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政治学に興味があったから久しぶりに読んでみたら、かなり面白かった。というよりこの作者の分析が素晴らしいと思った。やっぱり東大出の方の著書ってすごく説得力あって読み応え有るのよね。って再認識しました。
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本書は、行政学の大家である著者の実体験に基づいて「審議会政治」の内実がまとめられた1冊です。「審議会」いう一装置に焦点を定めることで、官僚制組織の本質がより克明に描かれた内容となっています。
構成としては、第Ⅰ部で審議会政治の全体像を記した「会議の政治学」が扱われ、第Ⅱ部「会議の行政学」では審議会をバックアップする事務局体制の在り方が記され、第Ⅲ部「会議の社会学」ではメディア論を中心とした審議会と外部環境の関係性に焦点が当てられています。
まず本書の要点として、「審議会」が単純に第三者の意見を聴く場として機能しているわけではなく、「答申」として表わされる最終結論が行政側の意図と反しないように運営されている点を押さえておく必要があります。委員の選任の段階から委員の会議での発言のタイミングまで、全て事務局がシナリオを作成した上で事前調整を行っており、その意味で、審議会は行政の意図を第三者的な視点によって偽装する「隠れ蓑」としての機能を果たしていると言えます。
一方で、本書が審議会政治の実態を詳細に後づけたことで見えてくるものは、合意形成過程の繊細さ、少数派委員への配慮の必要性、事務局と委員の信頼関係の重要性などであり、事務局の思い通りに会議の進行管理を行うことの困難が浮き彫りにされていきます。例えば、審議会事務局は、自省の担当部局の意向に沿った審議会運営を試みる一方で、審議会委員の意見に説得された課題に関しては委員側につくため、たびたび両者の板挟みに合う姿が筆者によって描かれています。この点、本書は安直な陰謀論的な官僚支配論とは異なる、生の「政治」の姿を表現していると言えるでしょう。
また、筆者もまとめの部分で触れているとおり、このような審議会政治の在り方は評価が難しいところではあります。
筆者が「最終的な政治の場に不要な負荷をかけず、政治の場が重要課題に集中することを可能にする仕組み」として審議会を位置づけているように、政治が膨大な量の課題を迅速に処理することを求められるという意味では、何かしらの「効率性」を担保する仕組みが必ず必要になります。一方で、審議会はいわゆる「御用学者」を抱え込む傾向にあり、会議の準備プロセスも不透明になりがちなため、民主主義的な正当性に欠ける仕組みであることは否定できません。少なくとも、改革を行うためにはそれらのメリット・デメリットを考慮したかなり緻密な制度設計が求められると言えます。
本書は一見地味な内容ではありますが、行政実務者だけではなく、私企業の会議運営にとっても参考にできる良書だと思うので、多分野の方におすすめできる1冊です。
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著者自身が参加、また観察してきた種々の経験から効率的で有意義な会議運営を行う手法等を考察する本。
主に政府が関わる審議会について書かれています。
いろいろなケースが体系だてて書かれていて整理されていますが、基本的な内容は根回し超重要ってことになります(笑)
審議会に求められる結論はあらかじめある程度の方向性が決められていて、そのためにいろいろな手法が考案され用いられていると考えると単なるアリバイ作り、言い逃れのためじゃないかと言いたくなりますが、
・いろいろな立場、意見の人を集める
・全会一致を目指す
・少数意見に配慮する
という行動規範は民主主義のあるべき姿だと思います。
どこにでもある正義、立場が違えば正義の内容が相容れなくなって当然。
なのに是か非かといった形で議論を尽くそうとしても議論がまとまる筈はありません。
意見、立場が違う人同士とどう意見をすり合わせるか、妥協を導くか。まさにこれが政治なのであって、これを否定して是か非かを貫くと世の中争いごとだらけになってしまうのではないでしょうか。
審議会に限った話が多いのでそのまま通常の会議に使えない。一般に役立てるには応用が必要になるかな。
繰り返しになるが根回し超重要で事前準備は大変なことが良くわかります。
こういうのを支える裏方がお仕事の役人達の心労は、最近の政治家や知識人とやらを見ると余計にですが大変だろうナーと感じれる一冊。
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会議の主宰といった実務に関して書かれており、運営におけるノウハウは必読です。また、○○審議会等の運営が極めて政治的に運営されている実態もしれて面白いです。交渉術の類の本とは異なり俯瞰して会議というものを説明しているアプローチをとっています。
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昨今、「伝え方が9割」という言葉をよく耳にします。グループワークなどで「この人が発言するとなんだか説得力がある」「自分の意見はあるけれど、どうもうまく伝えられない!」等々、悩みや葛藤を感じたことはありませんか?そんなモヤモヤを解決してくれるのがこの本、人間の心理分析から会議での演出方法まで、幅広く実践的な知識が得られる一冊です。(システム創成学科)
配架場所:工3号館図書館
請求記号:317.2:Mo66
◆東京大学附属図書館の所蔵情報はこちら
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2002305097&opkey=B147995556329366&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=6&cmode=0&chk_st=0&check=0
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普通の会社の会議の話ではなく、審議会とか委員会とかの政府関係の会議の運営の話。会議は、事務局が書いたシナリオに沿って淡々と進めたい事務局と、それに乗りたい座長と、いろんな思惑で参加している委員との駆け引きの場だという、もっともな観察
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アカデミックというよりは、非常に具体的で実践的なエッセイ。なるほどえらい人々はこういうことを考えているのか。
会議に出てくる委員には、(1)バランス配慮型、(2)自己主張型、(3)自己顕示型、(4)専門閉じこもり型、(5)理念追求型、(6)無関心型、(7)拒否権行使型がいます。
意見主張のテクニックは(1)論理の飛躍は気にしない、(2)論理の矛盾も気にしない、(3)部分的な主張をして、全体像には触れない、(4)都合のよい実例・調査結果だけを活用する、(5)論点をそらして、質問をかわす。(7)一事例を一般化する、(8)シングルイッシュー戦略(複雑な問題の一箇所だけを争点にする)。
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マニアックな1冊。会議の力学の生々しさにまみれた。ステークホルダー多き政策に関する議論は、こういうものだよなと。