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ケプラー疑惑 ティコ・ブラーエの死の謎と盗まれた観測記録 みんなのレビュー

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みんなのレビュー7件

みんなの評価4.0

評価内訳

  • 星 5 (1件)
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  • 星 1 (0件)
6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本

その栄光にかげりなし

2006/07/14 22:26

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ケプラーの三法則をご存知でしょうか。
1.惑星は太陽を一つの焦点とする楕円軌道を描く
2.一定時間に太陽と惑星を結ぶ線分が掃く面積は常に一定
3.惑星の公転周期の2乗は軌道の半長径の3乗に比例する
いまではただの物理法則ですが、近代物理学の発展においてこの法則は、天上世界を地上世界と変わらない、物理法則の世界に貶める役割を果たしました。この発見をした人物が、本書の主役の一人、ヨハネス・ケプラーです。
 この法則があらわになるには、もう一人の人物の存在が必要でした。それが、もう一人の主役、ティコ・ブラーエです。いまだ天体望遠鏡の発明されないその時代に、肉眼で、40年にもわたって精密な天体観測の記録を残し続けた人物です。この記録のうち、特に火星の記録がケプラーの法則の発見に欠かせないデータだったわけですが、ここに、本書で取り上げられている火種があります。
 この本はかなりショッキングな話題を中心としています。それは、ブラーエがケプラーによって毒殺された、というものです。物理学の英雄の一人であるケプラーが殺人者であったなんて信じたくはありません。しかし、無常にも著者は、ケプラーの異常な精神を資料から明らかにしつつ、その状況証拠を固めていきます。
 ケプラーの名は物理学史に燦然と輝いていますが、ブラーエの名は脚注に載る程度です。そう考えれば、目の前にチャンスがあり、自分の才能に確信を持っていれば、データの簒奪という行動に出たことは、絶対に理解できないということではありません。
 しかし、全ては400年も昔のこと、いくら毒殺の証拠が挙がったといっても、ケプラーが犯人だなどと断定できるものではありません。著者もそう考えてか、最終的には弾劾するトーンが落ちていきます。
 著者の功績は、ケプラーの性格を自己分析や所管を元に明らかにしたこと、ブラーエの業績を表に出したことだと思います。だからこそ、25章で用いているような選択的思考によるケプラー殺人者説の状況証拠固めは、やって欲しくなかったと思いますが…

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紙の本

偉大な発見には疑惑がつきもの

2006/07/11 20:34

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 学者は真理を追究したいのである。歴史に名を刻みたいのである。あらゆる苦難をものともせず目標に向かってひた走り、必要とあらば犬猿の仲の相手とも手を組むし、時として法をおかす行為すら正当化する。「惑星運動の三法則」で有名なヨハネス・ケプラーと、その元となった惑星観測記録をつけたティコ・ブラーエもまた、天文学に身を捧げた学者たちだった。二人が活躍したのは16世紀末、天体は神話と想像の世界であり、占星術が大学で学問として教えられていた時代だ。その時代に、天文観測によって宇宙の神秘を手繰り寄せようとした男達の生き様は、それだけで熱い。
 「ケプラー疑惑」というタイトルおよび、「ティコ・ブラーエの死の謎と盗まれた観測記録」というサブタイトルが、本書の内容をストレートに表している。最新技術によって、400年のあいだ自然死とされていた(当時からその死因を怪しむ声はあったが)ブラーエが、実は水銀によって毒殺された可能性が浮上し、疑惑の対象になったのはケプラーである。
 だが本書は、いわゆる犯人探しで読み手を引っぱる本ではなく、ブラーエの死因や容疑者がケプラーであることは序章で示される。本書は、これまで型にはめられてきた二人それぞれの人柄や生き方を描写することに重点が置かれている。上流貴族の出身で、頑健で社交的で尊大なブラーエと、貧しい生まれで、病弱で、孤独を愛する偏屈なケプラー。何もかも正反対に思える二人には、類まれなる才能と天文学への情熱という共通点があった。
 ブラーエがとりわけ優れていたのは天界の作図や観測であり、ダ・ヴィンチもかくやという溢れる才能で観測機材を発明した。かたや強い近視のため自ら観測することができなかったケプラーは神秘や理論の分野に才能を発揮した。病的に高揚した思考は革命的な理論を生み出すが、それを裏付けるためにはデータ必要だった。彼はブラーエの40年にわたる精密な観測データを喉から手が出るほど欲していた。だが二人の協力関係は科学史上まれに見る険悪なものだったらしい。
 世の中には最悪の相性というものがあるが、この二人はまさにそれ。ケプラーは基本的に「自分以外はみんな敵」と思い込んでいるやや病的な心の持ち主で、問題の多くは彼に起因するのだろうが、対するブラーエもあまりにも配慮が欠ける点など多々あり、どっちもどっちである。疑惑がもたれているケプラーの行為にしても、極めて自己中心的であることは間違いないが、不思議と嫌悪感は抱かなかった。最近ニュースを賑わせる短絡的で底の浅い殺人事件と較べて、ケプラーの犯罪はまさに人生をかけた重みがあった。
 手を汚し心を傷つけても欲しい何かがあるか? 400年も前を生き、そして死んだ男達に、そんなことを考えてしまった。お値段ちょっと高めだが、充実の一冊。読み終えると夜空を見上げたくなる。

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2006/09/15 00:38

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2008/08/09 08:39

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2012/02/01 22:56

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2019/01/12 11:54

投稿元:ブクログ

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