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紙の本

さらば韓国!相互理解は不能だった!−韓国社会の恐怖

2006/08/07 11:36

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 著者は、韓国芸能界入りを目指して渡韓、韓国・梨花女子大学に通いながら、芸能プロダクションで活動する。
 一方、出身地・新潟のスポーツニッポン紙上で、日韓の文化の違いなどを紹介するエッセイを毎週寄稿していた。エッセイが好評のため、スポニチのウェブサイトでも「金子恵美の韓国通信」として連載が始まった。
 文化の違いについての見たまま感じたままを書く普通のエッセイである。
 ところが、これが韓国のネティズンたちから、韓国を蔑む内容、悪口を書いているなどとして、猛烈なバッシングを受けることになるのだ。
 著者の謝罪文が掲載されるのだが、これも火に油を注ぐ結果に・・・。凄まじい個人攻撃の嵐・・・。スーパーの店員からは販売拒否され、自宅近辺で石を投げられるなど、身の危険を感じるまでになってしまう。
 著者のエッセイは全文が本書に収録されている。この程度の言論で、韓国の悪口、などと攻撃されたのではたまらない。日本人としては、まったく理不尽と言わざるを得ない。韓国文化を賛美せよ、とでも言うつもりか!
「韓国人はなぜ、書かれたことの本意をくみ取ろうとしないの?この国民性はいったいなんなの?」(P69)。・・・まったく同感だ。
 やがて著者は、安易に謝罪したことについての誤りを悟る。・・・そう、謝罪ではなく、理不尽なバッシングには反論し主張しなければならなかったのだ!
 これは日韓関係を考える上で重要なポイントである。
 精神的にボロボロになった著者は、ついに日本への帰国を決意する。
 著者にとって、「10ヶ月を過ごした異国の地、韓国は、相変わらず私の中では近くて遠い国のままだった」(P172)のである。
 だが、登場する韓国人すべてが「敵」だったわけではない。
 事件発生以来、芸能プロ社内の冷ややかな空気にもかかわらず、最後まで温かく接してくれた芸能プロ会長。彼などは国際派の人物であるが故に、広い視野から韓国人の欠点、韓国社会の歪みを理解し、著者に同情していたのだろうか・・・。
 日韓には歴史や領土をめぐる対立がある。しかし、実際には、国民性の違い、文化の違い、感性の違い、小中華意識といったものが、歴史問題以上に大きな壁として存在することを本書は示している。
 本書は、著者の意図とは関わりなく、最近はやりの嫌韓本の一つとして読むこともできる。ただ、評論ではなく実体験そのものであるところに本書の価値があるのである。

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