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グーテンベルクの時代 印刷術が変えた世界 みんなのレビュー
- ジョン・マン (著), 田村 勝省 (訳)
- 税込価格:3,080円(28pt)
- 出版社:原書房
- 発行年月:2006.11
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紙の本
天才的なインテグレータだった
2008/12/14 07:07
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:k-kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
ルネッサンスの三大発明と言えば、活版印刷術、羅針盤、火薬である。なかでも印刷術は、人間活動に関わるあらゆる知識を、世代を超えて伝承できるという可能性を創造した。活版印刷によって、ヨーロッパで最初の本が印刷されたのは、グーテンベルクのマインツ工場である。
本書は、新しいビジネスを創造し、あわよくば大もうけに結びつけようと、模索を重ねているひとりの職人=グーテンベルクの姿を生き生きと描き出している。そのころ活版印刷に必要な技術的な要素――印刷術、インク、紙、プレス機など――は既にヨーロッパには存在していた。グーテンベルクの工夫は、それらをどう組み合わせるかであった。
グーテンベルクは、キリスト教に関わる市場で大もうけができそうというアイデアを発展させ、やがて聖書にたどり着く。すでに聖書は編纂され木版印刷が普及していたのだが、木版はひとつ一つのページを製作するのに手間がかかり、摩耗・破損の問題もあった。銅版は文章を彫るのがもっとたいへんだ。銅版を超えるなにかが必要であった。ページ全体が金属製で、本を千部単位で、確実に印刷できるものである。
新しい印刷術の実現には、パンチ作り、鋳造、ワイン搾り機、製紙などを、さらに深化させなければならなかった。プレス機はブドウを搾ってワインを作るのに古くから使われていた。木製のネジをまわして板を下に押しつける。この技術を印刷に応用するためには、数ページ分の活字を並べて金属の枠で固定し、プレス機で正確にすみずみまで同じ圧力をかけなければならない。
1455年なかばに、グーテンベルク聖書が完成する。文章が2段で組まれて優雅なバランスを保つ。縦横の比率は黄金分割に基づいている。1ページあたり42行で、後に『四二聖書』として知られるようになるものだ。
グーテンベルクの発明は複数の技術要素を組み合わせたこと。天才的インテグレータの仕事だった。ただグーテンベルクには資金がなかった。パートナーの商人から資金を借り、設備や製品、職人たちにすべてをつぎこむ。聖書の印刷が終わり、まさにお金が入ってくる目前に、出資者が突然手を引いて資金の返還を求めて提訴する。
数々の苦労を乗り越えて、ようやく新しい印刷術を完成したものの、グーテンベルクはパートナーや同僚にすべてを奪われてしまう。彼の名誉が回復されたのは、ようやく60歳をなかば過ぎたころ。1465年に年金を支給され名誉を与えられた。
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