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いかにもオジサン向けのタイトルと装丁ですが、その実、会社組織における処世術を語っております。
著者はコンサルのはしりでシンクタンクや企業役員を渡り歩き、豊富な事例から成果主義の限界とそこで起きるモラルハザードをつぶさに見聞。歪んだ仕組みの中でいかに生きるか、現実目線での処方が下されます。
これを研究するといかに自分が「都合のいい部下」であったか、そのヒヨコ並みの生活力に唖然呆然といったところ。そしてこれらを体現しているあの人やあの人の顔が思い浮かびます。ただの根性悪ではなく、歴とした戦略だったのか!
無理ゲーを強いる仕組みには面従腹背で身を全うしよう!というのが主眼ですが、その裏返しとして組織の理想をも語ってもおります。
○なのに成果主義者は「業績不信は社員にやる気がないからだ」と断定する。「トップが見切りもできない優柔不断な人間だから」とは口が裂けても言わない。
トップやミドルの役割は、「社員に努力すれば成果があがるような仕事を与え、努力しても成果があがらない仕事から解放する」ことである。
その役割が正しく果たされて初めて社員はやる気を出すのである。
○保身の三原則
1.都合の悪いことは言わない(省略)
2.都合の良いことは大げさに伝える(誇張)
3.必要に応じて嘘ではない程度にアレンジして伝える(変形)
○旧日本軍の「出世の三原則」
1.部下や下位部門からの提案には「NO」と却下する(拒絶)
2.同僚・同等部門には同意はしても協力はせず、「頑張れ」と激励に回る。(回避)
3.上司・上位部門からの指示や意見には無条件で賛成、ゴマをすりつつ従う(盲従)