紙の本
知りすぎた少女
2008/06/06 22:52
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ゼブラーマン』で哀川翔氏に着ぐるみを自作させた三池崇史監督が、今度は『カナリア』の谷村美月さんに宇宙を自作させる。それを見守る『リリィ・シュシュのすべての』(岩井俊二監督)の市原隼人くん。『相棒』映画版ですっかり涙目になった、その目に本作を原作にした映画のチラシが飛び込んできた。読まねば、読まねば。と本書を手にとった。読みやすい。著者あとがきで述べられているように『セックスとバイオレンス』は皆無。しかし空想科学的『愛と暴力』に満ちた佳作である。
肝心のしかけとなる仮説抜きにすいすい読めてしまう、というのは例えばホーガン、イーガンがお好きな方にはむしろ欠点だろう。しかし本書は小松左京賞の名に恥じぬ、真面目な大ボラ青春小説である。
『日本アパッチ族』以来の小松左京氏の営為は、「今、この人間社会に、何かを投げ込んだら(引き抜いたら)、どうなる?」という人間社会を実験室を見立てた作品群を軸にするとわかりやすい。『地には平和を』(日本がもしあの戦争を続けていたら?)、『紙か髪か』(紙が使えなくなったら?)、『こちらニッポン…』(世界から大多数の人間がいなくなったら?)などなど。氏に限らず、SFの基本要素ともいえるが、この「代入」の手つきの巧みさ、そこから繰り出される「大ボラ」の展開の大きさは世界的に見ても、氏の上を行く書き手はそうはいないだろう。
本作品も、そんな、小松左京氏を源とする「果てしなき流れの果て」に位置づけることができるのではないだろうか?
「もし宇宙の作り方がわかっちゃったら?屈折した天才美少女に?」
ただ。「大きな物語」の終焉というのはやはりSFにおいても他人事ではないようだ。「ホラ」の大きさに若干の不満が残った。もっと大風呂敷を広げてほしいという思いは、やはり世代的なものだろうか。
でも「セカイ」とくくって、いきなり説明をすっ飛ばしてインナースペースを拡げられるよりも。巨大研究施設の中での田植や、私立理系の就職活動を描きつつ、郊外のキャンパスで営まれる、本書のような「青春物語」の方に惹かれる。「セカイ系」の実写映画が少ないのも、そんな描写における「愚直さ」の欠如と関わりがあるのかもしれない。
継ぐのは誰か?
小松左京氏の全集は城西国際大学出版会から刊行中である。
最後に一つだけ。
水谷豊氏演じる『相棒』の主役は。杉下右京氏である。
いや、ちょっと言ってみたかったもので。
失礼しました。
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「宇宙は"無"から生まれた」と、彼は言った。「すると人間にも作れるんですか?無なら、そこら中にある―」/どうすれば宇宙を作ることができるのか。あるいは作れないことが証明できるのか。/「私にわからないことがあるのが、くやしくてならないのだ。神のパズルが解けないことには、気がすまない」/―この自分は、一体何のために今生きているのか。
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ある天才少女と普通の理系学生の話。ここで話としたのは恋愛物ではないから、けっして恋愛物ではないけれどすこし青春入ってます。
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物理やってないと少し読みにくいかもだけど。
物理やってるとどう思うのかなって思うけど。
私はすごく好きです。
ぶっちゃけ表紙買いでしたが(汗;
それでも行き詰ったときに良いと思います。
読みきったときに、すごい爽快な気分になります。
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D.K.のライトのベル風な表紙とは裏腹に、がちなSF。
宇宙は作れるか?から始まり万物理論へ。かなり斜め読みに量子力学のお勉強もできて楽しめました。
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書店に並んでいるのを何度も見て、「宇宙は作れるか?」という難題に挑戦するこの内容に惹かれて手に取った一冊。機本伸司さんの初出版作品で、量子論を下敷きにかかれるハードSFもの。内容は高校生の私にとってかなり深く理論的。理解するにはもう少し先といった感じ。けれど読んでいて、わからない単語を抜かしても十分楽しい!
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宇宙を作っちゃおうてお話。SFちゃんと読んだのはこれがはじめて。ハチャメチャな中にもルールをしっかり設けるSFというスタイルが好きになった1冊。
レーターのD.Kがファウストで滝本作品にも書いたときはびっくりした。
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SFとしては立派なんだろうけど、ちょっと人間描写がギクシャクしてるかな?キャラも表紙に反して弱いです。toeの話に惹かれて最後まで読んでしまったという感じ。SFとしてはこちらの方が上手かもしれないが、個人的にはSTTの方が好き。ただ失踪後のヒロインの再登場時には、ないている彼女が愛らしく見えた。
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“人間に宇宙は作れるのか”という疑問を軸にした青春SFもの。予想外に面白かったです。舞台が大学の素粒子物理研究室な上に天才少女まで出てくるので、作品中は物理学の専門的な話がかなりのウエイトを占めていました。それでも作品自体は楽しむことが出来ます。これを期に物理の勉強でもしてみようかな。2007/04/04
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女の子の性格がとても可愛らしいと思いました。
早熟の天才。年齢に似合わない発言をするのが可愛いなと思う。
でも問題は内容が難しいこと。
「宇宙を作ることはできるのか?」というテーマで物語が進んでいくのですが、何が難しいかって概念とか単語そのもの。
物理とか……思わず苦笑しか出てきませんでした。
SF系ですので、その手のものが得意な方にはオススメです。
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2007/4/11読了。久々のSFです。第3回小松左京賞受賞というコメントで読んでみました。ミステリーとSFは私にとっては二つに割った饅頭のようなもの。たまにはSFもよいかと思います。
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どこかであらすじを読んでからずっと読んでみたかったのだが、ライトノベルのような表紙にさすがにためらいがあり、読まずにいた。(注・ライトノベルを馬鹿にしてるわけではないです)古本屋で見つけたので買ってみた。全編に渡って、物理学のうんちくが満載の小説である。はっきりいって、細かいところはよくわからない。しかし、それがめんどくさくなく読めるし、ついでに気づけば物理学にも興味がもてるようになっている。それも主人公が物理学生なのに、何も知らないダメ学生だからこそだろう。内容的には、超天才児とダメ学生が宇宙を創ろうとしたり、悩んだり、恋してみたりみたいな話。私としてはとにかく詰め込まれたうんちくが面白かった。
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専門用語は多めですがサクサク読めます。人物設定もライトなノリで楽しいです。中盤は恋愛シュミレーション・ゲームのシナリオを思い出したりしました。一筋縄じゃいかない少女と青年の関係にキュン。
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「宇宙をつくることができるのか?」って話。理系の人でも困るくらい理系用語が連発するけど文系の俺でもなんとなくわかった、なんとなく。
読んだ後、頭良くなった気がする1冊。
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読んでいてかなり面白い作品です。 でも・・・うん。 内容難しすぎます。 物理学やらなんやらがすごいことになってます。
一言で言うと、宇宙の作り方 の本です