて思ったのは,ほんとに日銀はマクロな経済指標とニラメッコしながら政策決定やっているんだなあ,てことっす.
バブル崩壊後の90年代から現在までは,同時に技術革新が進み,それに伴い社会構造が変化していった時代でもあるのですが,
そういう実体経済的なところはほとんど本書には現れず,金利というパラメータを下げれば経済が活性化するという基礎方程式の上でどうするか?
というモノの見方が通底していたように思えました.
この前の日銀の公定歩合が引き上げられたときにも福井総裁がなんとなく
「経済学的な指標のみから純粋に判断した」
みたいな事をいっていて,意図としては「他の不純な思惑はありませんよ.不確かなものはつかってませんよ.」って事だと思うんだけど,
ボクの耳にはちょっと違和感があった.
経済自体が経済のパラメータで閉じた系では決して無いので,
そのパラメータだけ見て判断するというのは胸をはることなのか??もちろん,
ある程度はモデル化できてるわけで,今日の経済学があるわけですが,経済学的な指標のみから判断することは,むしろ
「それくらいの情報しか使えないから」であって,より多様な情報も「使えるなら使うべき」
っていうのが筋だとおもうんですがねぇ.
(実際には政策決定のプロセスで様々な情報が議論されてはいるようですが.)
この本を読んでると,著者の書き方からは,その違和感を感じてない人っぽさがにじみ出ていたので,
またちょっと違和感を確認したということでした.
まー,しかし,このぐらいの難度の本になると分からない言葉だらけですね.
クレジット・クランチ,貸出のロールオーバー,国債スプレッド,などなど・・・・調べます.
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次の日銀総裁、植田さんの金融政策関連書籍。
アベクロ緩和の前までなので、「今」の複雑怪奇な金融政策からの出口をどう考えているかは分からないけど、日銀のゼロ金利政策の総括を200ページでわかりやすくまとめているので、少なくとも「わかりやすい説明」ができる人、加えて、黒田さんと違って「論理的に」説明できる人であることは、よくわかった。
その辺を見越して、円金利は落ち着いて推移して、無茶苦茶な出口による円金利上昇がないから、円安がまた進んでいるのかなぁ?とも思う。
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研究界で挙げられている短期金利ゼロ金利下での金融緩和の手法:
1.時間軸政策
2.非伝統的資産の購入
3.(物価目標達成のために)必要以上の流動性供給
時間軸政策は、金融緩和の前借りであり、短期金利を上げても良い状況になった未来においても低金利(ゼロ金利)の継続を約束するもの。したがって、当該未来までの期間を含む現在の長期国債の金利が低下し、それが緩和効果を生むことになる。
短期金利を上げても良い状況になると、中央銀行としては利上げする誘因が生じるが、ここで金利を引き上げると、市場から信認されなくなり、次回以降この政策が使えなくなるというデメリットがある。
一方でそうした状況において利上げをしないと、必要以上のインフレが生じるリスクがあるが、そうしたリスクをとって初めて時間軸政策の効果が出ることになる。
本著は2005年に執筆されたものであるが、現在(2023年)の異次元金融緩和の考え方にも通ずるものがある。仮に足元の物価上昇で利上げ(緩和を弱める)することは、時間軸政策の効果が失われることを意味することになるため、やはり物価上昇が安定的・持続的であることを確認できるまで(日本経済が利上げに耐えられる状況になると判断されるまで)は、市場へのコミットメントの通り、強力な金融緩和を続ける必要がある、というのが植田氏の基本的な考え方のようである。
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ご多分に洩れず、植田さんが日銀の総裁になるニュースを聞いたのち、本屋に並んでいたので経済のお勉強を兼ね、今後の投資戦略の参考になればと思い購入。
結局三ヶ月くらい積読状態だったが私にしてみれば短い期間で枕頭の書になった。
200ページにも満たない薄い単行本であるが、およそ二十年前に植田さんが日銀審議委員を辞めた直後に、その時代の日銀の金利政策の分析と解説をしているのが本書である。
前書きを読むと、非常に論理的にステップを踏んでの解説になっているようだが、専門用語がよく理解できずに読み進めるのにかなり苦労した。
正直難しすぎるので、星2つになった感じである。
当時の植田さんは、量的緩和の解除には慎重な立場をとっていたようであるが、それは、今の総裁になってからの植田さんに重なる部分もあるように思う。
もっとも今の日銀の状況は当時と比べ物にならないほど厳しく、量的緩和解除をしたくても、その副作用が大きくて出来ない状況のようにも思えるが。
植田さんの頭の中には、出口戦略の道筋が果たして出来ているのだろうか。普通に考えるとある程度の目算があるから、総裁職を引き受けたのだと思うので、何とかうまく舵取りをしてくれるのを切に願うばかりである。
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第3章
1998年から2005年までの日銀(およびFED)の金融政策
ゼロ金利政策までの道 42
ゼロ金利解除から量的緩和へ 45
第5章
1 クルーグマンの量的緩和論 76
インフレ期待を引き起こす政策 76
第8章
失われた10年のマクロ経済学
2 なぜデフレーションは問題なのか 147
第9章
構造問題と金融性悪 169
出口論をめぐって 189
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日銀、マイナス金利解除へ 17年ぶり利上げ、19日決定
2024 3/15(金) 20:58 配信 共同通信
日銀の植田和男総裁
日銀が18、19日に開く金融政策決定会合で、
大規模な金融緩和策の柱である
マイナス金利政策の解除を決める見通しとなったことが
15日分かった。
決定すれば
2007年以来17年ぶりの利上げで、
金融政策の正常化を開始する転換点となる。
連合が同日公表した今春闘の平均賃上げ率は5.28%と33年ぶりの高さで、
日銀は
賃金と物価がそろって上昇する好循環が実現する確度が十分に高まったとみている。
日銀は
マイナス金利政策を解除した後も
緩和的な金融環境を維持する方針で、
事実上のゼロ金利政策に移行することを想定している。
金融機関が短期金利に連動する
変動型の住宅ローンや企業の借り入れなどの金利を上げるかどうかが焦点となる。
植田和男総裁は、経済の好循環の実現が見通せる状況になれば、
マイナス金利の解除などを検討する意向を示している。
日銀は
物価上昇率を2%に安定させる目標を掲げ、
黒田東彦氏が総裁だった13年4月に大規模緩和を始めた。
2016年にはマイナス金利政策を導入した。
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三回ほど通読して読んだが、まだ生きる良書・解説書(時間軸政策の効果の実証数学付録がある)
本書を上梓されたのは2005年12月1日で、書かれていることは黒田前総裁時代に行っている。将来の予想についての金利のコントロール・特定資産の大量購入・中央銀行のバランスシートの規模拡張(P30~)
本書における量的緩和における分析と、量的緩和にまったくの効果がないとは言い切れないであろう。詳しくは本書の図表と分析にゆずるが、簡潔に説明すると銀行貸し出しがまったく増えていないわけではないのである。
よく、日本銀行と連邦準備制度理事会(略称でFRB・Fedと言われる)と比較されるが、Yellen(2004)、Blinder&Reis(2005)等の議論を説明し、デフレリスク回避・金融システムとの問題点を説明されている。
一点だけ重要部分を引用する
”
唯一無二という説明があるわけではなく、実物的要因を重視する立場と、金融的要因を重視する立場の双方に、それぞれある程度の説得力があると考えるべきだろう。
P140
”
著者は、日銀内部と外部(おそらくリフレ派と言われる経済学者)のコミュニケーションは不幸だったと書いているが、おおむね日銀の行政執行力*と国外経済学者の論文なり提言を分析し、政策決定・執行・運用に活かしていたと判断できる。
日銀がフルに政策を執行しようとしても、不良債権問題や構造的な問題が難点というのは、本書の最後の方を読めば理解できる。現在進行形から未来形で重要である。
*黒田東彦(前日銀総裁)が、日銀入りする前に上梓された『財政金融政策の成功と失敗』(日本評論社/2005/7/20)にも、行政職員の執行力についての言及がある。
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銀行の不良債権処理により金融緩和を行なったにもかかわらず効果は限定的だった
巻末にビハインドカーブでも問題ないなどの記載あり