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こちらも薄気味悪い
ホラーのような怖さでないところがまた良い
しっくりこない、むずむずするような話ばかりでしたが
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思い込みからくる善意の押し付けとか、理はこちらにあるのに言い出せないうちにじわじわと他者に入り込まれてしまう不快感とか、ふとしたきっかけで現実が揺らいでしまう心もとなさとか・・・・
肌がゾワゾワするような、胸のなかがもやもやするような、嫌な感じがたっぷり楽しめる。
1949年の出版というから、今から60年前の作品集なのに、とても今日的に感じる。
ぞっとさせられると同時に哀れさも感じさせる「魔性の恋人」、意表を衝かれた終わり方の「曖昧の七つの型」、こちらまで信号が渡れなくなるような気分にさせられる「塩の柱」が特に印象深い。
――The Lottery ; or,The Adventures of James Harris by Shirley Jakson
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第三者からの悪意、明確な理由もないままずるずると転落してしまう悲劇を書かせたら天下一品というジャクスンさん。物語の主役よりも脇役のほうが生き生きとして目立ってます。もちろんその残酷な悪意で・・・。第三者本人が自覚していない悪意っていうのはよくありますが、シャーリイ・ジャクスンの書く悪意は明らかに確信的な悪意。なぜ全くの他人からそんな悪意が生まれているのか。そんなところでゾッとします。さすが魔女とまで言われたシャーリイさん。
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「くじ」については、ダメな意味でもう古典かなという感じがしたが、他の素晴らしい短編「塩の柱」といい、レベルが高くものすごく面白い。最高に面白い、かなり面白い、面白い。という感じで短編がずらずらと並んでいる。独創性と普遍性がちゃんと共存している。見事。
こんな風に書けてしまうことが、うらやましい。もちろん★5です。
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短編集です。タイトルにもある「くじ」が出世作ということなので読んでみました。どの短編も不安定で不気味な静けさを持っています。今にも倒壊してしまいそうな微妙なバランスを持って積み重ねられた硝子の積み木で作った塔。それが幾つも立ち並んでいる。そんな雰囲気を持つ本です。はっぴいえんど好きな私からすれば、どの短編も読後釈然としない思いがします。なのに次々と繰り広げられる世界に自ら入って行きたくなります。小説の持つ面白さの一端を感じる本ですね。楽しめたのですが、人にはすすめられないので評価は低くなりました。
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Ⅰ「酔い痴れて」「魔性の恋人」「おふくろの味」「決闘裁判」「ヴィレッジの住人」
Ⅱ「魔女」「背教者」「どうぞお先に、アルフォンズ殿」「チャールズ」「麻服の午後」「ドロシーと祖母と水兵たち」
Ⅲ「対話」「伝統ある立派な会社」「人形と腹話術師」「曖昧の七つの型」「アイルランドにきて踊れ」
Ⅳ「もちろん」「塩の柱」「大きな靴の男たち」「歯」「ジミーからの手紙」「くじ」
Ⅴ「エピローグ」
が読めます。
「魔性の恋人」「おふくろの味」「決闘裁判」「ヴィレッジの住人」「魔女」「人形と腹話術師」「曖昧の七つの型」「アイルランドにきて踊れ」「大きな靴の男たち」
が最高に面白い!
が、どれもとても面白いです。
人間の黒いところがグレーに落とされて描かれています。
「あー、分かる!分かるよ、それ!」という感じがそっと描かれていて、何度もドキっとさせられました。
とても面白かったです。
何気なく手に取った本だったので、あまりの当たりっぷりに正直驚きました。
オススメです。
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最初の印象は「そんなに怖くないじゃん」。それが2つめの「魔性の恋人」から「おふくろの味」「決闘裁判」と読み進めるうちに、打ちのめされることに。降参です。すげえ! ふとした瞬間にむき出しになり見せる(まさに魔がさした!)何ともいえない人間の嫌らしさ、平穏な日常が隣人との不協和音からガラガラと音をたてて崩壊していく怖さ不快感がどの作品からも立ち上がってきて…じわじわと怖い。もっと恐ろしいのは、主人公を奈落の底に突き落とすやっかいな人物が他人事ではなく、まるで私自身が投影されて描かれているように感じてしまうことだ。いや〜ん(涙目)。 収録されている22編中、「怖い」と感じたのが「魔女」「背教者」「おふくろの味」「決闘裁判」「大きな靴の男たち」そして「くじ」。「分かるわあ。私もやりかねない」共感できてしまったのが「ヴィレッジの住人」「麻服の午後」「曖昧の七つの型」「もちろん」。何ともいえず嫌らしかったのが「アイルランドにきて踊れ」。手厳しいラストが…絶句。 「怖い」というよりも、人間の中に確かにある残酷で嫌らしい側面を、巧みな観察眼と描写力によって、鮮やかにほじくり出して描き出しちゃった作品集って感じ。読んでも気分爽快にならないし、毒気に中てられて読了感最悪で鬱々だし、でもでもでも。それだからこそ、強く印象に残って決して忘れられないというか。 60年近く前に発表されたというのが嘘みたいに、今読んでも十分に通用する「奇妙な味」の魅力ぷんぷんの物語。堪能した!!!
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きっとシャーリー・ジャクスンは人間誰しも持っている嫌な部分がよく見えるひとだったんだなー。ありふれた生活のなかの残酷な部分、虚栄心、冷たさといったものがじわじわくる。
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異色短編の中でも味が違う
オチらしいオチもなく、短く終わるものが多い。はっきり言わず、ほのめかすだけと言うか
ヒントだけ見せられて、問題を教えられてないような話
三人称視点と女性視点の話が多い印象。女の人が書いたとわかる話
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2012/03/11/Sun.購入。
2012/11/12/Mon. 〜2013/03/07/Thu.
後味悪い系小説好きだけど、
正直、中にはオチや意味がよく分からない話もあって、
私の読解力が足りんのか?と思いつつ読んでた。
最後の「エピローグ」〜訳者・深町眞理子氏の解説読んで、
やっとストンと落ちた感じ。
もう一回読み直そう!
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どの短編も人間の奥深くにある、残忍さや不確かさを浮かび上がらせる。「くじ」は超有名で、内容は読む前から知っていた。なのにこの怖さはなんだろう。意味は忘れ去られて行為、習慣だけが残った結果が・・・「アイルランドにきて踊れ」この逆転劇、老人に親切にするのだが、受けた側は・・・「もちろん」向いに引っ越してきた家族、良い人たちみたい、そして会話を重ねるうちに・・
読んでいるうちに座り心地のわるい椅子に腰かけているような、背中がむずむずするような感覚になります。このじんわりくる怖さは格別ですね!!
面白かったです。ありがとう・・・
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後からじわじわとくる感じ。文章に含まれた悪意がすごい。表題作「くじ」がずば抜けていたけど、「おふくろの味」も好き。
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ホラーや幻想的な物語を期待していたんですが、ちょっと違ってた。日常の一場面で、偽善、狂気、見栄、悪意、さまざまな人の心の裏側や残酷さをほのめかすようなイヤな感じの物語が詰まった短編集でした。上手いんですけど一気に読んだら読み疲れた。
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「ずっとお城で暮らしてる」が面白かったので。
ホラーかな?と思って読んだら、少し違った。言うならば「嫌な物語」という感じでした。全体的に不穏。日常に潜む小さい悪意が寄り集まって、じわじわ効いてくる。1冊読み終える頃にはぐったりしてしまった。
収録作の中で最高に嫌だったのが「おふくろの味」何だこの女は…。
「塩の柱」の強迫観念に囚われてしまって信号がなかなか渡れない女性はリアルにありそうで怖かった。表題作の「くじ」も理不尽な怖さがある。
同じような名前の人がよく出てくるなーと思ってたけど、あとがき読んで納得。
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ハヤカワの『異色作家短篇集』では、スタージョン『一角獣・多角獣』と並んで有名な1冊。著者のシャーリイ・ジャクスンは『たたり』や『ずっとお城で暮らしてる』が有名。
『ホラー作家』とカテゴライズされることが多いが、『異色作家短篇集』の一角を占めるだけあって、ストレートなホラーというよりは、ちょっとユニークな読後感が残るタイプの作家で、本作ではその『ユニークな読後感』が強い短篇集だった。
殆ど伝説のようになっているのが表題作の『くじ』だが、どれも怪奇小説というよりはサスペンス、人間の内面を鋭く抉る作風。女性同士の会話に英国心理小説との共通点を感じるのは、どちらも『人間の内面』を主題にしているからだろうか。また、切れ味の鋭さはサキっぽいところもある。実際は米国の作家なのだが、英国っぽい……。
表題作は言うに及ばずだが、その他の短篇では『魔女』『どうぞお先に、アルフォンス殿』『チャールズ』『人形と腹話術師』『曖昧の七つの型』『歯』が良かった。
驚いたのは、翻訳の深町眞理子氏が最初に出した訳書が本作だったということ。深町氏といえば創元版のシャーロック・ホームズやルース・レンデルの邦訳が有名。個人的に思い入れが深いのはヘレン・マクロイの『家蠅とカナリア』かな。