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階級社会 現代日本の格差を問う みんなのレビュー

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みんなのレビュー6件

みんなの評価3.3

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (2件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (1件)

高い評価の役に立ったレビュー

20人中、20人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/09/27 00:05

鋭利な分析が浮かび上がらせる現代日本社会の深刻な状況

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

小泉首相が総辞職した。戦後の首相の中で、3番目の長期政権であったというが、独特のキャラクターも手伝って、その5年5ヶ月の軌跡を論じた書物が多く出版されている。どの内閣でも功罪はつきものだが、小泉首相ほどその治世が光と影に彩られた内閣も少ないであろう。
小泉内閣は、不良債権問題を概ね解消し、規制緩和を行い不況脱出の糸口を与え、郵政民営化や北朝鮮訪問、自民党の党質を変えたことなど評価できるところも少なからずある。他方、中国・韓国との外交を最悪の状態に陥らせたことや、行財政改革が中途半端に終わったこと、格差社会を拡大させたことなど憂うべき点も多い。
この中でも、とりわけ大きな問題となっているのが、社会階層内での著しい経済格差である。
本書は、この格差社会について論じているが、ここで注意しておきたいのは、著者がタイトルを格差社会ではなくて「階級社会」としていることである。著者によれば、現代日本社会は格差社会というよりも、すでに階級社会に突入しているという。「階級」というと、まず資本家と労働者の二つの階級を思い浮かべるが、著者は最新の社会科学的な知見を取り入れて、現在の日本社会は、「資本家層」「新中間層」「旧中間層」「労働者層」の四つの階級(それぞれの階層の定義は本書を参照されたい)に分類でき、それに加えてフリーターと呼ばれる若年層がアンダークラス化している状況にあると分析している。
これらの階層内でも「新中間層」と「労働者層」の格差が必要以上に拡がっていることが社会的な不満を呼び起こしているが、それ以上に深刻なのは、フリータたちの収入が著しく低いことである。
これらの若者たちは、正業に就こうと思っても、就くことが出来ず止む無くアルバイトなどをして生計を立てており、年々増加の一途を辿り、現在500万人にも達するという。これらの若年層は、正業についている同世代と比べて、収入・待遇の面で大きな格差があり、それは年齢が上がるにつれて拡がる一方という。さらに、問題なのは、一度この階層に陥ると抜け出すことが出来ず、社会的上層化を図ろうとしても再チェレンジが非常に難しい状況にあると言われている。
著者は、こうしたフリーターを初めとするアンダークラス層が大量に発生したのは、自助努力が足りないということよりも、企業が不況脱出のために正規に採用すべき若年層を採用される者とそうでない者に分断し、後者をいつでも使い捨てに出来るようにしたという構造的な問題にあるとしている。
著者はこのような階級社会の問題を解決するには、ホワイトカラーを中心にして構成されている「新中間層」の動向にかかっていると論じている。と言うのも、新中間層はある面では、フリーターとは相容れない面があるのだが、全般的に政治的な覚醒度も高く、社会的不公正を是正することに一定の理解を持っているからである。しかしながら、格差社会の問題を新中間層の政治的な是正運動に期待するという著者の処方箋は、アンダークラス化した若者たちについての冷静な分析に比べて、非常に楽天的で真の解決にはほど遠いように思われる。
他方、著者が不公正な格差に反対する最大の理由として、著しい格差はアンダークラス化した若年層から「自尊心」を奪うということを挙げていることには賛意を表しておきたい。人間はただ生きているだけではなく、周囲から社会的に認められ自分自身に尊厳を持たないと、生きて行く意味を失う存在であるからである。
本書を読むと、階級社会の問題は、日本を深部から確実に蝕んでいることを実感させられる。根本的な解決を図る時期に来ていると思わざるを得ない。

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低い評価の役に立ったレビュー

15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/10/06 18:19

ゾンビ学者の悪あがき

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

いや、ひどい本だ。帯に曰く「今や日本は世界的に見ても不平等度が高く、貧困者が多い国である」(本書第四章)というので第4章を見てみたら、貧困率とは絶対的な概念(所得がいくらとか、資産がいくらとか)じゃなくて「各国の所得の中央値の50%しか得ていない人が占める割合」という偏差値的概念ということが堂々と書いてある。普通の人は、こんなの読んでも何のことかわからない(ここがこの手の議論のあざといところ)だろうが、要するにベルカーブと呼ばれた正規分布のグラフの形状によって、この貧困率はいくらでも変わるのである。普通の後進国では政府の再分配機能がそもそもなく「大変な格差社会」なので絶対的貧困から大金持ちまで正常に分布しているため、「所得中央値の50%未満の全体に占める人の全体に占める割合」を「貧困」と定義しても問題はない。ところが先進国にいけばいくほど、政府がしっかり貧困者に所得を再分配しているため低所得者層が底上げされ「中央値の50%」未満の層が異常に多くなるのである。普通は最低の所得といえば「所得無し」になるのだが、生活保護があるわが国では最低でも年収300万円近くが保障されてしまう。つまりベルカーブがベルの形になっていないのである。この統計上のうそを最初に利用したのが京都大学の橘木俊詔教授だが、本書はさらにこうした統計の誤用を多用している。多用しているところを正直に明らかにしているので、よく読んでいる人には「なーんだ」ということになり、いつの間にか「お笑いの本」になっているところが本書のご愛嬌か。例えば本書の39ページに「現代日本の四つの階級」という定義があって、「資本家階級」についてもしっかり書いてある。さぞ大金持ちのことかと読んでみると「年収1196万円、金融資産3640万円」とある。これで私はぶっ飛んだ。これなら大企業に勤めている窓際族でも全員資本家だ。世田谷のはずれの多摩川沿いの住宅地は30坪でも今時1億円はする。しかし30坪の一戸建てに住んでいる人を資本家と呼ぶのはいくらデフレの世の中とはいえ、ちょっとひどくないか。今、同時に中公新書の「華族」を読んでいるところだが、こちらには本当の金持ちが出てくる。例えば加賀百万石の殿様だった加賀前田家の跡取り前田利為侯爵のお屋敷は、いわずと知れた東大本郷キャンパスでその敷地は10万坪(33万平方メートル)、これを駒場の敷地5万坪と等価交換し、そのうち1万三千坪(42900平方メートル)に大邸宅を建設した。これが今の駒場近代文学館である。しかも前田家が明治政府から下賜された金録公債の金額は120万円で、年間所得は26万円となっているのだが、これを今の価値に換算すると年収70億円、金融資産323億円となるのである。これなら堂々たる資本家だろう。今や社会を「労働者対資本家」の構図で分析しようというマルクス主義学者はお笑い的な歴史の遺物にすぎなくなり、通常の神経を持っている人は誰も相手にしなくなってしまった。昨今、格差批判ばやりである。本書を読んで「格差、格差」と叫んでいるのは、こういうゾンビ化したマルクス主義者なんだなと合点がいった。

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紙の本

鋭利な分析が浮かび上がらせる現代日本社会の深刻な状況

2006/09/27 00:05

20人中、20人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

小泉首相が総辞職した。戦後の首相の中で、3番目の長期政権であったというが、独特のキャラクターも手伝って、その5年5ヶ月の軌跡を論じた書物が多く出版されている。どの内閣でも功罪はつきものだが、小泉首相ほどその治世が光と影に彩られた内閣も少ないであろう。
小泉内閣は、不良債権問題を概ね解消し、規制緩和を行い不況脱出の糸口を与え、郵政民営化や北朝鮮訪問、自民党の党質を変えたことなど評価できるところも少なからずある。他方、中国・韓国との外交を最悪の状態に陥らせたことや、行財政改革が中途半端に終わったこと、格差社会を拡大させたことなど憂うべき点も多い。
この中でも、とりわけ大きな問題となっているのが、社会階層内での著しい経済格差である。
本書は、この格差社会について論じているが、ここで注意しておきたいのは、著者がタイトルを格差社会ではなくて「階級社会」としていることである。著者によれば、現代日本社会は格差社会というよりも、すでに階級社会に突入しているという。「階級」というと、まず資本家と労働者の二つの階級を思い浮かべるが、著者は最新の社会科学的な知見を取り入れて、現在の日本社会は、「資本家層」「新中間層」「旧中間層」「労働者層」の四つの階級(それぞれの階層の定義は本書を参照されたい)に分類でき、それに加えてフリーターと呼ばれる若年層がアンダークラス化している状況にあると分析している。
これらの階層内でも「新中間層」と「労働者層」の格差が必要以上に拡がっていることが社会的な不満を呼び起こしているが、それ以上に深刻なのは、フリータたちの収入が著しく低いことである。
これらの若者たちは、正業に就こうと思っても、就くことが出来ず止む無くアルバイトなどをして生計を立てており、年々増加の一途を辿り、現在500万人にも達するという。これらの若年層は、正業についている同世代と比べて、収入・待遇の面で大きな格差があり、それは年齢が上がるにつれて拡がる一方という。さらに、問題なのは、一度この階層に陥ると抜け出すことが出来ず、社会的上層化を図ろうとしても再チェレンジが非常に難しい状況にあると言われている。
著者は、こうしたフリーターを初めとするアンダークラス層が大量に発生したのは、自助努力が足りないということよりも、企業が不況脱出のために正規に採用すべき若年層を採用される者とそうでない者に分断し、後者をいつでも使い捨てに出来るようにしたという構造的な問題にあるとしている。
著者はこのような階級社会の問題を解決するには、ホワイトカラーを中心にして構成されている「新中間層」の動向にかかっていると論じている。と言うのも、新中間層はある面では、フリーターとは相容れない面があるのだが、全般的に政治的な覚醒度も高く、社会的不公正を是正することに一定の理解を持っているからである。しかしながら、格差社会の問題を新中間層の政治的な是正運動に期待するという著者の処方箋は、アンダークラス化した若者たちについての冷静な分析に比べて、非常に楽天的で真の解決にはほど遠いように思われる。
他方、著者が不公正な格差に反対する最大の理由として、著しい格差はアンダークラス化した若年層から「自尊心」を奪うということを挙げていることには賛意を表しておきたい。人間はただ生きているだけではなく、周囲から社会的に認められ自分自身に尊厳を持たないと、生きて行く意味を失う存在であるからである。
本書を読むと、階級社会の問題は、日本を深部から確実に蝕んでいることを実感させられる。根本的な解決を図る時期に来ていると思わざるを得ない。

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ゾンビ学者の悪あがき

2006/10/06 18:19

15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

いや、ひどい本だ。帯に曰く「今や日本は世界的に見ても不平等度が高く、貧困者が多い国である」(本書第四章)というので第4章を見てみたら、貧困率とは絶対的な概念(所得がいくらとか、資産がいくらとか)じゃなくて「各国の所得の中央値の50%しか得ていない人が占める割合」という偏差値的概念ということが堂々と書いてある。普通の人は、こんなの読んでも何のことかわからない(ここがこの手の議論のあざといところ)だろうが、要するにベルカーブと呼ばれた正規分布のグラフの形状によって、この貧困率はいくらでも変わるのである。普通の後進国では政府の再分配機能がそもそもなく「大変な格差社会」なので絶対的貧困から大金持ちまで正常に分布しているため、「所得中央値の50%未満の全体に占める人の全体に占める割合」を「貧困」と定義しても問題はない。ところが先進国にいけばいくほど、政府がしっかり貧困者に所得を再分配しているため低所得者層が底上げされ「中央値の50%」未満の層が異常に多くなるのである。普通は最低の所得といえば「所得無し」になるのだが、生活保護があるわが国では最低でも年収300万円近くが保障されてしまう。つまりベルカーブがベルの形になっていないのである。この統計上のうそを最初に利用したのが京都大学の橘木俊詔教授だが、本書はさらにこうした統計の誤用を多用している。多用しているところを正直に明らかにしているので、よく読んでいる人には「なーんだ」ということになり、いつの間にか「お笑いの本」になっているところが本書のご愛嬌か。例えば本書の39ページに「現代日本の四つの階級」という定義があって、「資本家階級」についてもしっかり書いてある。さぞ大金持ちのことかと読んでみると「年収1196万円、金融資産3640万円」とある。これで私はぶっ飛んだ。これなら大企業に勤めている窓際族でも全員資本家だ。世田谷のはずれの多摩川沿いの住宅地は30坪でも今時1億円はする。しかし30坪の一戸建てに住んでいる人を資本家と呼ぶのはいくらデフレの世の中とはいえ、ちょっとひどくないか。今、同時に中公新書の「華族」を読んでいるところだが、こちらには本当の金持ちが出てくる。例えば加賀百万石の殿様だった加賀前田家の跡取り前田利為侯爵のお屋敷は、いわずと知れた東大本郷キャンパスでその敷地は10万坪(33万平方メートル)、これを駒場の敷地5万坪と等価交換し、そのうち1万三千坪(42900平方メートル)に大邸宅を建設した。これが今の駒場近代文学館である。しかも前田家が明治政府から下賜された金録公債の金額は120万円で、年間所得は26万円となっているのだが、これを今の価値に換算すると年収70億円、金融資産323億円となるのである。これなら堂々たる資本家だろう。今や社会を「労働者対資本家」の構図で分析しようというマルクス主義学者はお笑い的な歴史の遺物にすぎなくなり、通常の神経を持っている人は誰も相手にしなくなってしまった。昨今、格差批判ばやりである。本書を読んで「格差、格差」と叫んでいるのは、こういうゾンビ化したマルクス主義者なんだなと合点がいった。

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2006/10/15 01:27

投稿元:ブクログ

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2007/01/07 19:45

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2007/07/06 10:20

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2012/02/04 23:25

投稿元:ブクログ

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