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31 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

「力」の使い方を問う

2006/12/24 20:20

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Leon - この投稿者のレビュー一覧を見る

<西のはて>北方の高地には、<ギフト>と呼ばれる不思議な能力を持った人々が住んでいる。
オレックは<もどし>のギフトを持つカスプロ一族の族長(ブランター)を父に持つ少年だが、13歳になっても一向に力を示す気配がなかった。
<もどし>は作られたものを作られる前に戻す、即ち破壊の力で、領土や家畜を奪い合う高地の人々の生活の中では一族を庇護するために欠かせないもの。
強いプレッシャーがかかる中で必至の努力を続けるオレックは、ある日のこと父カノックと供の農夫アレックとともに領地の巡視のために赴いた牧草地で、父を襲おうとする蝮を「もどす」ことに成功する。
本来は祝うべき能力の発現だったが、オレックには「もどし」た自覚がなく、ようやく現れた<ギフト>が制御不能な<荒ぶるギフト>であることが判明する。
オレックは自分の<ギフト>を恐れ、父に頼んで目隠しをしたまま暮らすことになるのだが・・・
高地の氏族は、それぞれ異なった<ギフト>を持っていて、例えばオレックの幼馴染の少女グライが属するバーレ一族には動物達と心を通わせる<呼びかけ>が伝わっており、カスプロやバーレと敵対関係にあるドラム一族の<すり減らし>は、時間をかけて動植物を死へと向かわせる。
これらの<ギフト>は、より文化的な都市生活を送っている低地の人々の間では魔法として認識されており、著者の代表作「ゲド戦記」の中でも魔法が「姿かえ」や「手わざ」などに分類されていたことに思い当たった。
魔法の行使に様々な制約を与えて万能の力として描かないことはファンタジーの定石だと思うが、「ゲド戦記」シリーズの後半と同様に、あえて主人公から魔法の力を取り去ることによって逆に魔法の存在が際立つようだ。
力が強すぎて使えないという<荒ぶるギフト>は、まるで核抑止力ののようで、グライの語る「本来はどの<ギフト>も癒しのためにあった」という仮説も核エネルギーに代表される「力」の利用形態の両面性を示唆しているのだろう。
とは言え、一族の暮らしを守るという義務を果たすために<もどし>を行うカノックが否定的に描かれているわけではなく、個々人のレベルにおける生き方に選択肢があることを啓蒙的に示す止まっており、高齢の著者による悟りの境地のようなものが滲んでいるように感じた。
結末は意外なものだが、天性の<ギフト>を持たない低地出身の母親から受け継いだ能力を<ギフトのギフト>として携え旅立つオレックの成長した姿が爽やかな印象を残す。

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紙の本

書かれるべくして書かれた物語

2006/08/20 01:27

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kokusuda - この投稿者のレビュー一覧を見る

米SFの女王と呼ばれるル=グウィン女史ですが、様々なジャンルの著述家でもあります。
本作はタイミング的に「ハイニッシュ」シリーズかな?と思ったのですが、
実際はファンタジーで少なからずうれしい驚きでした。
クールで流麗な文体、緻密で論理的ともいえる展開はさすがに上手いですねぇ。

そこは〈西のはて〉と呼ばれる世界。
舞台は北方の高地にあるカスプロマントという領国です。
その地方では多くの小国が厳しい自然と戦いながら生き抜いています。
そこに住む主だった血筋の者たちには、それぞれ異なった不思議な能力が
受け継がれていました。
それが「ギフト」(たまもの)、、、。

カスプロマントのブランター(首長)の息子であるオレックは目隠しをして
暗闇の中で生きていた。
彼は目が不自由でもないのになぜ、、、?
その理由に関係する彼の血筋に伝わる「ギフト」とは?

古代ケルト人を思わせる環境や習慣の高地の生活。
多くの小国同士の力関係。リーダーとしての責任感。
そして不思議な能力「ギフト」。
本作は、これらによって少年オレックが青年となっていく過程を丹念に
一人称で描いていきます。
一人称の小説として「語り」などがありますが、本作は少し変わった型の
「告白小説」になっています。
「回顧小説」と呼んでも良いかもしれません。

読んでみて様々な思いが浮かんできました。
高地の民と低地の民の文化的な断絶。
高地の血筋(一族)間の対立。父や母と息子の関係。
大きな力を持つ事、使う事の意味。
そして、全てに関係する「ギフト」というキーワード。
ル=グィン女史はファンタジーには「この世の真実を明らかにする」効果がある、
とエッセイなどで書いています。
私も読みながら身の回りの出来事、中東などの世界情勢、国内の政治など
様々な問題を思い出してしまいました。

この「西のはての年代記」は本作「ギフト」を含め、「ヴォイス」「パワー」の
三部作の予定です。
しかし、「ゲド戦記」のように長くなるかも、、、(笑
それだけの奥行きを持っている作品だと思います。
セリフや習慣上の表現など翻訳に少し気になる点もあり、主人公の心情などが
分かりにくい点もありました。
このような表現やファンタジーの創作についても女史のエッセイや評論が
読む上での支えとなります。
併せて読んでみることをお勧めしたい。

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紙の本

「強い力」は使い手に何を求めるか?

2006/07/26 20:39

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「西のはて」の高地には、人知を超えた不思議な能力「ギフト」を持つ民が暮らしている。ギフトは血筋ごとに伝わるもので、ある一族は「ねじり」(人びとをねじる力)を、またある一族は「呼びかけ」(獣たちを呼ぶことができる力)を持つ。他にも「ナイフ」(目に見えぬ刃で他者を傷つけることができる力)、「見透し」(他者の考えていることがわかる力)、「手綱」(人から意志を奪う力)、様々なギフトがあり、各部族は危うい均衡の上に共存をはかっている。
 主人公オレックの一族に伝わるギフトは「もどし」で、これは多くの場合、生物から命を奪ったり、岩を砕くといった、破壊の力となって表れる。オレックは自身で制御できぬほど強いギフトを持つ者として、父親から目を封じられた。力が暴走して愛する者を傷つけることを恐れるあまり、オレックは母や友、愛犬の顔を見ることもできない。強大な力を制御することができる日まで、オレックは闇の中で生きる覚悟を決めるのだ。自らを恐れ、自ら選んだ檻の中に生きる少年。
 そんなオレックに変化をもたらしたのは、母と幼なじみのグライだった。グライは優れた「呼びかけ」のギフトを持っているが、狩の為にその力を使うことを拒み続けている。彼女は言う。ギフトには、前向きの使い方と後ろ向きの使い方がある。オレックが恐れている「もどし」のギフトは、生命を奪い物を破壊する後ろ向きの力だが、本来その力は癒し修復する前向きの力があったのではないかと。グライはオレックに目隠しを外すよう言う。
 オレックは亡くなった母(他の一族から呪いのギフトを受けた)が残した書物を、その目で見たいと願うようになる。彼は誰にも内緒で、書物を読むために目隠しを外した。一日に一度、書物を読みその前後に空を見ることだけが、オレックが自分に許したルールだ。だがオレックが自分の力の真実に気づく日が来た。広い世界へ出て行こうとする少年の成長と、父と息子の葛藤が読みどころだ。
 「ゲド戦記」の著者、アーシュラ・K・ル=グインの新作は、ひっそりと幕を開けた。「ゲド戦記」に比べて、物語は古風で地味だ。ギフトの力を使えば、いくらでも華やかなスリルに満ちた物語にすることが可能だろうが、グインはあくまでもギフトの運用に慎重だ。「強い力」が使い手に何を求めるか、グインは読者に問いかける。最強の力を持つ者=ヒーローとしないところが、さすが「ゲド戦記」の作者である。「ゲド戦記」より、やや年齢が高めの読者対象か? じっくりと腰をすえて読みたい一作だ。

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