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ルネサンス期、15世紀西欧で興隆した道化の文学のレビュー。「ドン・キホーテ」がその掉尾を飾り、その後姿を消していったが、時を同じくして、「狂人」のみならず「貧困者」が収容施設に排除・収容されていったとは・・・
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スマホのアプリでは検索しても見つからない書名である。朝日新聞で引用されているので読んだが、ラブレーについてはほとんど読んだことがないので感慨は深くない。
サブタイトルでルネサンスの栄光ということで、ルネサンスについてある程度の意見を持っていないと理解しづらい面がある。
英文学史や西洋文学史に興味がないと研究に加えることは難しいのかもしれない。
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大学一年生の時、偶々取った高橋康也の英文学特殊講義にはまる。
使用したテキストは、アイリス•マードックの「切られた首」、ヘンリージェイムズの「ねじの回転」。
テキストの豊穣性、間テキスト性をこれでもかと教えられた。
本書は、その頃発行された新書だ。
当然、直ぐに読み、感動した。
英文学とは、知的最前線にあることを理解したからだ。
道化とは価値の転換を果たす者のことだ。
当時は、山口昌男「道化の民俗学」もベストセラーで、道化ブームだった。
常識を嘲笑う道化によって、我々の足元は脆くも崩れていく。
バブルに向かう日本において、皆、足元が危ういと勘付いていたのだ。
崩れるぞ、崩れるぞと思いながら、まだ崩れないぞと、みんなで騒いでいた時代だ。
本書の見立ては、道化が一番活躍したのがルネサンスだったということだ。
ルネサンスを飾る道化の文学者たちとは、エラスムス、ラブレー、シェイクスピア、セルバンテス。
セルバンテスのドン•キホーテが消え去ると共に、狂人も貧困者も排除の対象となり、収容所に隔離されていく。
そこから、フーコーの「狂気の誕生」の時代となっていく。
バブルが終わった日本も、格差と排除の時代に突入し、それは今も続いている。
だから、本書はいつの時代になっても古びない。