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紙の本
日本武器の独自性が手軽に分かる、実用性に長けた新書
2007/10/07 20:59
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いえぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
武器を専門的に扱う書籍は、じっくりと腰を据えて読むというイメージがありましたが、実際、大型かつ分厚いものが多く、持ち運びには不便という部分がありました。確かに、様々なジャンルが入り混じった事柄のため、ある程度継続して学習しなければ、なかなか本来的な意味での理解には行き着きづらいところがあるのですが、読む側からすれば、やはり、持ち運びが不便で高価ということは、購入するにあたってのウィークポイントでしたし、書斎や図書館でなければ勉強できないような体裁が、フレキシブルな利用を妨げていた一面を否定することは出来ません。何らかの文章を執筆するとしても、個人でなくメンバー間での円滑な知識の流通を図るためには、もっと使い勝手のいい本が求められることもあったことと思います。
あまりにも有名な武器図解書である「武器と防具」シリーズの日本編を記した著者による本書は、そうした利用者のニーズに極めて合致するものがありました。古代から江戸時代までの日本の武器を、種類別にフォローすることで、単一の武器への理解のみならず、時系列に従った理解を図ることのできる本書は、内容の充実性とは裏腹に、とてもコンパクトで軽量、どこに持ち込んでも邪魔にはなりません。文章による解説と図解がバランス良く含まれているため、間違った事実を覚えてしまう危険性も少なく、より専門的な書物へ進む前のイントロダクションとしても価値がある一冊です。中国や、他地域からの影響が、いつの頃から薄れ、独自の進化を遂げるようになったのかや、合戦用の武器や忍者の得物、そして逮捕用の武器と、用途に応じて、千変万化の違いを示していたことがわかるのも大きなポイントでしょう。また、時代劇や小説などでは見慣れない、ちょっと変わった武器についても言及されているのが、嬉しいところです。
入門書としてはもちろん、歴史教科書・専門書などの副読本的な役割や、執筆の手助けなど、多くの有効性が期待できる魅力的な一冊です。少なくとも、日本の江戸時代までの小説を書きたいのならば、押さえておいて損はないでしょう。
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