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一瞬の風になれ 2 ヨウイ みんなのレビュー
- 佐藤 多佳子 (著)
- 税込価格:1,540円(14pt)
- 出版社:講談社
- 発売日:2006/09/22
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紙の本
やはり、大変なことになりました。「ヨウイ」もとい「一瞬の風になれ2」
2006/11/28 22:30
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校陸上部を舞台に、走ることに魅せられた者たちの青春小説第2巻です。相変わらず熱いです。特にリレーの描写が圧巻で、バトンを渡すシーンや、コンマ何秒の差に胸がドキドキします。あんな風に走ったら気持ち良いだろうなと思わせてくれるシリーズも、「承」から「転」へと動き出しました。
2年生になった新二はドンドン陸上にのめり込んでいきます。彼に触発されるように、何ごとにも今ひとつやる気が感じられない天才スプリンター連にも目覚めの時が。
新二と連が所属する春野台高校陸上部というのが、現実に有りえないくらい良い部なのですね。家族的でありながら馴れ合うことはなく、ライバルでありながら手を取りあえる。才能や技量では測れない器を持つ先輩、部員たちの自主性を重んじながら必要なところではしっかり手綱を取ることができる顧問。新二はともかく、超マイペース人間の連は春野台高校陸上でなければ、確実に潰れてしまったでしょう、ランナーとしてだけでなく人間としても。
素晴らしい仲間たちに囲まれている新二ですが、そこはシリーズも中盤、数々の試練が降りかかります。自分の可能性との闘い(何しろ幼なじみは天才ですから)、試合に対するメンタル面での不安、恋の揺らぎ……でももっと重く厳しい現実が、新二を打ちのめすのです。狭く長く、暗いトンネルに入り込んでしまった新二は、道を見失いかけます。読んでいても息が苦しくなってくる展開ですが、新二は一人ではありませんでした。陸上部の仲間がいて、家族がいます。新二の家族については、1巻を読んだ時点では、熱烈のサッカーファンの両親とサッカーの天才選手である兄に対して、コンプレックスを持つ新二の視点が強く、(困った親と兄ちゃんだ)という感じがしたのですが、どうしてどうして。新二、しっかり愛されていますよ、家族から。
真剣に何かを求め真っ直ぐに進もうとすれば必ずぶつかる壁、人の力では動かしがたい運命のようなもの、だけどグッと踏ん張った新二がトンネルをくぐり抜ける瞬間も間近、珍しく主人公を応援しつつ(普段はたいてい脇役派なのですが)3巻に期待を繋ぎます。
紙の本
やや型どおりだが、それでも読ませる
2011/12/20 12:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
引き続き面白いが、ちょっとパターン化している。つまり陸上を新たに始めた主人公が、記録を縮めながら、友情やら恋愛やら青春の諸々でもがんばるという基本線だが、これがあまりにはっきりしているのでちょっと退屈しかけないでもない。と思っていたら、ドラマチックなハプニング。が、それもまあ定番といえば定番で、困ったらこれではずるいぞ、安易だぞ、という気もする。それでも、与えられた素材が非常にしっかり書けていて、その筆力が最後は魅力だろう。現代の若者に訴えそうな文体なのもいい。