投稿元:
レビューを見る
立て続けにクリスマスものを。こちらも中編程度の長さで、サラッと読み通せる内容。特殊な場面設定としてクリスマスが採用されているけど、基本的に、過去から未来にかけての自分と、改めて直面させられることによって、現在における自省がなされ、結果、ポジティブな変化をもたらすというもの。それ自体は、今となっては使い古された手法で、特に目新しさなどを感じる部分は無い。それぞれの回想シーンの見せ方が魅力的で、結果的には惹き込まれる要素たっぷりだったから、物語的には面白かったんですが。
投稿元:
レビューを見る
人生で大切なものとは。真の幸せとは。お金や善意や家族をクリスマスに起こる奇跡で問う。
わかりやすく先が読めそうなあらすじが故、細やかな部分を読み飛ばしてしまいがちになる難解な文章が実は味わい深いんですよね。
7年前に他界したマーリーが登場する必然性が弱い気がするのは深く読めていないからでしょうね。最後でのスクルージのはしゃぎようが爽快です。
投稿元:
レビューを見る
ブンガク
かかった時間90分
光文社古典新訳文庫を古本屋で買ったので読んでみた。なんだかちょいちょい買って読んでしまう「クリスマス・キャロル」だが、マーレイって結局なんなの?とか、なんでスクルージああなったのか、とか、改めていろいろ疑問がわいて面白い。ちなみに訳者はものすごくスクルージを好意的に見ていて、よい。
クリスマスであるというだけで全てが幸せに包まれる、なんて、今はないよ…と思ったが、ディケンズの時代はすでにそれが、失われつつある文化であったらしく、「素敵なクリスマス」へのノスタルジーというか、もっといえば願いみたいなのがあるからこそ、あんなに、これでもかというほど幸せな描写なのかと思うと、なんだか切ない気はする。
個人的には第2章(過去)の、スクルージが元雇い主について精霊と話すシーンで、「雇用主は使用人の生殺与奪を握っている。それは給料とかではなく、その人のなんでもない一挙手一投足が使用人の幸福を決めるという種類のもので、金とかよりもっと重い」みたいなことを言っていたところが印象に残っている。
投稿元:
レビューを見る
訳文が自分と合わなくて、終始「読みづらいな...」と感じながら読んでしまった。村岡さんの訳もあるそうなので、そっちも読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
クリスマス・キャロルとはクリスマスを祝う歌のこと。1843年に出版された中編。タイトルからてっきりクリスマスを祝う温かい家族の話を想像したが、実際は守銭奴であるスクルージという男がクリスマスの精霊からその冷酷さを説法されるという物語だった。クリスマスの精霊は三体現れて、それぞれ過去、現在、未来のクリスマスの風景をスクルージに見せる。精霊は喋らず、ただ無言でスクルージに彼の姿と、彼に関わりのある者が彼のことをどう思っているのか見せつけるのだ。このスクルージは商人で、クリスマスを祝いに来た甥を「おととい来い!」と追い返すなど、およそ人の心の温かみの無い人物。そんな彼が本当に悔い改めて変われるのどうか、読者は付き合うことになる。
面白さはまあまあといったところ。ディケンズに求めている娯楽性とはまたちょっと違った気もするけど、あまり説教っぽくなく説法するのはディケンズならではなのかな。この人が描く温かい家族は本当に生き生きとしていて、その場に居合わせたくなる。半面、冷酷な男を書くとここまでうんざりさせられるのかと改めてディケンズの筆力に感服した。ただ精霊という超常現象に頼るあたりが、少し小説の魅力を損なわせている気がした。ディケンズならクリスマスを祝う温かい家族の物語を真正面から堂々と書けただろうし、そっちのがよかったのではと思ったが、そうなるとこのキャラ立ちの激しいスクルージが生まれなかったわけだから、やはり書かれるべくして書かれた小説なのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
村岡花子の訳に馴染めず、半ばにして訳者を変えてあらためて読みなおした。中身がぎっしり詰まった短編。描写が鮮明で幽霊が浮き立たない。幽霊と言えど怖くはない。主人公が自己を省みる道しるべの存在。スクルージは吝嗇だが悪人ではない。幼い頃の環境が生活において頑なな人物に仕上げた。家族を大切に思う気持ちを読者に深める名著。2021.5.16
投稿元:
レビューを見る
“「あなたもいくらかは心を痛めるかもしれないわね。これまでのことをふり返れば、そうであってほしい気もするけど、でも、それだってほんの束の間でしょう。何の得にもならない夢から覚めて、もっけの幸いと、私のことなんてさっさと忘れてしまうに違いないわ。ええ、そう。あなたはあなたの道を行けばいいの。どうぞお幸せに」
娘は立ち去り、ふたりの中はそれきりになった。”
スクルージに娘が別れを告げる場面では泣きそうになった。ディケンズくん、腕持っとんな。以前から名作文学を読んでおかなければと思ってはいたが、読書腰が重いせいか、他の刺激的なエンタメに目移りする浮気性な好奇心のせいか、一向に読み出さなかった。ここに来て、他人に宣言することで自分の行動を規制するという荒技を覚えたので、それを応用して、比較的に読みやすそうなものをまとめて読んでやろうという腹積りである。アマゾンの読み放題に加入したので、光文社古典新訳文庫がいくらでも読めるからもっけの幸いだというのもある。
まず、出だしで読者はガツンとやられちゃうわけだよ。「マーリーは個人である。何はさておき、まずこのことを言っておかなくてはならない。これについてはいかなる疑いもさしはさむ余地がない。」と、こう来たもんだ。こんなふうに執拗に言われちゃうと、あれ、ほんとかしら、もしかしたら生きてました、ってオチじゃないのかな、なんて勘ぐりたくなるのが人情なんだけど、そこがディケンズくんの策略なんだよね。畳みかけるように、牧師、教会書記、葬儀屋と言葉を続けて、スクルージの名前を出す。読者は、また、あれ、今度は誰かしら、と思う。その次の瞬間。「かのマーリーは鋲釘のように、間違いなく死んでいる。」と段落を締め括る。もうこれで、読者はディケンズくんの語り口の虜になっちゃうわけさ。なんてったって、物語の入り口で入ろうか、やめようか、逡巡している読者諸氏の鼻ツラをばちんとぶっ叩いた後、息も付かせぬ速射砲の如き語り口でぐいぐい引き込んでしまうんだからね。人物描写も見事だし、街上や室内の描写も肌理が細かく、場面転換も鮮やかだ。会話は血が通っていて、登場人物はみな生き生きとしている。なるほど、英国の国民的作家と呼ばれるだけはある。
物語の最後は、あれっ、と思う結末なんだけど、まあ、そんなものかな、という気もする。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりにがっつり語彙力で描写してくる古典を読んだ気がする。きっと全ては理解できていない。
けれど、スクルージに寄せた自分の心が確かにある。彼が打ちひしがれ、懇願する場面を見るたびに訳者あとがきにあった「本来の姿に返った」という部分が胸に響く。
そう、読み始めと読み終わりで、全くスクルージの印象が変わるのだ。けれどそれは、決して納得のいかないものではない。なぜだろう、これがディケンズの力ということか?
クリスマスを祝う喜びに溢れた描写が何ページも続いているところが本著のハイライト、作者が一番表したかったことなのだと私は思った。誰もが憧れ、幸せになる一夜。いいなぁぁぁ日本でもこんな風にクリスマス過ごしてみたい!!
投稿元:
レビューを見る
『クリスマスの精霊に導かれし孤独な守銭奴』
恥ずかしながら、初読みデス… クリスマスのことなど気にもとめない守銭奴スクルージが、クリスマスの精霊とともに、身近な人達のクリスマスの様子を体験し、本来の姿を取り戻していく。
投稿元:
レビューを見る
短い作品なのでサラッと読めた。
内容は意地の悪い老人が色々な人や物を見て改心するという童話みたいな話し。
単純だけど普段生きてる中ではなかなか気づけないこと。
自分は意地悪ではないか。
投稿元:
レビューを見る
(Mixiより, 2009年)
イギリスの国民的作家、ディケンズの代表作品。恥ずかしながら初めて読みます。守銭奴、スクルージが、過去・現在・未来の自分を見たうえで、思いやりの無さや親切心の無さを悔い、人生を改めるという内容。とても説教臭くこの事を教えてくれる精霊達。まるで道徳の教科書のような作品です。スクルージはその後、人に評価される事だけを望んで、自分の野心を完全に失ってしまわないか、心配です。ただの親切なおじさんに成り下がってしまうのも、なんだか納得出来ない気がします。うーん...難しい。ただ、僕達はクリスマスだけでも、本当に安らかな気持ちで迎えられたら幸せなんでしょうね。
投稿元:
レビューを見る
言わずと知れた名作。守銭奴と言われるスクルージに、7年前に死んだはずの同僚マーリーの亡霊が現れ、「夜中の1時に3人の精霊がやってくるから会うように」と言われる。一人ずつやってくる精霊に連れまわされるうち、スクルージに変化が•••
昔に読んだものより遥かに読み応えがあるように感じた。翻訳のせいだろうか。これでもかと重ねてくる表現や形容には舌を巻く。また解説とあとがきを記す訳者の池央耿さんの知識の深さや広さに脱帽した。キリスト教やイギリスの風習など、勉強になる物が多く、もう少し深く読み返したい。
投稿元:
レビューを見る
守銭奴のスクルージのもとに精霊たちが三度やってきて、過去と未来の景色を見せられて、改心するお話。
スクルージにはマーリーやフレッドがいて救われた。実際には、孤独でどうしようもない爺のところに精霊はやってこない。
投稿元:
レビューを見る
すっかり光文社の手先…ってこのくだり何度目?
ってことで数えてみました!
ひまわりめろん出版社別既読数ベスト5!!(ドンドンドンパフー)
既読746冊中(2023年3月20日現在)
第5位 新潮社 61冊
第4位 東京創元社 63冊
第3位 早川書房 78冊
第2位 講談社 80冊
第1位 文藝春秋 85冊
でした!ちなみに光文社は43冊で第6位でしたまあまあ多いですが手先感は今ひとつ
なんかすんませんしたっ
もちろんみんみんも集計(なにがもちろんなのか)
※ちょっとデータ取りが雑だったので多少の誤差あり、あとレビューがあがってる509冊を対象にしてます
第5位 光文社 30冊
第4位 新潮社 33冊
第3位 KADOKAWA 48冊
第2位 文藝春秋 51冊
第1位 講談社 59冊
おおー、なんか色出たかも
(KADOKAWAと角川春樹事務所をまとめて角川グループで集計すると63冊で1位になる)
ちなみにおびーは登録991冊中346冊が新潮社でした(既読に絞るともっと割合あがる)
まさに新潮社の手先w
投稿元:
レビューを見る
洋書で一番好きな本は何かと聞かれたら、迷わずクリスマス・キャロルと言うくらい好きな話。
偏屈で非情でケチな老商人スクルージがクリスマスの夜に、優しさを失う前の自分を追憶させる過去の精霊、貧しさの中でもクリスマスの喜びに包まれる人々を見せた現在の精霊、心を入れ替えなかった場合に訪れる絶望を見せた未来の精霊に出会い、心を入れ替えるという話。
あらすじだけ書くとそういう話だけれど、何回読んでも心が暖かくなるからついに紙の本を買ってしまった。青空文庫でも訳者は違うけど読めるので、是非。