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紙の本
金井美恵子の「ひびのあれこれ」
2006/11/17 15:25
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:la_reprise - この投稿者のレビュー一覧を見る
何気ない日常起こったことについてただとりとめもなく書いているようでいて、その実そこには普段気づきそうで意外に気づくことのない物の見方や、いわゆる「常識」といったようなものによって曇らされてしまった眼には不可能であるような洞察を垣間見ることができるのが金井美恵子のエッセイを読む面白さではないかと思ったりもするのだが、「目白雑録」(と書いて「ひびのあれこれ」と読む)というエッセイ集の第二弾であるこの本のなかでもそのような金井美恵子らしい鋭い洞察を当然いくつも見ることができて、このエッセイ集を気軽な気持ちで読み進めていきながらふとそのような箇所に遭遇するといつも驚きと痛快さを思わず感じるわけで、例えば浅間山噴火で灰を被り売り物にならなく
なってしまったキャベツを通常の半額の百円で売り被害農家の支援をしているというニュースのなかで、そのキャベツを買った主婦が「外側の皮を取れば灰で汚れていないし、少しでも、被害にあった農家の人たちを支援できればねえ」とインタビューで答えるのに金井はいらだち、安いから買ったと言えばいいのに「少しでも支援する」というなら五百円でも千円でも払え、とキツイ一言を述べたあと、青山ブックセンターの倒産騒ぎの際に広がった文化人による支援の輪にもチクリと皮肉を言ってから、「ようするに、支援というのは、ささやかで、決して自分の負担にはならない範囲で出来る何かなのであって、どの場合でも、それをすると、経済的負担はほとんど軽微なうえに、良心は満足、というものなのかもしれない」とさらっと書いているのを読むと、なるほどそうだなあと読者としては思わされるのであり、そのような発言をそこここに見つけることが金井美恵子のエッセイを読むことの楽しみだとあらためて気づかされるわけなのだが、だが楽しみはそれだけではなく、まだスカパーのヨーロッパサッカー中継に
夢中になるのは分からなくもないがアメリカのプロレスWWEにも興味を持ち日本公演にまで行ってしまったりすることや、飼い猫の「トラー」の病気ややんちゃぶりと格闘する金井美恵子の「ひびのあれこれ」を見ることができるのもまたもうひとつの楽しみなのでないかと思ったりもするのだ。
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