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タイトルにもある「ミニチュア」「境界線」「贋物(⇔偽物)」「蒐集癖(⇔投機的収集)」といった,著者が言うところの一見他愛もなく真面目に論じられもしてこなかったキーワードから,人間のもつ奇妙な思考癖と,その裏の本質を手繰り寄せる試み。奇をてらってのテーマ設定ではなく,例によって著者自身の鬱屈感や不安感を核にして,精神科での患者との交流から得たクールな視点や,幅広い映画・文学の雑学を材料に話を進めたらこうなった,という感じだろう。
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[ 内容 ]
世の中には、一見無意味なことや苦笑を誘うような事象があふれている。
本書は、ミニチュア愛好、境界線へのこだわり、贋物への欲望、蒐集といった、きわめて個人的に見えるが、実は普遍的で、世間一般には「論ずるに足る」とは思われていないような心の働きについて論じるものである。
人が心密かに抱いている奇妙な情熱や不可解な好奇心を考えることで、生きている手応え、人間の心理におけるリアリティーとは何かを探っていく。
[ 目次 ]
序章 リアルなものについて
第1章 健康なミニチュア、不健康なミニチュア
第2章 ミニチュアとしての文章
第3章 境界線という明快さ
第4章 贋物および瓜二つ
第5章 蒐集癖
終章 奇想について
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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あの人はなんであんなものが好きなんだろう、僕はなんでこんなものが好きなんだろう、という問いに自分なりの答えを出そうとしている本だと思う。
世の中にはいろんな人がいることを改めて感じさせてくれた。
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先行著作『幸福論』補遺、
あるいはヴァリアントとも受け取れる一冊。
サブタイトルの4項=4つのモチーフについて、
臨床経験や個人的体験を踏まえた考察が繰り広げられるが、
『幸福論』同様、ちょっとした書評集として読むこともできる。
第2章「ミニチュアとしての文章」で紹介される、
「私を捨てないで下さい」とメッセージを発する
木片のエピソードに、不気味なユーモアを感じた。
機会があったら真似してみたい(笑)