紙の本
時代錯誤な万年筆のように
2011/07/26 12:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る
感想ですか? 別に。・・・コホン、嘘です。ごめんなさい。では気を取り直して。
導入部、若い女性一人称の描写が続く。アルバイト先の文具店に万年筆を買い求めにきた男性イラストレーターとの恋の予感。甘ったるい。おっさんの僕にはちょっとしんどいな。主人公は教育大生の香恵(かえ)。「万年筆をかえ」とは駄洒落が効いてる。うぬ、ここだけは共感。
香恵のアパートに置き忘れられた一冊の日記を盗み読みする形で、もうひとつのストーリーが展開する。ノートの主は伊吹という小学校の女性教師。おそらく前の借主なのだろう。仕事、恋、そこに綴られた彼女の前向きな言葉に自分を重ねる。伊吹先生、この人に会いたい。会って話をしてみたい。意を決して勤務先の小学校を訪れる香恵。そして・・・。
オチは読める。けっこうベタベタ。だがそれがいい。ラストシーンに涙。読者の「そうであってほしい」に真正面から答えてくれる。じんわりとやわらかな線を心に描いて滲む読後感。そう、まるで時代錯誤な万年筆のように。
乙女チックな描写が少々クサいが、切なくきれいな恋愛小説。作品としては☆3~4つが妥当かとは思うが、「ノートの作者」に敬意を称して☆5つ。あとがきを読めば、この意味がきっと分かってもらえると思う。
紙の本
生きていてほしい
2008/05/15 22:49
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
クローズド・ノート 雫井脩介(しずくいしゅうすけ) 角川書店
閉じられたノートには、どんな思い出が書き記されていたのだろう。女性的な柔らかい文章です。「今、会いにいきます」市川拓司著、「ミーナの行進」小川洋子著、「センセイの鞄」川上弘美著のような雰囲気です。本当に男性が書いたものだろうか。「私の男」桜庭一樹さん、「図書館戦争」有川浩(ひろ)さんのように女性が男性名の筆名を使用しているのではないかと疑いました。
堀井香恵(教育大学生20歳ぐらい)、石飛隆作(26歳画家)、香恵の友人葉菜(はな、留学中)、葉菜の恋人鹿島(25歳)、そしてノートの持ち主は4年2組担任真野伊吹先生です。ノートを書いた人は亡くなっていると決め込んで読み始めました。
「案山子(かかし)」さだまさし作詞作曲は、ふるさとの父親あるいは兄が都会に出た息子あるいは、弟のことを気づかって書いた手紙を歌にしたものです。都会でひとりぼっちになってはいないかというくだりには泣けてきます。
わたしは、万年筆売り場の可奈子さんに惹かれました。最初は香恵さんが伊吹先生の教え子であったと勘違いと思い込みをしていました。ただし、万年筆売場の記述は退屈でした。同じ会社で働く労働者同士はみな「家族」というなつかしい風潮に出会いました。○○一家という言い方もしていました。今となっては容認されない昔の日本の生活形態です。まじめな本です。154ページ、不登校の記事。親も子も教師も母も、もっと気楽にしたほうがいい。
随所に現れる人物を変えての三角関係には興味が湧かない。香恵さんと鹿島君とのやりとりにも心は動かない。ただ、伊吹先生のことだけを知りたくて読んでいます。教職とか福祉の仕事は、やり方次第で仕事量は多くも少なくもなると思う。男性筆者がこんなに女性的な文章を書けることが不思議でたまりません。自分自身が小学校4年生だった頃を思い出しました。
石飛(いしとび)さんは素敵な男性です。対して、香恵さんの魅力は伝わってこない。素直、純白、従順です。280ページ、今まで離れていた2本の線が近づいてきました。伊吹先生には、生きていてほしい。香恵さんにとって伊吹先生が恋愛の神様になってきました。先生は彼女がなりたい教師像の目標でもあります。294ページ、香恵さんと石飛さんとのやりとりは切ない。伊吹先生は香恵さんに自分の夢を託しました。319ページ、作者はこのあとどう書き詰めていくのだろうか。ありきたりであってほしくない。
お見事でした。恋とは闘う(たたかう)ことと知りました。
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マンションの押入れに忘れられていた先住者のノート。
そこにはある女性教師の生活、恋がつづられていた・・・。
なんとなくストーリーが読めてしまって、そしてやっぱりその通りでした(笑)。
恋愛小説好きな人にはいい話なのかな?
私にはちょっと物足りなかったです。
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私の部屋に置き忘れられた一冊のノート。はじめは手に取るつもりもなかったのに。そのノートを開きはじめたとき、私の平凡な日常は大きく変わりはじめる―。『火の粉』『犯人に告ぐ』の俊英が贈る、2006年最初にして最高の物語。携帯サイトでの連載時から感動の声が続々。100万アクセスを突破した、切なく暖かい恋愛小説。
【感想】
http://blog.livedoor.jp/nahomaru/archives/50433280.html
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「ひたむきに生きる」ってこういうことかもしれない、って涙ながら思いました。そして、たった一瞬でも過去、未来に続く悠久の時を選んで愛する人に会えたなら、生きた意味を、生き残ってしまった悲しみに意味を見出せるのかもしれない、と悲しい結末の中で涙しながら感じました。ページをめくるたびに、ヒロインに心が重なり、人を愛することってなんて奥深いものなんだろう、と思うとともに、青春時代に味わった苦味そのものをリアルに喉の奥で感じました。
本の帯のフレーズや、そして、早い段階から、展開は容易に予測できるのですが、にもかかわらず、胸を詰まらせる内容でした。学校の先生、教職に携わろうという方にも特に、伊吹先生の相手をありのままに受け入れて、そして、ゆっくりと自分の心を伝えるというスベをこの本から学んでほしいとも思います。「心の力」を、誰かに伝えられたときそれは、永遠の輝きを帯びるものと信じたくなる作品でした。
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途中で展開が読めちゃったけどホンワカするような作品だった。これ読んでから万年筆が欲しくなりました(笑)
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06/04/16読了★展開が読めてしまうのは仕方ないけれど、小道具の使い方が秀逸で絶妙だなぁと思いました。
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何気なく買ったこの本。1日で読み終えました!!
ある普通の女子大生が、自分の家の押入れに1冊のノートを見つける。そのノートを開いた時から、彼女の生活が少しずつ変わってゆく。
言い回しや表現の仕方が心に入ってきやすく、心がホンワカあったかくなる1冊です!!
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「火の粉」「犯人に告ぐ」の俊英が贈る2006年最初にして最高の物語!
と言うキャッチコピーです。この作家の「火の粉」も「犯人に告ぐ」も読んでいるので、これは読まないわけにはいけません。で、その手のミステリーと思って読むと大きな間違い。ちゃんと帯に書いてあるけど「切なく暖かい恋愛小説」でした。よくみれば、表紙のイメージからもそんな感じはしたのです(^^;
気になったことを先に書いちゃおう。
万年筆の話は、興味のあるものだったし、よかったとは思うけど、少し冗長すぎなかっただろうか?どうも本題の前が長すぎるような印象をぬぐえません。また大学生がこんなに万年筆に詳しいとは驚きです。そういえば、自分は万年筆を使わないなあ。いい物を使ってみたいけど、やっぱりボールペンがいいかな。
さて、その万年筆の話題は、のちの話につなげる上で重要なことでしょうけど、もうひとつ気になること。あまり重要ではないキャラ(^^;だけど、星美と言う女性が出てきます。この女性、、、ドラマに出てくるような嫌らしいキャラで(でも、それも本当にそうなのか?恋する女性からライバル視で表現されているから不利な面もあるとは思うのです)、それもあまりにそれすぎて演技を見ているようで、現実感をもてなかったです。
感動?のラストは、途中でカラクリが見えちゃったので少し半減ですが、伊吹先生のノートは清々しいものがありました。後はネタバレになるので(推理ものじゃないけど、ストーリーも楽しみと言うことで)、読んでのお楽しみと言うことにしましょう。
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『火の粉』『犯人に告ぐ』の俊英が贈る、新たなる感動作!
香恵はバイトとサークルに勤しむごく普通の大学生だ。ある日、前の居住者が置き忘れたノートの束を見つける。興味本位でノートを手にする香恵。そのノートが開かれた時、彼女の平凡な日常は大きく変わり始める??。
素直な人は泣けるね。個人的には好きです。
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クローゼットの片隅にひっそりと置き去りにされたままの一冊のノート。ノートの中と現実の世界で始まる恋の物語に胸がキュンとさせられます!万年筆が欲しくなること間違いなし!
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6/3読了
これ、面白かったです。途中で、もしかしたら・・って思ったところがそのままズバリ!だったけど、、2日で読んじゃった。。
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こんな偶然はあり得ない!
でも、どこかで期待している・・・
しかも職業が!?
そんな共感と期待から読み始めたけど、最後は『読んで良かった☆』と思える作品でした。
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セカチュー、いまあいに続いていきそうな純愛小説。 最初から大体内容は見えてしまうけれど、それでも最後まで読ませる何かがある。万年筆をキーに使ったのもいい。
私も自分にピッタリな万年筆が欲しくなった。
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クローズノート…さっき読み終わった
とても良い本に出合えてうれしい
同じくこの本を読んだ誰かが日記の中で言ってたこと
「読み終わって…
雫井脩介さんがなぜこの本を書いたのかが分かった」
最後まで読んで…
ボクも作者の想いに初めて触れることができた
多くは語れないけど
とても良い数時間を過ごせました。。。
取りあえず
万年筆を持ちたくなった