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紙の本
たまには過激なアクションストーリーを楽しもう
2006/03/22 16:12
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
先日読んだジャン=クリストフ・グランジェ『狼の帝国』はフランス製のハードバイオレンスだったがこれは本家アメリカの活劇小説である。新刊の読みたい本が見あたらなくなった間隙には古典かさもなければこのような過激なアクションストーリーを楽しむに限る。特に通勤途上では絶好のエンターテインメントだ。
『狼の帝国』にはフランス社会のノワールな精神が味付けされていたがこれはどちらかといえば明るく楽しく残酷なゲームを提供しようとのサービス精神に徹している。
「暗殺者とボディガード。プロの誇りと意地が火花を散らす!」>暗殺者だって「わるい人」ではない、ボディガードだって「いい人」ではないよ、お互い誇りと意地を大切にするプロなのよ。これが基本のルールーだ。この架空のルールを徹した、ゲームとしての攻防戦だ。
「息もつかせぬ怒濤の展開」とキャッチコピー通りに面白い。
ゲームというのはルール厳守でなりたつ。審判の判断が絶対真であるとするのがルールであれば、いくらビデオテープをプレイバックしてそれはセーフだと実証できたところで審判の判断がアウトであればアウトが正しいのだ。だからルールを厳守するアメリカが他国とゲームをして勝ちたいときにはアメリカびいきの審判をたてるのは間違いない戦略なのだ。もっともその戦略が破綻する現実は実にドラマチックな展開でありました。
「女(暗殺者)は男(ボディガード)に賭けた、男は命を懸けた」「女は過去を捨てた、男は信念を貫いた」「暗殺者の素顔のなんとドラマチックなことか」と紹介がされたところでこの本来敵対する男女の心情に深く感じ入るべき文芸作品ではなく、かといって叙情あふれる古典的ハードボイルドでもない。現実的でもなくこの色模様はやはりゲームを面白く進めるために必要だった枠組みとしてとらえておこう。
「女暗殺者ドラマの本当の目的は別にあったのだ。期せずして暗殺者と行動をともにすることになったボディガード・アティカスのもとに、もうひとりの暗殺者が現れる」
「上巻から下巻へ、思いも寄らない展開に読者はページを繰るのがとまらなくなるに違いない」
とあればストーリーの骨格はおのずと知れる。
ストーリーが単純な割に上下巻とボリュームがあるのは暗殺者から警護対象者を守るガード体制についてのディテールにあって、これが嘘か真かはべつにしても、物珍しさが手伝って、ヘェ要人警護とはこんなことをするのかと感心させられ退屈することがない。これだけの完璧のバリアーを破って目的を遂げるのだから暗殺者おそるべしとその超人性がいっそう際だつ仕掛けである。
「大好評『ボディガード・アティカス』シリーズ」で、すでに『守護者』『奪回者』『暗殺者』『耽溺者』が発刊されている。シリーズものは三巻目あたりから品質が落ちてくるものだが、この作品を読む限りマンハントサスペンスの水準をいっている佳作だ。
マンハント・サスペンス・アクション・タフガイといえばフォーサイス、クィネル、カッスラー、ハンター、ラドラムとよく読んだものだが、これらがロードショウ劇場で大画面と音響効果の迫力を楽しむものなら、『逸脱者』は手軽に良くできたテレビゲームを楽しむと言ったところかもしれない。
ディテールは映像的な描写にあって過剰な暴力をゲーム感覚で楽しませる企ては成功している。
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