紙の本
どうして日本ばかりを問題視するんだろう、この「半導体学者」は?
2007/08/20 17:08
20人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
傍目に見て、日本人の愛国心、ナショナリズムは極めて穏当で穏健で健全なものに見えるがどうか?香山リカが『ぷちナショナリズム症候群』なる本で同じようなことを懸念しているが、どうしてこういうピントはずれな本が次から次へと繰り出されるのだろう。少なくともこの東アジアで一番危険なナショナリズムを振り回しているのは日本ではないことは国際常識であろう。一番危険なのは、もちろん北朝鮮である。北朝鮮は危険なナショナリズムを振り回すだけでは足りず、核兵器で国際社会を恫喝している。この世界最悪のテロリスト国家について、姜尚中は何も感じないのだろうか、不思議である。二番目が中国である。中国は日本の領海を潜水艦で勝手に侵犯しても謝罪せず、日本の大使館、領事館に危害を加えてもなかな謝罪せず現状修復工事に着手するのに理由も無しに1年以上の歳月をかける非礼国家である。そのほか、中国のナショナリズムが極めて危険で排他的で攻撃的なこと、悪逆非道なことは先のサッカーアジア大会で日本全国民の知るところとなった。三番目に悪いのが韓国である。韓国のマナーの悪さは先の日韓ワールドカップサッカー大会で明らかとなった(詳細は山野車輪著『マンガ嫌韓流』晋遊舎参照)。それに比べると今の日本人の、特に若者がもつ愛国心、ナショナリズムとは極めて寛容で、非排他的で、穏健・穏当・健全なものである。あえて言えば、1980年まで日本でタブーとされてきた国旗「日の丸」を喜んで振り回し、国歌「君が代」を人前で堂々と歌うことくらいだろう。でも、こんなことは世界中どの国でもやっている当たり前のことであって、危険でもなんでもないグローバルな常識の範囲内のことである。サッカーワールドカップのフランス大会に日本人の茶髪サポーターが大量に押しかけて、それまでダークスーツにメガネのエコノミックアニマル=日の丸ビジネスマンしか見たことの無かった欧米人の注目を集めたが、試合後、日本が負けたにもかかわらず彼ら日本人サポーターはスタジアムの掃除にボランティアとして参加したことで、欧米人の度肝を再度抜いた。彼ら日本人サポーターは危険なカミカゼの国から来た野蛮なフーリガンどころか、極めて常識的で優しさに満ち溢れた紳士淑女の集団でもあったからだ。それなのに、ああ、それなのに。姜尚中はひたすら日本のナショナリズムを危険視し、日本人のみを対象として「作法」を説く。そんな暇があったら、姜尚中よ、北朝鮮へ行け、北京へ行け、ソウルへ行って来い。川人博さんが『金正日と日本の知識人』で口を極めて姜尚中の言論活動を厳しく批判しているように、彼のような欺瞞に満ちた言論を弄するものを、我々日本人はもはや許してはならないのである。
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情に訴える「美しい国」や「国家の品格」と違い、姜先生の鋭い視点で「愛国心」というパラドックスに挑む意欲作。
なぜ、負け組ほど「愛国」に癒しを求めるかがよく解りました。
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当世流行の「愛国心」には主語がない。述語だけが異様に肥大化したような感情の暴走である。それは醜悪で身勝手なナルシシズムであり、そこには決定的に知性が欠けている。とまあ、そういう警鐘から始まり、民族共同体と国民共同体、愛国心と愛郷心、パトリアとナショナリティなど、まさに"知性"をフル動員して「愛国」の本質を明らかにしてゆく。この点、ついに情緒表現の域を脱せなかった現宰相の著書とは格段の違いである。「ただ日本の美しい伝統や国土、その情趣をナルシシズム的に吹聴する『愛国』」ではなく、「時には生身を引き裂くような激しい相克と葛藤を自我の内面の中に抱え込んでしまう」ことすら辞さない「努力」が、「愛国」には必要なのだと著者は言う。素直にその通りだと思った。
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舜臣を読んだあとだとどうしても霞むなぁ。なんでこうも批判的なものの見方ばかりするのだろう。結局明確なビジョンを自分から提示することはなく。故郷≠母国は非常によくわかる図式で、今やってることの参考にもなるんだが。
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近代国家とは理性的・意識的に作り上げるものであって、「愛国心」と自然な感情としての「郷土愛」とは決して同心円状にあるものではないという分析にそういえばそうだとうなずく。
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「したがって、「愛国心」を、与えられた環境への情緒的(感性的)な依存とみなすことは国民の原理そのものを蔑ろにすることですし、ましてや「愛国心」を強制することなど自家撞着と言わざるをえません」
ちょっと前までにあーだこーだ言われてた、「愛国心」を分析している。
その歴史の流れのところでは、過去の資料などをたくさん用いて、著者の引き出しの多さを物凄く納得。
そして、講義ならうとうとしてしまうような分かり難い箇所も多々・・・。
ですが、後半以降、この著者の考えが明確に論じてあるところに関しては明快!非常に分かり易かった。
そして、巷で溢れる愛国心論に対して自分自身が持ってた違和感を言葉にしてもらえたなぁ、という気がした。
面白いというか、ふふって思ってしまったのは「『美しい国へ』の著書」という表現がしばしば出てくるんだけど、多分その名前がしっかり出てきたのは1回ぐらいかな?こだわりがあるのかしら!?
そして、まぁ、「怪しい外人」とこの人のことを表現した人がいるそうですが、その人よりも何倍もきっと人間的に出来ている、知識もある賢い人なんだろうなぁ、と思いました。
「悩む人」読まなくっちゃ!
【自分メモ】
石橋湛山『東洋経済新報』1945年10月13日
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彼だから、書けるのだと思う。
あえて難しい内容を、自分に問いかけ、苦しみ、あえて答えを無理にでも出したいかのようだ。
確かな理由が存在してほしいのだろう。
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「愛国」のあり方についての本。
典型的な知的エリート左翼の主張かな。引き出しはすごいなと思う。
「愛郷」と「愛国」の違いなど、ためになることも多いが、外交、国防についてほとんど触れられてない。これなくして「愛国」は語れないと思うのだが。
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姜さんのファンになるきっかけの本。彼自身がそのアイデンティティに悩み苦しんで結論を出している様子がうかがえる。とても読みやすい。
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「」で括られた引用がやたらと多くて筆者の主張が分かりづらいと言う印象だった。
在日韓国人の目線からの愛国心という観念が知りたかったのだが。
当然、日本人が持つ排他的な愛国心批判であることは予想できるが、
韓国、中国が現在抱いている、あるいは政治的に利用されている
彼らの愛国心についての言及がもっとあってもよいのではないかと思った。
どこの国もパトリオット・ゲームを競っているのは間違いなく、
特に東アジア地域におけるその解決を
北朝鮮を巡る六カ国協議に期待しているという筆者の認識は
どうにも理想主義的すぎてリアリティに欠けるのではないか。
ただ、第四章での「愛郷心」と「愛国心」の違いについては同意できる。
「愛郷心」を国家が利用して「愛国心」という概念にすり替えた事は事実としてあったであろう。
現在も多くの国で同じ事は行われていて、
そもそもそれは変えられることなのか、という事を
もっと深掘りする必要があるだろう。
そういう意味で物足りなさを感じた。
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(「BOOK」データベースより)
ほんとうに国を愛するとはどういうことか。その先にあるのは希望か絶望か。「改革」で政府によって打ち捨てられた「負け組」の人々ほど、「愛国」に癒やしを求めるのはなぜか。日本と韓国、ふたつの「祖国」のはざまから鋭い問題提起を続けている注目の政治学者が、「愛国心」という怪物と真正面から格闘する。
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愛することは技術が必要なのだ。
愛国心はネーションという形で想像される兄弟愛の発露とみなされている。
お国自慢や自分自慢のナルシズムから抜け出すには謙虚さと客観性と理性を育てなければならない。
小泉さんの靖国参拝をきっかけとする靖国問題は、戦後の日本の形の中に封印されてきたねじれを解き放ち、それを改めて白日の下にさらけ出した。
日本で生まれ日本語で生活する在日コリアンの筆者だからこそ、この本に書かれている愛国については考えさせられる。
日本人にとって、愛国とは何か?
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何が言いたいのかさっぱりわからなかった。哲学としては軽い気がするし、政治学としては抽象的に過ぎる気がする。
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[ 内容 ]
ほんとうに国を愛するとはどういうことか。
その先にあるのは希望か絶望か。
「改革」で政府によって打ち捨てられた「負け組」の人々ほど、「愛国」に癒やしを求めるのはなぜか。
日本と韓国、ふたつの「祖国」のはざまから鋭い問題提起を続けている注目の政治学者が、「愛国心」という怪物と真正面から格闘する。
[ 目次 ]
第1章 なぜいま「愛国」なのか(なぜいま「愛国」なのか 「愛する」とはどんなことか)
第2章 国家とは何か(国家と権力 国家と国民 国家と憲法 国家と国家)
第3章 日本という「国格」(「自然」と「作為」 「国体」の近代 戦後の「この国のかたち」 「不満足の愛国心」)
第4章 愛国の作法(何が問題か 「愛郷」と「愛国」 「国民の〈善性〉」と「愛国」 「愛国」の努力)
むすびにかえて―「愛国」の彼方に
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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ショーヴィニズム(排外主義)、ジンゴイズム(好戦的愛国主義)ではない愛国心の在り方について模索した本。著者は東アジア論で著名な在日コリアンの教授。
今まで日本を支えてきた政治・経済の体制が揺らぎ、社会が断片化・液状化する中で再ナショナル(保守)化が進む。その中で、自己責任論に見られるような社会の矛盾やリスクを個人に押し付ける傾向が見られる。
そうして見捨てられた人々は十五年戦争時の日本や『国家の品格』や『美しい国へ』といった著書に見られるような祖国の盲信、反知性主義に走る。ここでは「愛国心」がそうした人々の接着剤になっている、と。
著者の言うことはごもっともである。ただ、「愛国心」を一部の右翼的な人々の専売特許にしてはならない、という単純な結論を導き出すために、わざわざ難解で迂遠な言葉を使う点が不親切さだと思った。