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ナチスドイツ時代には反ユダヤ主義を擁護、御膳立てした学者らが多く存在していた。人間として相手をみる倫理的考慮の範囲からユダヤ人を集団的に追放することでジェノサイドの御膳立てをしていた。優生学による民族高揚や軍事戦略として東ヨーロッパに新しい生存空間(レーベンスラウム)の獲得を準備するために多くの知識人が反ユダヤを煽った 。そして彼らが執筆した散文は理解不能なほど愚かであったとしても多くの学術論文の体裁に取り込まれたり、研究成果はナチス時代の教科書や一般紙の記事に取り込まれた。ナチスと国家から注目されていたため、その内容が愚かであったとしても、その著作は広く流布されたそうだ。彼ら研究者の中には、自分の本意として反ユダヤ主義者だったのか、ナチスや当時の学問の風潮からそのような反ユダヤ主義をバックアップするような研究をしたのかは不明である。彼らの倫理が問われたかもしれない。それは研究者も企業人と同様にその時代において反ユダヤ主義の思想を持っていなかったとしても、堂々と反対を唱えることはできなかったのかもしれない。それによって自分の地位を追放されたり、家族や生活にまで被害が及ぶことを考慮したら、たとえ自分の意志とは違っても、反ユダヤ主義を唱えていた人もいるだろう。企業や組織だけでなく研究者、個人も含めて多くのドイツ人らがナチスドイツの反ユダヤ主義を支えていたのだ。