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紙の本
ロシアの闇とユーモアと
2008/12/27 18:38
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみひこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
革命前のロシアで、そのユーモアに満ちた戯曲や作品が愛され、
その名がお菓子や小物類にまで使われたという、
アイドル的人気作家だったテッフィ。
彼女が書いたこの短編集は、
ユーモアとロシアの革命期の恐ろしい闇が詰まっている。
第1部の『ラスプーチンのこと』は、
実際に会ったラスプーチンについての回想録だ。
彼女がジャーナリストだった頃の話なのだが、実に貴重な証言だろう。
ある意味、女性ジャーナリストとして、ラスプーチンに白羽の矢を立てられ、取り込もうとされた陰謀のようにも思える話だ。
彼女が連れて行かれたのは、怪しげなその時代の作家や
2重スパイがいる、富豪主催のパーティ。
そこで語られるのは、彼女の肩に手を置き磁気催眠術をかけ、
彼女を意のままにしようとする怪僧の姿。
彼女が拒むと、その磁気はラスプーチンの中に逆流し、
苦しむのだという。
又、別の日のパーティでは、常に引き連れている楽師達の演奏のもとに、
コサックダンスを踊り狂うラスプーチンの姿が見られる。
そして、彼は、自らの死とロシアの終焉についての予言とも思える言葉を口にする。
ラスプーチンにおもねろうとする男と生け贄に差し出されようとしているその妻の姿。
また、別のところで夜会に現れる、ラスプーチンに魅入られた宮廷の女官たち姿。彼女たちを捉えるテッフィの視線に、女性の立場からこの時代を捉えた、貴重な視点を感じる。
第2部はユーモア小説集。
『ペンネームのこと』では、この不思議な名前の秘密がユーモアたっぷりに明かされる。その他、パリに亡命したロシア人の生活を味覚の中に捉えたた『ブリン』。多彩な視点で女性を捉えた、『賢い人』『コカイン』『魔性の女』等も面白い。
テッフィが愛されたわけが、少し分かってくるような、そんな気のする短編集だ。
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