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舞台は18世紀エジプト、ナポレオンの侵攻に怯える首都カイロ。
侵略者に対抗すべく用意されるのは、読む者を破滅に導くという1冊の書物―――
侵掠の気配に息を潜める「現在」のカイロと、ナポレオンに献上すべく語られる書物の中身が交互に描かれるのですが、そのどちらもがあまりにも魅力的な物語で読む手が止まらない止まらない。これはきっと物語のための物語で、作中の登場人物たちはもちろん、こちら側にいる自分たちでさえもこの物語を物語たらしめるためだけの存在のように思えてしまう。
時に飄々と、時に重厚に。この本の語り口はまるで、人という生き物で遊ぶ歴史そのもののように思えました。
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確かエジプトに旅行する前後で、アラビアという言葉に惹かれてジャケ買いした本。全体的に、昔の物語を日本語訳しました、という体の作風(実際は日本人の著者が現代に書いてる本)。そのためか文章表現がやたらと大仰。さんざん話を引っ張っておきながらガッカリな収束。今となってはオチも覚えていない。
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買ってから読み終わるまでに、1年近くかかっています。
妖術師アーダムと蛇のジンニーアの蜜月が終わるまで。
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骨太でひりひりする文体がたまらなくかっこいい。
物語を記録するアイユーブの策略と、語られるアーダムの狂気が焼け付くように進む第一巻。予想よりもファンタジー要素が強かった。
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面白かった! 入れ子構造の物語といい語り口といい、作者(訳者?笑)はよほど千夜一夜物語あたりを読み込んだのだろうなあという印象。
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ナポレオン率いるフランス軍による侵攻が目前に迫ってきているエジプト。フランス軍が持つ近代兵器の脅威を知り、国の命運を案ずるイスマーイール・ベイ(知事)に、執事アイユーブはとある術計を持ちかける。アイユーブが秘密裏に追い求めていた稀書『災厄の書』を敵軍の総大将ナポレオンに献上し、その本の魔力によってフランス軍を破滅させるというものだ。ほかに打つ手を持たない イスマーイール ・ベイは信頼するアユーブにすがるしかなく、その計画を彼に一任する。
カイロの片隅の屋敷で、アイユーブが招いた夜の種族は毎晩譚り、それは書生とその弟子の手によって書にしたためられる。読むものを狂気に誘う呪われた本として。
語り部ズームルッドによって毎晩少しずつ紡がれる、1000年前の醜い稀代の妖術師アーダム、最強の魔力を求めるアルビノのファラー、盗賊として育った王子サフィアーンの物語。交わることがないように思えた三人の運命はやがて絡み合い、聞き手はどこまでも物語に引き込まれていく。
ベイ達の陰謀が渦巻く現実世界(エジプト)と、語り部の物語の二重構造を持つこの『アラビアの夜の種族』の日本語訳を手がけたのは古川日出男である。訳者あとがきにて、アラビア半島の本屋にて英語版の『アラビアの夜の種族』に出会い、自分が訳するしかないと思った経緯が書き連ねてある。また、作者不明の原本の歴史的背景と、それがいかに補筆と改訂を重ねられ各国で翻訳されてきたかという経緯が興味深く書かれている。そして物語を拡散させていく意味も。是非最後まで読んでみてほしい。
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もう、スタートから興奮しまくりですよ。
あの「砂の王」の続きがよめるというので、メチャクチャ楽しみにしていた小説です。
「砂の王」は、ゲームボーイ版の「ウィザードリィ外伝2古代帝王の呪い」のノベライズとして書かれた小説で、これがもう、ゲームのノベライズと思えないほどおもしろいのです。
ウィザードリィの小説としては、ペニー松山の「隣り合わせの灰と青春」も名作なのですが、これは、渋い感じの小説で、「砂の王」は、濃厚でかっこいい小説でした。
ビデオゲームが好きなので、ゲームのノベライズもそれなりに好きだったのですが、小説として圧倒的におもしろいと思ったのは、このウィザードの小説2つです。
「砂の王」がどれぐらいおもしろかったかというと、これを読んだことによって、それまで2年ぐらい地下3階でほっぽかれていた「ウィザードリィ外伝2」をひっぱっりだしてきて、あっという間にクリアしたぐらいおもしろかったのです。
……すごい、伝わりにくい表現だけど……。
そんな、「砂の王」なのですが、1巻が出てから、ずっと2巻が出ませんでした。そんなこんなしているうちに、レーベルであるログアウト冒険文庫自体がなくなってしまって……。
そんで、あの続きは、どうなった~!!と叫んでいた小説でした。
もともと、古川 日出男を読み出しのも、あの続きが読みたかったからです。というか、あのすさまじくおもしろい小説は、続編が書かれていないのかとWebで検索をかけていて、ベニー松山の紹介文を読んだからでした。
そして、とうとう、その「アラビアの夜の種族」にたどり着きました。
でも、まさか、続きではなくて、前日譚的なものが読めるとは思っていませんでした。
多分だけれど、これ、あのヴァルたちがもぐったダンジョンがどうやってできたかというお話ですよねぇ。そして、2巻目は、いよいよ、ヴァルたちの話で、3巻目で決着が……。
もちろん、「アラビアの夜の種族」は、「砂の王」とは違う作品だということを知りつつ。そう期待してしまいます。
でも、この人、本当に偽史が好きですね。
今まで読んだ小説は、ほぼすべて、偽の歴史を作る話が入っています
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うーん。
大好きな読書サイトで宣伝されていたのですごく期待していて、それが悪かったのかな?
そこまでは、って感じ。
ストーリーは面白いし表現も文章も濃厚でくらくらくるのは素敵なのだけど。
やはり通勤電車で読むのはまずいか。
これは多分、しんとする図書館やあるいは木陰で、
時間を忘れて贅沢に読むべきなのかもしれない。
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若き将軍、ナポレオン・ボナパルトが率いるフランス軍が迫り来るエジプト。十字軍を難なく撃墜したという過去の栄光を頼みに、余裕で迎え撃つ気でいる権力者たち。そんな中、情報を駆使して危機を理解したアイユーブは読むものを破滅させる書物を急いで作らせる。
それは『災厄の書』。書写するものも破滅させるとされる危険なもの。どう保存されていったのか、怪しい女、ズームルッドがその物語をつむぎ出す…。
文庫では3冊に分冊されていて、1巻ではある王国の醜悪な王子アーダムの話。誰からも見向きも期待もされていなかった彼が、スーパー悪の権化な妖術師として世界を恐怖に陥れる…無茶ぶりで壮大なファンタジー。
物語の大部分は語り手の話を聞いているという設定なので、口語体で分かりやすく、誰でも一気に読み進めると思います。もともと作者不明の作品を忠実に翻訳しているらしく、わざと言い回しや言葉が古めかしくて説話のような感じだけれどだんだん気にならなくなるかな?
まだ1巻。語られたアーダムの壮絶な生涯に圧倒され終了。この書の完成は間に合うのか、間に合ったとしても本当にこれでナポレオンを撃退できるわけ~? いや、本当はそんな単純な作戦ではないのかもしれない、頭のキレるアイユーブだから間違いないよね…なんて期待しながら2巻に進みます。
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SF、ファンタジー好きならはまること受け合い。物語の面白さを存分に楽しめる一冊。長いけどあまりに面白いので中巻の途中から下巻まで1日ぐらいで読んでしまった。おかげで寝不足。
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読書会のため久しぶりに再読。多分初めて読んだのは二年くらい前。やっぱり面白い、とまらない。
ナポレオン率いるフランス艦隊にピラミッド会戦で敗れる直前のエジプト、ズールムッドなる夜の語り部が語るそれより遡ること約一千年上エジプトの奥地の国での物語。二つの世界が一つは時間が進むことによって、もう一つは語られることによって展開していく。
魅惑の書物によってナポレオンを耽溺させ物語の世界に溺れさせる?本当に?って思っていたら実際にはどこにもそんな書物はなくて、その嘘を誠にするために語り部を探し出し夜毎話を聞いて本を作り上げていく。
そこで語られる物語が面白くて魔法と冒険に満ちていて続きが気になって仕方ない…
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mixi読書会でオススメしていただいた本。ちらっと見てもう買う!って決めていました。読んでみてとてもおもしろい!長いかもしれないけど、私は長編が好きなので嬉しい限りです。おもしろいので一気に読みたい気持ちと、すぐに読み終わりたくなくて少しずつ読み進めたい気持ちの間で揺れています。
物語の語り部分と現実との文章が使い分けられていてその文章力がすごい。物語部分は大仰で雄大、ユーモラスな語彙が楽しいです。
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重層かつ広大な物語。歴史書とも冒険譚とも伝記ともいえるし、しかしそれだけでは物足りない。
夜が譚る物語は夢と現を彷徨いながら、白紙を埋めていく。
幻想的な挿話が共鳴し、一冊に綴じられたとき、物語は無限を孕む。
読後はスケールの大きい迷路を美しいルートで攻略したような充実感で満たされる。
酔わされたい熱帯夜にオススメ。
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「19世紀に作られた」ということしか分かっていない、著者不明の小説(説話集?)。
著者不在であるがゆえに、著作権がなく、世界中で翻訳されているという。しかし、邦訳はこれが最初だそう。
(詳細は、三巻のあとがき「仕事場にて」を参照)
ナポレオンのエジプト侵攻を防ぐため、毎夜、古代の物語である「災厄の書」の翻訳をする、というのがこの物語の柱である。
1巻では、
醜悪なる王子「アーダム」、
2巻では、
正統なる王子でありなが捨て子である「サフィアーン」と 、
白き魔術師「ファラー」
を主人公とし、2巻の後半から、それぞれの物語が交錯していく。非常に複雑な構成ながら、最後はすっきりとまとまる。
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三巻構成の一巻目。
物語は夜、紡がれる。
壮大な計画の根幹を成す物語が作り上げられる様子にワクワクし、
劇中劇に引き込まれる。
アラビアンナイトのように摩訶不思議で、人間の愚かしさにまみれた
どうにも先が気になってしまう物語。