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史上最大の英語辞書であるところのオックスフォード英語辞典の主幹編纂者、ジェイムズ・マレー博士と、その篤志協力者の一人であったウィリアム・チェスター・マイナー博士を軸に描くノンフィクションです。思わずOEDが欲しくなったけど、CD版でも4万円もするんですよねえ・・・。
紙媒体より随分ましですけれど(汗
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この本、なんだか海亀のスープ風な水平思考クイズのようである。
「オックスフォード英語大辞典の編纂は、ビクトリア朝大英帝国の威信をかけた文化事業であり、世界的な意義も大きいプロジェクトだった。この編纂にあたり、最も高い貢献をし、情熱的であった一人は、決して人前に現れようとはしなかった。この人物は何者なのか?」
という問題に対し、本書丸々一冊が回答編として存在すると言えるかもしれない。
回答を一言で言うとタイトルにもある通り、「この人物は狂人で、精神病院に収容されて一歩も施設外へ出ることができなかった」からである。
明晰な頭脳と高い教養を持ちながら、精神病院の個室から出ることは適わぬまま、外部の求めに応じてその英知をもって助力とする医学博士。なんだか『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクター博士のような印象も受ける。そういう意味での掴みも十分で、「はじめに」で、彼の人物、アルフレッド・マイナー博士と、編集主幹であるジェームズ・マレー博士初めての邂逅が語られている。そこで、マイナー博士の驚くべき素性が明かされるのだ。
そして綴られていく、マイナー博士の生涯。また、編集主幹として貢献したジェームズ・マレー博士の生涯もまた、まるでこの偉業を成し遂げるために生まれてきたような、運命的なものを感じさせる。
歴史的なプロジェクトの概観、辞典編纂作業のディテールは、地味だが、十分に知的好奇心を満足させる、読み物として愉しめるテーマである。だが、それに携わる人々のあまりにも劇的な生涯は、そうしたディレッタンティズムを遥かに凌駕する。「ドキュメントの重み」という、言葉では収まりきれない、重厚なドラマを感じさせるのだ。
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辞書を作るのに、こんなに時間と人力を費やすものかと。この偉業にかかわることになった切欠や、その編纂の長い年月の間の人間模様など・・・。私もOEDが欲しくなりました。
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世界最大・最高の辞書と言われる『オックスフォード英語大辞典』の誕生秘話。
財を投げ打ってまでも辞典編纂に命を捧げた言語学者の第一人者マレー博士。その編纂作業において陰ながら大きな力になったのは精神を病み殺人を犯してしまい精神病院に収監されていたマイナー博士だった。二人の書簡の遣り取りから生まれてくる友情と壮大な辞書の製作過程を垣間見れる物語。
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ネットもTVも電話もおろか、辞書すらもなかった時代の物書きや政治家はすごいな。辞書がないとか、考えたこともなかった。電磁辞書じゃなきゃ重くて持ち歩きにくいし使いにくいとか思っててごめんなさい。辞書すばらしい。ありがとう。
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OED(オクスフォード英語大辞典)編纂指揮者とそれを支える一人の篤志閲読者に焦点を当てたOED製作ドキュメント。
一方は貧しい家に生まれながらも努力で学識を得た聡明な学者のマレー。もう一方は名家出の戦場医師でその戦争経験から精神に以上をきたし、殺人犯となった囚人のマイナー。後者は監獄の中で指定の文献を読み込み膨大な数の見出し語(出自や用例を加えたもの)をオクスフォードに提供していた。その仕事ぶりは他の篤志閲読者に比類のない分量と正確さがあった。
小説としてもおもしろそうな設定で・・・実際は設定ではなくまさに「現実は小説より奇なり」というようなノンフィクションなのだけど、以上のような情報は裏表紙のあらすじで既に把握しており、読めど読めど、そのあらすじで感じた興味の域を出ないまま終わる。というのはやっぱりこの、設定が、もとい、この作り話めいた奇跡的な事実が、それだけで十分なインパクトを持っていて、一連のストーリーを追ってもそのインパクトを補い余る何かがあるわけではないせい。
と、いうような批評は結局小説じゃないのだからどう考えても的外れなのだけど、どうしても退屈な印象になってしまってなんだか残念。
それにしても辞典作りは骨の折れる仕事です。マレー博士のほうが発狂しなかったのが不思議なぐらい。
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2011.10.10. おもしろかった!最初は、なかなか読み進むのが大変だったけど、中盤からページを繰るのももどかしくて。人生って、ドラマチックです。ふたりの出会いの奇跡を作ったのが、旦那を殺された奥さんだったとか、本当に事実は小説よりも奇なり!って、思う。
2011.06. 言語学の先生がオススメしていたので。
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世界最大の辞書、オックスフォード英語大事典(OED)の編纂作業にまつわる嘘のような逸話。編纂主任を務めるジェームズ・マレーと、彼に膨大な量の用例を送り続け、辞典完成に大きく貢献した篤志協力者W・C・マイナーの2人をめぐる物語である。ジェームズ・マレーはイギリスの貧しい家に生まれながら独学で数多くの言語を習得し、OEDの編纂に関わることで、歴史上最高の言語学者といわれるまで上り詰めた。その一方でマイナーはアメリカの裕福な家に生まれながら、戦争のトラウマからか精神を病み、若年性痴呆にかかる。戦中に命令で焼印を押させられたアイルランド人を極度に恐れ、自分が常にアイルランド人に命を狙われているという妄想にとらわれ続け、その果てに無垢の男を銃殺してしまう。そんな2人のそれぞれの物語と、2人の出会い、そして辞書の完成への道のりが、辞書に関するうんちくなどを交えて丁寧に説明される。ノンフィクションの傑作。
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七十余年の歳月を費やして編纂された世界最大の英語大辞典(OED)。謎の協力者の数奇にして痛ましい人生。殺人者を許す妻。交差する博士と狂人の人生と変わらぬ友情。やがて関係者は全て世を去り不朽の名作だけが残る。事実は小説より奇なりの言葉が相応しい物語。ただ挿絵のマイナー博士の部屋が私の下宿の部屋に似ているのには苦笑。
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40万語以上の見出し語を収録するオックスフォード英語辞典編纂にまつわるお話。
ノンフィクションならではのリアルさはあるものの、自分は「舟を編む」の方が好きだな。
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ノンフィクションだから、さらに面白い人生のはなし。
辞書を作ること、精神病のこと、マイナー博士のこと、三つの柱で展開されていく物語は思わず読み進めてしまう面白さです(*^^*)
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一気に読み終わった。
とある偶然があって、主人公の遺品が手元にある。こんな偶然が無くても「事実は小説よりも奇なり」を地でいった本書は、読むものを離さない。
OEDについて多くの記述を期待するのは筋違い。これはある奇特な篤志編集者の奇妙な伝記です。
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OEDが出来上がるまでの秘話。特に統合失調症で殺人を犯し、精神病院に収容されていたマイナー博士の人生にはいろいろ考えさせられた。
もし彼が人を殺さなければ、もし病院で過ごさなければ、OEDにここまで深くかかわることはなかっただろう。
発病しなければ優秀な医者として働き、OEDにかかわる暇はなく、無名のまま(しかし幸せに)死んでいったかもしれない。
こういう運命の皮肉はたくさんあるのだ。多分私たちの人生においても。
辞書というものがそもそも「ない」状態からどうやって作るか、辞書と植民地支配の関係、南北戦争の実態など初めて知ることも多かった。
ドラマチックな内容だが、決して筆を走らせず、資料から分かることを膨らませ過ぎない著者の書き方にも好感をもった。
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完成までに70年。史上最高の辞書OEDの完成に関わった二人の天才の話。
純粋で博学、しかし異常性欲を抑えられない”狂人”が愛しくなる。
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オックスフォード英語辞典というものがあって、英語にはこういう凄い辞書があっていいなぁ~、日本語にもあれば良いのにとずっと思ってました。これはそのオックスフォード英語辞典の編集者とそのちょっと変わった寄稿者にお話。細かい感想は省くけどオックスフォード英語辞典がボランティアによる貢献を最初から計算に入れて作られる有様は今のオープンソースソフトウェアのやり方ととても似てて、ある意味先祖とも言えるんじゃないかな。