紙の本
高校野球を観て「なんで今の球を打たないかな」とか「頑張っているんだから両方勝ちでいいじゃない」とか思ったことのある人に贈りたい
2006/08/11 00:17
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けい - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校野球を観るのが好きです。プロ野球よりも好きです。とりあえずは地元を応援し、自分にも故郷があることを自覚し、地元が負ければ「あ、あいつがあそこの出身だった」とか「あそこ旅行で行ったな」となにかしらの縁を見つけて結局、決勝戦まで応援してしまいます。プロならば5対0というスコアでひいきのチーム(私の場合は阪神タイガース)が負けていれば観れば「今日は負け、また明日」となりますが、高校球児たちには負ければ明日はありません。ただの高校生に戻らなくてはならないのです。だからでしょうか、気が付くと奇跡の大逆転を信じ、負けているほうを応援したくなってしまうのは。
野球というスポーツが世のおっさんがたに人気があるのは、誰でも監督や解説者となって無責任に「ここは絶対バント」とか「あんな甘い球投げれば打たれるよ」とあれこれ言えるからだと聞いたことがあります。野球というスポーツはプレイヤー以外も楽しめるものなのです。
ミステリにも野球を扱ったものが数多くあります。ところがその多くは野球する人間を主に描いており、どうしても軽くなりません。本書の著者はギャグミステリ作家、東川先生。この奇才の手にかかれば野球ミステリも傍からわーわー言える楽しい作品にと変わります。
事件の発端は甲子園には縁遠い弱小野球部のグラウンドからベースが盗まれるという奇妙なもの。誰がなぜベースを、という謎に挑むはどこからどう見ても頼りになりそうもない「探偵部」の面々。ベース事件の調査半分、冷やかし半分で観にいった練習試合中に行方知れずだった監督が死体で見つかり、探偵部による推理合戦が始まります。
人を食ったような大トリックを見破り、得意になっていたところ、見事に罠にはまりました。「え、そんなあほな」と思わせるためには手を抜かない東川先生の芸への取り組みに驚かされました。油断ならない作品ですが、特に深い縁があるわけでもない学校の高校野球をテレビで観るようにどこか無責任にただただ楽しんでもらいたい一冊です。
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学ばない探偵たちが再登場。この人の話は、ミステリなのに笑えるのが大好きっ。顧問が出てこなかったのが少し残念です。
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探偵部シリーズ二作目。とりあえず良くやったと言いたい。前作は本格と言い難い作品(もはやバカミス寸前)だったのに比べて、かなり楽しめるものになっている。トリックに関しては、なんとなく既視感が拭えないものの、納得の行くものだし、探偵部の面々の迷推理にもミステリに対する愛が感じられた。傑作レベルではないものの東川が好きな人には読んで損はない。
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鯉ヶ窪学園探偵部がドタバタと活躍というかなんというかを繰り広げるシリーズ第2弾。今回は野球部のベース盗難事件から発展した「野球見立て殺人事件」が登場。
もともと野球好きがあちこちの作品に見えていた作者だけに、とても楽しそうな筆致。野球場全体を巻き込んだメインの大トリックが、本格ミステリの箱庭的な面白さを存分に出していてとても好きですね。脇の小さな仕掛けもドタバタに効いていて、小ネタと伏線が絡み合う様子を今回も楽しむことができます。
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東川節は健在ですが・・・トリックには無理がありますねー。東川作品にしてはイマイチでした。残念!
でもあいかわらずとぼけた探偵たちはいい味だしてます。
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『学ばない探偵たちの学園』よりは納得のいくトリックになっている。 素人が探偵となり解決編を行う心情等が他の小説では見られないリアリティを持っているのが良かった。 他の作品ではスルーされがちな素人である学生が行う解決編のときの心理描写を上手く書いてあるのはこの作品の魅力の一つだと言っても過言ではない。 要は素人が探偵を演じることに関して現実味があるということだ。 ただ第三の事件のときに関係者のアリバイがうやむやになっていたのが残念。
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いつもどおりの文体、軽妙さで、ゆるーい感覚で読み進められた。
ベタベタすぎるネタも多いんだけど。
でも、なかなか大きなトリックを使ってて楽しめた。盲点を上手く突いたというか。
軽い印象でもちゃんと中身が作りこまれているからかな?
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学園ユーモアミステリ。ミステリの面白さ楽しさが、しっかり味わえました。
「勘違い」を上手く扱い、「え?」が「あ!」に変わります。
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のんきを絵に描いたような鯉ヶ窪学園。敗退を続ける野球部グラウンドからベースが盗まれてしまう。オレ(=赤坂通)が唯一の下級生として在籍する探偵部員の総力を結集しても謎は解けない。後日、野球部とライバル校との練習試合終盤に事件は起きた。白昼堂々、球場で発見された野球部監督の死体に騒然となる両校関係者と捜査陣。動機は不明、球場ではアリバイ実験も行われるなど混迷をきわめる事件に、オレたち探偵部三人が事件に首を突っ込んだ。しょうもない推理合戦の先に待つものは…。
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うーんイマイチでした。
おもしろくなるのかなーと冒頭は期待してたんですが
あれ?やっぱりわたし推理小説苦手なのかな
登場人物もトリックもストーリィもいまいち。
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―真相にタッチ、犯人をアウト。
県予選の一回戦で必ず敗れる、鯉ヶ窪学園野球部のグラウンドからベースが盗まれた。
もちろん首を突っ込む「探偵(小説研究)部」の多摩川流司、八橋京介、赤坂通。そしてもちろんその謎は解けない。
後日、同レベルの飛龍館高校野球部との練習試合終盤に事件は起きた。球場で監督が死体で発見されたのだ。
その傍らにあったものは・・・。
鯉ヶ窪学園探偵部シリーズです。
ときわ姫さんのおっしゃるとおり、またまたばかばかしかったです。でも充分楽しめました。
毎作品、けっこうものすごいトリックを使われていますが、今回もやってくれました。
そうすることの必然性、というのも今回はすんなり納得。というかまあ、そのための球場でしたが。
このシリーズは東川さんの中でも特にユーモアミステリー的なので、キャラや会話の軽妙さというのも読んでいてとても楽しかったです。
今年はこの一冊だけかなぁ?『館島』の続編の構想があるらしいですがいつになるのかしら。
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ネタバレあるよ~、それもかなり。
読了、『謎解きは~』(http://booklog.jp/asin/409386280X)よりも上だろうってことで、88点-α?
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鯉ヶ窪学園で、多摩川、八橋の両先輩と共に"探偵部"に在籍する赤坂通。探偵の真似事をするのか、推理小説談議に花を咲かせるのか、あるいはお好み焼きを焼くのが何がテーマの部活動かは定かではない。
そんなある日、野球部で野球ベースが盗まれてしまったかと思えば、後日他校での練習試合中に球場で鯉ヶ窪高校の監督が死体となって発見される。
当然のように事件に首を突っ込んでいく探偵部の面々であるが…
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自分にとっての初東川作品の再読です。
やっぱり面白い、主人公達の掛け合いが面白いのは相変わらずですが、実に多くのミステリー要素を含んでいて、おお~~、と唸らされます。
大掛かりな物理トリック、アリバイ要素、見立て殺人、連続殺人、不連続殺人(って呼ぶのかな?)、早業殺人、名探偵に迷探偵、叙述トリック、
ある意味良くこれだけ盛り込んだなと言う豪華さです。
また主人公の掛け合いの面白さって部分にも繋がりますが、毎回ではないですが、節ごとに肩の力の抜ける形で文章が終わってるのも書き方としては結構気を使っているなと言う印象、シリアスなシーンでも最後はコテッと転ぶように落とされてるあたり、東川さんに敬礼。
凄く真面目なやり取りをしてる傍らで延々お好み焼きを焼き続ける多摩川部長とか好きです。
とこんな感じで終わっておけば自分としては幸せだったな~と思う次第ですがここが再読の恐ろしいところ?
これ凄く冷静に考えるとトリックが駄目じゃないっすか?
1番最初の事件、大雑把に言えば鉄壁のアリバイトリック、に類すると思うんですが、これ事件発覚後の死体解剖等により死亡推定時刻が、僅か1時間程度の幅に限定される事を犯人が知った上で実行したトリック、になってることが大きく問題ではないかな。
推理小説の知識というか例を頭に置いて書くのは、間違っていた場合激しく恥ずかしいんですが、その人物の目撃条件などが一切ない状態で、真夏の炎天下の中半日放置された死体の死亡推定時刻がたったの1時間幅というのは違和感があります。
死体が発見される経緯もキャプテンの大逆転推定130m特大ホームランで、これがなければさらに放置されていたことも考えられる訳で…
まぁ面白いのは確かですし、未読の人がいれば是非読んで見てくださいなとお勧めしたい1冊ではあります。
ネタバレの嵐を超えてここまで読む人が未読だとは到底思えないですが、、、
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恋ケ窪の鯉ケ窪学園が舞台のシリーズもの。「学ばない探偵たちの学園」が面白かったので購入しました。探偵部の三馬鹿(あるいは馬鹿トリオ)がいいですね。表紙に野球のボールが描かれてますが、野球ネタが盛りだくさんですごく面白かったです。
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叙述あっての物理トリック。
引っかかったのがすごく、すごく悔しい…!
高校生探偵団のアップテンポな会話がどんどんページを進めていけます。
文章にもあるしょうもない推理合戦、がメインかな。
最後に話をひっくり返しちゃう○○○探偵の登場には、ふふふ(^^)と笑わせていただきました。
軽〜く気楽〜に楽しく読める本です。
キャラクターもとっても魅力的なので、ミステリ苦手な人もたのしめるんではないでしょうか☆
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鯉ヶ窪学園探偵部のシリーズです。
鯉ヶ窪学園にも野球部はある。高校球児の夏は短いが、鯉ヶ窪学園は特に短い。なぜなら予選の第一回戦で、必ずやぶれるから。
そんな野球部からなぜかベースが盗まれた。いったい何の目的で・・・。
鯉ヶ窪学園とレベル的にはどっこいどっこいの飛龍館高校との練習試合。最近飛龍館高校は野球に力を入れ初め、専用野球場を作った。
練習試合に姿を見せない鯉ヶ窪学園野球部の監督。
仕方なく監督不在のまま、試合開始。低レベルの試合の果て、信じられない逆転ホームランが飛び出す。バックスクリーンにボールを取りに行った選手が見たものは・・・・・。
これは本格ミステリの中に入れていいんでしょうねえ。確かに理詰めで推理されているし。
でも、この小説の魅力はミステリ部分とは違うところにあると思います。
探偵部員3人、そしてやっぱり登場の、祖師ヶ谷大蔵刑事と烏山千歳刑事のコンビ。
彼らのアホな会話が何とも楽しい。
なんでこんな野球場を?というへんてこな野球場。つまり東川さんがこういうトリックと思いついたから、こんな野球場にしたのね。
見立て殺人なんてものを、本当にやる犯人なんているのか?
このばかばかしさに耐えられる人なら、この小説を楽しむことが出来るでしょう。私は・・・・、楽しみました。