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「海の上のピアニスト」「絹」で知られるイタリアの作家バリッコが、朗読劇のために書きあらためた「イリアス」
力強く、いきいきと描かれています。
ホメロス原作の「イリアス」を朗読すると40時間かかるので、繰り返しを削り、神々の部分を省略、人間が次々に出てきては語るという構成に。
クリュセイス、ヘレナ、アイネイアス、アキレウス、オデュッセウス、パトロクロス、ヘクトル、アガメムノン、アンドロマケ(ヘクトルの妻)などの視点から。
「イリアス」というのはギリシア人を指しているんだっけ?
もとはトロイ戦争を描いたもので、神話と混ざり合い、古代ローマ帝国の起源を示すものともなっています。
「イリアス」は、トロイの王プリアモスが英雄アキレウスに対面して息子ヘクトルの遺体を返して貰う所までだそう。
トロイの木馬のシーンがないとは意外、それは他の作品なのね。あ、「オデュッセイア」かしら。
その辺は書き足してあるとか。
映画の「トロイ」を見ていれば、わかりやすいです。
一部には違いもありますが。
美女ヘレナが20年もトロイにいたというのは、いささか‥
それで今さらスパルタに帰っても針のむしろでしょう。ヘレナがスパルタ王の跡取り娘だから、財産としてもシンボルとしても奪い返さなければならなかったんでしょうが。
これはまるっきり創作なのか、当時流布していた伝説があったのか、どうなんでしょうね。
アーシュラ・K・ル・グウィンの「ラウィーニア」はこの中に出てくるアイネイアスの奥さんの視点からの話です。
トロイを脱出して放浪、やがてこの地に国を築いたアイネイアスがいわばローマ帝国の祖。