紙の本
診療報酬について手軽に理解できる
2008/02/12 00:09
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:照葉樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る
診療報酬の決定メカニズムについて、一般向けに解説した本があまりなく、政治学的な視点からの本書は大変貴重である。素人でも分かりやすく解説している前半部分は、特にオススメできる。これで、ほぼ、診療報酬の全容が把握できるし、自分が病院で支払っている金額の意味も理解できる。
また、医師会の政治史・・・のあたりも、なかなか読み応えがある。診療報酬決定の舞台である中医協の議論は、もう少し踏み込んでも良かった気がするが、新書のボリュームではやむを得ないところか。実際は、中医協、厚労省、医療現場のインタラクションがもう少しあるという気がするが・・・いずれにしても、万人に薦められる良書である。
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医療と政治の関わりについて詳しく述べてある・・んだと思う。医療政治の歴史について述べる部分が長すぎて読む気がしなくなり、かかりつけ医のあたりだけ読んであとはほとんど読み飛ばした・・。
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市民参加・監視のための医療経済入門書
市民の眼に触れることなく形成された「医療の値段」形成システムの入門書である。
患者・国民にとってその関心事は、窓口で支払う金額の多寡であり、自分と家族にとっての医療の質に偏る。
しかし、その医療の骨格を形成するのは、政治・行政が司る医療制度であり医療経済である。医療の現場の医療者は、医療制度に組み込まれたコマとして医療提供に携わる。
本書は、その医療提供者の側である日本歯科医師会役員による、診療報酬をめぐる政治家と診療報酬改定の現場である中央社会医療協議会委員に対す違法な資金提供事件によりその闇の一部があぶりだされた事件を一つの契機に編まれた。
市民参加・監視の手薄な分野には、例に漏れず利権が発生し市民の利益から遠ざかる力学が発生する。
一般向け教養書に「医療の値段―診療報酬と政治」が登場する時代の不幸と幸福を考えるとともに、本書を限られた医療資源を効率的に配分するシステムを考える一助にしたい。
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内容的にはよく調べられているとは思うが、読み物としてどうも面白みに欠ける。「よくできました論文」の域を出てない。
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[ 内容 ]
多くの人が、病院の窓口で請求される金額について特に疑問も抱かずに支払っているのではないか。
医療の値段はどのように決定されるのか。
医師会をはじめ、各関連団体がどのようにかかわっているのか。
歴史的な経緯をたどり、複雑な仕組みを解きほぐして、公正でかつ誰もが納得できるありようを考える、医療政策論の試み。
[ 目次 ]
序章 病気を治すのにいくらかかる
第1章 医療の値段の決められ方
第2章 利益団体と医療―医療費をめぐる政治史(1)
第3章 医師会と医療費―医療費をめぐる政治史(2)
第4章 かかりつけ医制度と医療費
第5章 「医療の値段」と政治―日歯連事件からの検証
終章 公正な医療の値段とは何か
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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医療の値段をキーワードに、医療政策の歴史が書かれている本。
医療費が2年に1回みなおされていることも中央社会保険医療協議会なるものの存在も恥ずかしながら知らなかったし、そもそも一般市民は知らないことだらけなんじゃないかという印象。
こうやって決まっていると知るだけでも興味深い。
患者の立場と被保険者の立場で医療費に対する価値観が違うというのにも、なるほどと納得。
今後は高度先進医療や遺伝子治療などさまざまな新しい領域ができてきて扱うべきことも増えるけど、国民皆保険制度であることを忘れずに自由診療の領域を増やさないべきだという筆者の主張には納得。
高齢化社会では医療費問題は頻出なので、知っておきたい内容だった。
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診療報酬について知りたくてかった。
1番知りたかった、税金からの徴収システムがいまいちわかんなかった。
あとは診療報酬を決めるあんまりメジャーじゃない中医連?だかのおはなしとか。
NHKスペシャルでやってそうな内容のお話。
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医師会の歴史などとも絡めながら、医療経済の在り方を考える本。どのような診療内容に対し、どの程度おカネがかかっているのかということに、各人が注意を払うのはもっとも。ただ、報酬の適正価格などについては、専門家に明らかに一日の長がある。同じ土俵で同じ重さの意見という訳にはいかない。それは、政治の専門家である政治家についても同様、重要な決定権は持たせるべきでないのだけど。命の重さとお金の話だけに、それぞれの言い分は違ってくるし、明確な答えがないところが、この問題を難しくしているのだろうけど。
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日医、日歯など医療関係団体の歴史や位置付けと、医療費の中核となる診療報酬の決定についての提言をしている。分析がよくなされ、問題点の記述に的確、文章は論理的である。医療関係団体については簡潔にまとめられており、特に政界に多大な影響を及ぼした武見太郎会長についての記述は興味深かった。ただし医療費に関する提言では、著者の意見は狭視的で小手先の意見に映る。現国家財政状況から医療費の改革は極めて重要と私は考えるが、その観点から言えば、厚生大臣にもの申す程度では甘く、消費税を含む増税に反対する世論に対抗するためには、医療費自己負担5割であるとか、保険料3倍増額程度は必要ではないか。患者負担を国が肩代わりして国家財政が破綻しては元も子もないのだから、著者の否定する命の選択が経済的負担能力の有無によるのも仕方がないのではないか。大幅増税と巨額な医療財政支出削減なくして、日本の財政再建はありえないと思料する。