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本書は、東工大名誉教授である齋藤博士らによる、関連性データの解析法である、多次元尺度構成法とクラスター分析法について説明した本である。
本書で扱うのは、一般的な多変量解析では分析しにくい、対象間の「関連性 (類似性または非類似性)」のみが与えられている場合に有効な2手法である。各対象の値 (変量) の尺度水準は様々であるが、それらから関連性を計算する方法についても説明されている。
第2~4章では、対象間の非類似度を元にして対象をn次元空間に配置する、多次元尺度構成法 (MDS) について、計量的・準計量的・非計量的の分類のもと説明されている。基礎となる定理についても証明を含めて詳細に述べられている。
第5~7章では、類似度の高い対象をグループ化していく、クラスター分析法について、階層的・非階層的の分類のもと解説されている。MDSに比べるとこちらの内容はやや少なめとなっている。
どちらの手法に関しても、その評価方法についてよく説明されているので、実際のデータに適用する際には非常に役に立つ内容となっている。特にクラスター分析に対してMDSの書籍は少なく、貴重な教科書であると思われる。本書は理論・実践どちらの側面においても有用なテキストであると思われるので、★5つとしたい。