淡々として不思議に心にしみいる文章
2006/05/13 19:39
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
随筆というのか紀行文というのか、自分の目で観察したことと印象に残ったことを、何の飾りもなくそのまま記述している。芭蕉の奥の細道のような古典を典拠とした修辞法などは使われていないのだが、不思議と心にしみいる文章であり、その淡々とした語り口に味わいがある。写真家による世界の不思議な家の写真集であるはずだが。
欧州三か所、北米一か所、南米三か所、アフリカ三か所、イエメン二か所、豪州一か所、東南アジア五か所、のそれぞれの土地で著者自身が撮影した、土の家六、石の家四、草木の家四、水上の家四、の写真が掲載されている。どれもこれも、それぞれの土地の産出物を使用して、伝統的な建築方法で作られた、独特の形態をした、不思議な家である。コンクリートと鉄とガラスでできた現代建築物とは異なり、それぞれの土地柄・気候に適合した、落ち着きと安心感と、さらにいえば癒しをも感じるような、不思議な味わいのある家々である。写真を見ているだけで奇妙な楽しさがある。
それぞれの写真に付記された、撮影旅行の計画、旅程、撮影過程、等を述べた文章がまた不思議である。何の工夫も細工もなくたんたんと記述されているが、逆にそれが名文といえるまでになっている。どのようにしてこのような文の書き方を習得したのであろうか。かなり危険な地域へも、自分でに事前調査、準備をして、現地になじみこむような個人による撮影旅行の体験を繰り返しているようだが、それと何か関係があるのだろうか。
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タイトルの示す通り、世界中の不思議な家を訪ね歩いた紹介本。ビジュアル多し。個人的にはオーストラリアのオパール採石場を兼ねた岩盤くりぬき系の家が好み。広くしたいと思ったら掘削機で広げるらしい(笑)
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惜しい。表紙に一目ぼれして買ったものの、これは惜しい。というかネタがネタでなければ外れの類に入れてしまうよ。
文章が体験談に終始していて、肝心の「不思議な家」についての解説がとても少ない。むしろ最初から知ってるよね というノリの部分もあり、文章と写真のページ配置も読みづらい。ううん、写真にや家には惹かれるんだけどなあ。「日本人は何を食ってるんだ!?」のおじいちゃんにも。
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家の紹介というよりは、冒険記といった印象。
自分はまだ、世界のほんの一部分しか知らないのだ。
それにしても、危険かもしれない地帯に同行して行く奥さんが本当にすごい。
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家というのは生活空間なのだけど、本当にいろんな多様性を持ってるものなんだなぁと、しみじみ思う。
文章についてはどちらかというと紀行文メインの様子。これがまた面白い。奥様と同行取材が割と多く、その時々で役割分担されてるところを見て、これまたすごいなぁと思うわけだ。
土の家は雨に弱そうだ、石の家は冷たそう、草木の家は飛んでしまうんじゃなかろうか、水の家って水上でそんなに落ち着いて眠れるもんなの?とか、まず字面でそんな印象を持つ。でもそうじゃあない。いろんな国のいろんな地域で暮らす人々が、その場にあったものを考えて考えて考え抜いて作り出したのが、その「家の形」なのだ。実はすごく理に適っている。
どちらかといえば、ポケット版という編集なので、次は写真集を見てみたい。図書館に置いてありますように・・・。
ふと自分の住んでいるマンションを見上げて、どうしたって面白みに欠けるよねぇと、やっぱりしみじみ思うのだった。でも、居心地は悪くないんだよ。
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「100を超える取材地からエピソードに富む18箇所を厳選」
っておびにあって、インドネシアの海上の家とかアメリカのナバホ族の土の家の写真がでてた。
期待した…。
写真はいいんですけどね。(作者は写真家です)
一体何がいいたいのか、さっぱりわからん文章がだらだらと続きます。多分本人はすごくわかってるんだろうけど、すでにその絵が見えている著者と少ない写真(ってもこの手の本にしては写真多い)しかない読者では、見える文章を書かないと通じないっていうのがわかっていない。
小学生の作文によくあるタイプですな。
それに、あんまり「家」に対する愛情とか興味とか、そーいうのが感じないんですけど。
妹尾河童氏の本が面白いのは、対象に対するものすごい好奇心が絵から、文章から溢れてるからだと思う。
いわば、その対極ってことで。
やれやれ。
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[ 内容 ]
世界の家を撮り続けて30年―各国の世情も伝わる取材秘話。
“人が住む形”はおもしろい!政情不安定な国や撮影困難な地域を、地図と勘、経験を頼りに縦横無尽。
時には撮影中に食事に誘われたり、あまりの気持ちよさに昼寝をさせてもらったりすることも。
しかし検問所でのトラブルや、危険地帯で“死の匂い”を感じることも日常茶飯事。
欧米でも評価が高い、行動する写真家の世界“行きあたりばったり”紀行―。
[ 目次 ]
第1章 土の家(イエメン(シバーム) ガーナ(ゼビラ) ほか)
第2章 石の家(イエメン(ハジャラ) オーストラリア(クーバー・ピディ) ポルトガル(モンサント) スイス(エンガディン渓谷))
第3章 草木の家(デンマーク(レーセ島) パプア・ニューギニア(セピック川流域) セネガル(エルバリン) インドネシア(ニアス島))
第4章 水の家(インドネシア(ナイン島周辺) ミャンマー(インレー湖) カンボジア(トンレ・サップ湖畔) ペルー(チチカカ湖))
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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“人の暮らし”をテーマに世界各国で取材を続けてきた著者。「人が形を造る遺伝子は、その形を実際に造ることができる、できないにかかわらず、人間の深いところで共通に流れているのかもしれない」と。美しい写真と紀行文を眺めながら、震災で家を失った多くの被災者に思いを馳せる。
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タイトル通り、著者さんが世界の変わった家を訪ねて書いた本。
写真集みたいなものを期待して買ったんだけど写真の量はそれほどでもなく、旅行記的な性格の強い一冊でした。
変わった家やその周囲にまつわるいろんなエピソードが読めてこれはこれで。
文章はちょっと読みにくいかも。気にするほどではないかな。
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ガーナ、セネガル、イエメン、パプアニューギニア・・・・。気にも留めなかった国の家々。世界に思いをはせることができた。岩の家、石のビルディング、草の家、水の家。世界は広い。度肝を抜くような建築物が美しい写真と楽しい紀行文で紹介されている。