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ニッポン南極観測隊 人間ドラマ50年 みんなのレビュー
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紙の本
南極は科学だけでなく、他の分野にも価値が見出せる可能性がある
2007/01/10 10:48
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みち秋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
南極観測が始まって50年。南極観測は敗戦から10年まだ日本は貧しく閉塞感が漂う56年11月8日に南極観測船「宗谷」は南極に向け出港した。私たちはこの国家的事業に未知の世界を知る期待で熱くなった記憶がよみがえる。
本書は50年の記念出版として、越冬隊経験者9人の筆者がそれぞれ専門家の立場から執筆。単なる50年史ではない観測における人間くさい、どろどろした人間ドラマと極地での厳しい観測状況が描かれており、南極の象徴である「南極犬タロジロ」「オーロラ」 だけでなく、南極観測の裏情報も含めた全体像を把握できる。
現在基地は3箇所になり、規模的にも世界トップクラスの観測体制で大きな成果を挙げている。主な学術的成果としては、①オゾンホールの発見で地球環境保護の重要性を世界中に認識させた。 ②世界初の月起源隕石と火星起源隕石の発見は太陽系の誕生とその後の進化の道筋を知る貴重な手がかりとなった ③今春に深さ3000Mの深層掘削により氷床コアの採集で過去の気候、環境変動の解析で気候変動のメカニズムの解明が始まった。
④日本はオーロラ観測において世界トップの実績を誇り、世界からも注目されている。
これらの成果の影には科学者の努力に注目しなければならない。高度な専門スキルはもちろん、幸運な出会いとその幸運を生かした地道な努力と探究心に圧倒される。
自ら観測機器を開発して、大規模実験を行いながら同時に基礎的な観測を極寒のフィールドで継続してゆく強い精神力(好奇心、探究心など)と頑健な体力にも頭が下がる。
最終章の座談会の中で、今後50年の進む道はアクセスを容易にして、渡極人口の増加を図り、南極を教育の場にする案、環境のモデルステーションの建設、天文台建設、など多くの夢とロマンが熱く語られる。各種研究機関が法人化される中で極域科学も例外でなく南極の科学的世界をどのように経営するか、もはや南極観測は特別な世界ではなくなる方向に向かっているという。
2009年に「しらせ」に継ぐ観測船の就航が予定されている。南極観測50年を節目に、今後は地球環境を保護するために、地球の未踏破の探検、観測から脱皮して、地球環境保護や宇宙開発の発信基地としてその重要性が増してきたようだ。
今後南極の持つ意味は極域科学分野だけはなく、他の分野でも南極に価値が見出せる可能性を秘めているように思われる。南極観測に関しては、経済活性化のために研究するのではなく、成果を問わない夢を追う広い心も必要ではないかとも思う。
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