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みんなのレビュー27件

みんなの評価4.1

評価内訳

27 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

中国の鼓動を、まるで聴診器で聞くような一冊。

2006/07/19 17:19

16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:和田浦海岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る

まえがきは
「2004年春、上海の日本総領事館で、一人の館員が、このままでは国を売らない限り出国できなくなるとの遺書を残して死んだ。私は、そのときの総領事であった」とはじまります。
あとがきには
「2004年11月、帰国と同時に入院した際に医師から告げられた最終診断は末期がん。・・抗がん剤の副作用で頭が朦朧とするなか、薬で痛みを抑えながらパソコンに向かい、家族、友人、同僚の激励に後押しされながら何とか書き上げることができた。・・最後に、本書を、上海で自らの命を絶った同僚の冥福を祈るために奉げる。・・」とあります。
第九章「深刻な水不足問題」から第14章「転換期の軍事政策」までがつながりが深く、私には、読み甲斐がありました。
すこし感触を味わいたいという方には、第五章「ココムと対中技術規制」が、6ページほどですから立読みに好都合。
ココム(対共産圏輸出統制委員会)で、アメリカから日本の安全保障の杜撰さの指摘され。ヨーロッパから「日本は平和友好条約まで結んだ中国を信用しないのはおかしい」と皮肉を浴びせられ。その後に、天安門事件が起きて、ヨーロッパも対中姿勢を硬化させて経済制裁に踏み切る。という様子を簡潔に示しております。
チャーチルは
「民主主義というのはろくでもない主義ではあるが、しかし、ほかの主義よりはいいところがある」と言ったそうですが、そんなことを思い浮かべるような言葉が、本文にありました。
「文革時代のひどさを知っている世代は、なにも現在の50代、60代の人たちに限らない。現在の40代でも小学生のときの体験、記憶として強烈に残っている。トイレに入り、床に毛主席の写真が掲載された新聞が落ちていようものなら、用を足すことなど忘れて飛び出したという。万一後から来た人に『あいつは毛主席の写真を踏んでいた』などとあらぬ告げ口をされると、小学生であってもどこかへ連れ去られるといったことが日常的に起こっていたからである。彼らは共産党が何をしてきたかを自分の目で見、体験してきたわけで、意識的に共産党のスローガンに対してものすごく醒めている。だから、政府が躍起になって、戦争で日本がどれだけ悪かったかという教育を一生懸命してみても、その片方で彼らは『だけど、共産党はもっとひどかった』と平気で語る。もちろん、絶対に信用できる人間に対し、隠れてではあるが。
彼らは感覚でわかるのだ。共産党は49年以来の大躍進政策、その後の大飢饉、文化大革命で四千万人もの中国人を殺してきたといわれている。さらに、89年6月4日の天安門での虐殺。共産党の過去の失政を隠蔽したり、現在の目に余る貧富の格差や腐敗・汚職などから国民の目をそらすために反日教育があることを。」(p50)
著者の厚みのある体験・見聞を示しながら、内側からの中国を、本文の中でゆっくり咀嚼するようにたどっておられます。
最後の方には、
「この国が抱えるあらゆる問題がブラックボックス化し、その不透明感が大きな脅威となっている。それは同時に中国自身が自滅する脆弱性にもつながっている」(p315)
「中国の体質を変えることは容易なことではない。
中国の存在がこれほど大きく、世界に影響を及ぼすようになったため、中国の国内問題が、中国の内政問題にとどまらなくなってしまった。中国の問題はもはやすべてが地球的規模の問題だといって過言ではなかろう。・・対岸の火事視することはできない時代になってきた。・・」(p321)
とありました。
テレビの中国解説の喧騒に、痺れを切らしておられる諸兄に、
心して読む一冊が、偶然のようにさりげなく現われました。
かけがえのない一冊として手渡されたような読後感を持ちます。

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紙の本

中国と言う国を知るのに、格好の1冊。

2007/05/19 01:47

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:うっちー - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者の杉本氏は、あとがきにこう書いている。
「(末期がんの診断を受け)家族の将来がひたすら案じられた。限られた命をどう有効に使うか、時間との勝負となった。」
その前に、彼は上海で同僚を失っている。その為、「上海で自らの命を絶った同僚の冥福を祈るために奉げる」ともある。
2004年春、上海の日本総領事館で「このままでは国を売らない限り出国できなくなる」との遺書を残して一人の館員が自殺した、あの事件のことである。その無念さと、自らの残り少ない命を見つめて、使命感で書き残した、現代中国を分析した本である。
文章は、しかし、情に流されることなく、淡々と冷静に進められている。外務省入省時(1973年)のことから書かれているので、当時の中国の様子、日本との関わり、そして、今の日中関係に至った経緯がわかりやすい。しかも、まさに現場にいた人の言葉であるので、説得力がある。
それにしても、これほどの「常識」の違いがあるとは。日本の常識のまま中国に進出すると、いかに痛い目にあうのか。それを実感させる具体例も多々挙げられている。
中央の方針でも地方政府の不利益になることであれば抵抗する体質、役人の腐敗、都会と田舎の凄まじい格差、深刻な水不足、人口問題、無戸籍児童の多さ…。いずれも、今後の中国を占う上での大きな問題である。
反日運動の背景についても詳しい。共産党宣伝部が、すべては国を挙げての愛党教育のために反日教育を行ってきたのだと、歴史的なコンプレックスにも言及しながら書いている。
一体、日本の外務省は、国益を守るために努力しているのか、きちんと手をうっているのかと、もどかしく思うことも多い。しかし、作者が、外務省役員として、いかに日本の立場を有利にし、中国とうまくやっていくために行動したのか。具体的に書かれているので、少しは見直すことができた。
1860年にシュリーマンによって書かれた、中国と日本の比較論も取り上げられていたが、これは、日中の体質の違いを表していて興味深く、また、日本人としては誇らしい。
巻末にある付録「日中を隔てる五つの誤解と対処法」「日本と中国:過去をめぐる摩擦七つのポイント」は、両国の問題をどう考えればいいのかが、コンパクトにまとめられていて、ありがたい。
中国と言う国を知るのに欠かせない1冊である。

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2006/10/17 21:42

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2007/02/15 21:48

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2007/12/24 17:46

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2007/06/05 12:33

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2010/01/10 09:04

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