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近未来、政治・思想犯専用の特別矯正施設に入れられた、ストリートギャングの亞宮を主人公にした、連作形式の小説。五條瑛の連作短編集はまとまりがよくてよいと思う。ただ矯正施設が舞台の割りに、あっさりした印象。もう少しアクの強さがあってもよかったかもしれない。
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偏りがあるものの、世界(社会?)の縮図のような施設が舞台の密室ミステリー仕立て、という感じ。中途半端な感じの終わり方が少し残念でした。突っ込みどころも多々ありそうなのですが、気にしなければ面白く読めます。彼女の文章は、軽すぎず重すぎずで好きなので、次回作に期待しています。この登場人物で続きがあれば、消化不良も解消されるかな。
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作品の出来としては不満なものの、わたしには大変ツボなキャラ配置。でも、初めて五條作品を手にとる人にはおすすめしない。
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君は世界の平和について考えたことがあるか?ないならば、考えてみるといい。幸い、ここにいる者には、時間はたっぷり用意されている。
本文より。ストリートギャングだった亞宮柾人が裁判後送られたのはK七号施設という政治・思想犯専用の特別強制施設だった。
柾人と蔡コンビがいい感じ。外に出たらやっぱり敵同士になるんだろうな。
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キャラクターや設定は面白いし、途中まではわくわくしながら読んでたけど、ラストが物足りない。出来ればこのキャラクターと設定で続編を書いて欲しいなぁ。
五條作品には珍しく、主人公が素直にかっこいいと思えた(笑)
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新宿のスラムで育ったストリートギャング、亞宮柾人。彼が、政治・思想犯専用特別矯正施設「K七号施設」に入れられた時、「闘い」は始まっていた!見せてくれないか、信念とやらが造り上げた楽園の姿を。
表紙がちょっと凝った作りになっていて、
素敵です。最後一歩手前までは面白く読めたのですが、「え?おわり?それだけなの?」って感じで終わってしまうのがちょっと残念でした。
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2007/10/21
近未来、死刑制度の廃止された日本。政治思想犯専用の矯正施設「K七号施設」に収容されたストリートギャング(って書いてて恥ずかしいな)が、身の置き所に困る違和感を突き詰めていくシチュエーション
サスペンス、なのかな…短編集のようでいて、そうでない。
近未来とかノワール小説とか苦手な部類だ。あとちょっと、あと1ページ頑張ったら面白くなるんじゃね!?というもどかしい思いを抱きつつ一生懸命読んだけど夢中になれず読了。エピローグで脱力。キャラクタに魅力を感じないかったから仕方ないか。
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五條 瑛
思想・平和・力・生き抜く事
五條さんのメッセージには一貫性がある。
この基本Mに、対国または対人種などで肉付けした物語が多い。
けれど私は彼女の書く話が好きだ。
そこに息づくリアルなキャラに魅せられているからだ。
以前何かのインタビューで、五條氏の創作方法が披露されていたが
なかなか興味深かった。
同時に、なるほどとうなずいた。
迷いのない力強い文章は、ともすれば男性的である。
重厚感は低めだが、それでも十分に心惹かれる文章たち。
それはきっと氏自身に迷うことがないからだろう。
さて、この『エデン』は滑稽だ。
思想=信念とするならば、亞宮(あく)よ。
君もまた自らの揺ぎ無い信念を持ち生きているのだ。
その信念は強い。怖いぐらいに。
誰かの上にある口上の信念ではないからだ。
君の持つその思想は、君自身の中から湧き出ているものだから、
それはまさに君の一部なのだ。体なのだ。心なのだ。
ちゃちな思想家の信念は、頭の中のみにしか存在しない。
理性の中にしか存在しないものは、所詮本能に凌駕されるのもだ。
生き抜くことは決して出来やしない。
それが、生と死の間で生き抜いていたものの信念だ。
もし私は亞宮と同じ状況になったとしても
誰にも影響されないといえるだろうか?
そこまで強いものが私の中にあるだろうか?
亞宮、君の強さに私はメロメロだ。
人はその思想により色んな色のフィルターあり変色して物事を見ているものだ。
それが、偏見であり、軽視であり、侮蔑であり、憧憬でもある。
何事も事実だけが語られて、物事の真実までは語られないのと同じだ。
普段私達はどこまで物事の本質を見抜けているのだろうか?
そこまで、人を物事を用心深く、疑り深く見ているだろうか?
安易に受け入れ流されているだけなんだろう。特に私はね。
良く考えればよいという事でもない。
なぜなら、物事を複雑怪奇にしてゆくのは思考だからだ。
なぜもっとシンプルで判りやすく考えられないのか。
思想家。哲学者の本に、そう思う。
もっとシンプルでいいんじゃない?
唯一、そこは亞宮と同じ意見だった。
それにしても、五條氏の男性はみんなカッコいい。
今の世にここまでカッコいい人いるのでしょうか?
そんなに心の強い人、見た事ない(笑)
最後にこの世の楽園について。
どこにあるのか。
ただ宇賀神の言うように、基本楽園なんてないんだ。
もしあるとすれば、何者にも縛られない風の吹きぬける心を
持てる世界が楽園なんだろう。
いつも自由で透明な風が吹き抜ける心を持つことの難しさ。
だからこそ夢幻なんだろう。
エデン。なんて甘い響きだ。
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近未来もの好きじゃないけど、五條さんの本だし購入。
いや、これ面白い!わーっ謎が謎でなんだこれー!?真相はなんだ?っておもって読み進めていくとなぜかもう殆ど読み終わり?一気に読めます。
ストリートギャングの亞宮が入れられた刑務所は思想矯正施設で、収容者の人権や自治もそれなりに認められていて、皆お育ちのいい人たちばっかり。なんでここに入れられたのか、一緒に捕まった仲間はどうなったのか…。なるほどねぇ、そこで繋がるのか…。
「見せてくれないか。信念とやらが造り上げた楽園とやらを」本文引用して帯に表記した一文もなにやらかっこいい感じ。
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テーマや題材は面白く、主人公も魅力的だったにもかかわらず、またしても広げた風呂敷を畳みきれずに尻すぼみな作品で終わってしまった。
前半の掴みはいいんだから後半をもっとじっくりと書き込んで欲しい。
なんだか前作の「瓦礫の矜持」や「赤い羊は肉を喰う」辺りからどんどん作品の質が落ちてきてる感じでがっかりです。
思想・政治犯の矯正施設にもかかわらず施設は人種ごとに階分けされていたり、いざこざも思想うんぬんというよりもただの目先の利益優先的なものが多くせっかくの設定が生かされていないし、途中の展開も単調でなんとなく結末が読めてしまった。
あと各所に思わせぶりな人物が配置されていたにもかかわらず結局何も起こらずに終わってしまったのも勿体ない。
特にカウンセラーの宇津木なんかは何か裏がありそうで最後まで期待をしていただけになんだかな~~という気分。
北所長にしても結局何がしたかったんだか。
左遷された割には施設を我がもののように牛耳ってるし。
どうせなら伝説の男、宇賀神を短編でも良いので読んでみたいです。
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最近同作者の『赤い羊は肉を喰う』を読んだのだけれど、この2作は同じテーマを扱っている。それは大衆心理操作だ。『赤い羊は〜』の方は一般の人々、『エデン』では刑務所(物語の中では刑務所とは呼ばず政治・思想犯専用特別矯正施設「K七号施設」と呼ばれているが)の囚人たちにある環境を与えて、その環境によって人々の心理を操作しようとする側と、その環境に疑問を持ち立ち向かって行く側の攻防の物語である。もちろん主人公は心理操作をする側ではなく、立ち向かって行く側の人間だ。『エデン』の舞台は近未来の日本。新宿のスラムで育ったストリートギャングのボス亞宮は、警察に捕まり2年の実刑判決を受けた。ところが、収容された施設は普通の施設ではなく、政治・思想犯専用特別矯正施設「K七号施設」だった。その施設はドームで覆われ、外の空気を吸うことや、空を見ることはできず、温度も湿度も保たれ季節を感じることはない。しかし、囚人の自由だけは守られている。収監されている囚人は、亞宮と亞宮と対立していたグループのリーダーだった蔡をのぞいて、皆政治・思想犯であり、政治とも思想とも関係のない自分が何故その施設に収容されたかを疑問に感じながらも、亞宮は環境に順応していく。やがて、亞宮は21年前に起こった日比谷の大暴動が施設のなかに暗い影を落としている事に気付き・・・。というのがあらすじ。『オール読物』に8回に渡って連載された作品を単行本にまとめた物なので、プロローグとエピローグを除いて8つの章から物語は成り立っている。1章にひとつ小さな事件が起き、それが解決するという構成になっており、やがて大きな核心部分に近づいていくという感じに物語は進む。ただ、こまごまとした謎は解決しないまま終わっているような気がする。ところで、『エデン』でも『赤い羊は〜』でも暴動が起きる場所がどちらも日比谷なのは何か理由があるんでしょうか。
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主人公の亞宮のカリスマ的な魅力と過去の日比谷暴動の首謀者宇賀神の謎が物語を引っぱる。それにしても所長の意図が分かるにしても中途半端で、悪賢さも中途半端な気がした。
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近未来SFストリートギャングの惡宮は捕まって本来政治思想犯専用の刑務所である「K七号」施設に入れられる.そこはほとんどが長期や終身刑の政治犯やテロリストが自治圏を作って生活している風変わりなところだった.なぜ政治犯でもなく短期刑の惡宮がここに入れられたのか?どうやら20年前に起こった日比谷暴動が関係しているらしい.施設内では不可思議な事件やもめ事が次々と起こる.最後はちょっと期待はずれ.
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半ばまでは、何となく短編連作集のような感じ。主人公が事件を解決していく、というような進め方でした。面白いけど、スッキリしない終わり方。
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五條瑛 『エデン』
近未来の刑務所は自由で規則もほぼ緩く、自立した環境下での刑務を送るが…。
何の為にこの施設を創ったのか、何かがおかしいと感じた暴走族の主人公が探りを入れてく話。
中々面白い内容じゃったかな♪
2014年読破