紙の本
日本一わかりやすいラカン入門書?
2006/12/04 02:20
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nanako17girls - この投稿者のレビュー一覧を見る
難解なラカンをできるだけ一般の人々に理解できるように書いたのが本書です。もちろん、ぼくもラカンについては「あ〜、なんだかとっつきにくい」という印象があった。ニューアカ世代ではないので、フランスの現代思想かぶれでもないのですが、ついつい手にとってしまった。精神医学でも異端な「精神分析」を理解するのに本書はいいですね。「シニフィアン」「転移」「想像界・象徴界・現実界」など、キーワードが豊富に書いてあり、これらに疎いひとでもきちんと読めばある程度理解できるレベルで書かれている。
思考のスタイルについて考えてみる。ぼくらはときに悲観的になりすぎたり、なんでもできるという思い込みに、しばしば囚われてしまう。「自分は特別なのだ」という思いに。それは正しいのか?いや、それ以前の問題に「自分とは何なのか」ということをかんがえなければならないのかもしれない。迂闊にもそのようなことを深く考えてこなかったので、本書はいい刺激になった。「自分の欲望は他人の欲望」まさに至言である。そして、その「欲望」とは「言葉」であるという。「自分の言葉は他人の言葉」そうなのだ。能動的に語ったり、行動したりすることも実は受動的に「そうさせられている」ということなのだ。そう考えるとけっこう面白くありませんか?
「わかればわかるほどわからない」すなわち「欲望の刺激」である。入門書でありながらそれで終わらない良書である。ラカンに詳しくならずとも「生き延びるために」本書はかならず役に立つ。
投稿元:
レビューを見る
ネットの連載をまとめたもの。
「日本一わかりやすいラカン入門」としているが、「ラカンを体系立てて説明しようなんて、ぜんぜん考えていない」ので、基本的な概念の説明が多く出てくる。
「ラカンによると」としている部分の記述には、ラカンなんて名前が出てこない他の本で知った事もあったが、勉強になる部分もあった。
私の考えとラカン・斎藤環の考えとの違いは、
・心は言葉だけで出来ているとは思えない。何より言語化に至っていないイメージが先に存在し、イメージが心を大きく占めている。
・人間も動物である。人間の欲望だけ他の動物の欲望と違う特別な理由などない。進化心理学への軽い攻撃が随所に出てくるが、進化的に適応的な行動は存在する。
・欲望は他人からの影響もあるが自分の中から芽生えてくるものもある。
・自分の欲望を説明するのには他人の尺度以外に「それが適応度を上昇させるかどうか」という説明もある。
・言葉を語らなくても人間は人間である。
・意味やイメージは言葉の副産物ではなく、言葉は意味やイメージの副産物である。
・無意識はイメージで構成され、イメージの宝庫である。
・イメージはシニフィアンの副産物ではない。
「そりゃ確かに、精神分析そのものには、もう昔ほどの有効性はないかもしれない。でも、だからといって、なにもかも失敗だったと片づけるにはあまりにも惜しい人類の知恵だ」
投稿元:
レビューを見る
”僕は基本的に、人間が人間を教育することなんてできないと考えている。人が人を変えるようにみえるのは、変わりたい人間と変えたい人間がたまたま運良く出会った時くらいのものだ”
”他人になにかを教えることなどできない。できるのは、自力で発見することを助けることのみだ”
投稿元:
レビューを見る
分かりやすい。とっつきやすい。この分かりやすい、というのは大事だ。実際ラカンは分かりにくいから。でも!
「男の子向き」とか書いておけよ!(怒)
これがヒッキーや、生きることがやっかい、あるいは面倒になっている、あるいは逆にこだわりすぎになっているとりわけ若い人々が「生き延びるため」のものだ、というのはわかる、が、そういうのは男の子だけだ、と前提されてる。
最初のほうですでに、「女は存在しない」とかやったらかっこいい、みたいな発言があって嫌な予感がしていたが、エディプスコンプレックスの説明で、切れた。
本当に生き延びたい女性は、これは読まないで、なんでもいいからジェンダー学の本を読んだほうが、生きやすいよ。
投稿元:
レビューを見る
どうしよう、結局あんまり理解できなかったんですよ、ラカンについて。三界とかシニフィアンとか部分的には解ったつもりでも、実際どうやって序文にあるように実生活に応用していいのか戸惑うばかりで。……ああそうか、私はその応用編こそが読みたかったんだ。基本も知らないで。ダメじゃんオレ。
投稿元:
レビューを見る
面白かった!!!
久々に「早く次っ次!」って思いながら読みました。
いつも先輩が言ってる、分からなかったことのイミが結構分かりました。勿論まだまだだけど。でも例えば「大文字の他者」とか「享楽」のイミとか、何となくつかめたような気がする。
勿論入門書(すばらしい入門書!私にも分かるー)なので、これで分かった気になったらいかんけど、それでも難しいと尻込みしてたラカンのことがちょこっとだけ分かって良かったです。
確かに鋭い切り口って感じです。リアルではなくリアリティを感じます。ただ、やっぱクールです。本物の自分なんて、いるかも知れないっていう可能性だけ、ってことなんかな。
自分がどういうスタンスになるかまだ分かんないけど、こういう視点も絶対持っとくべきだと思いました。
投稿元:
レビューを見る
ジャック・ラカンの翻訳本は難解を極める代物だ。それは訳者の質の悪さにも起因すると思うのだが、この著作はその難解さを、いかに平易に説明するかを志向した意欲作だ。
投稿元:
レビューを見る
2009/
2009/
構造主義的な精神分析学者として知られているジャックラカンの著作です。
投稿元:
レビューを見る
2009/10/21(〜p50),27(〜p108),28(〜p206),29(~p256終)
ラカンについてのすごおおおく簡単でわかりやすい入門書。
のはずでしたが、私にはすこし話がややこしくて、ところどころ説明にくどく感じてしまう部分もあり、評価は3とさせていただきました。
でもよくわかる部分もあったので、よかったです。
投稿元:
レビューを見る
幻想に騙されて際限ないはずの自分の欲望が充足されたと錯覚しないために何度も何度も読み返している本。精神的にひきこもりの時期が会った人など、特に読むべきかと。
投稿元:
レビューを見る
◆内容
・この本の主張は、現代社会は
「ラカン的な解釈があまりにもベタに当てはまるような事象が多い」
ということかな。
・その当てはまる事例に関連して、Lecture形式になっていて、
19個ある。19個のトピックがあって、それを解決するためにラカンを引用して説明していく形。
一つだけピックアップ。
★女性は存在しない?
女性を言葉で的確に定義づけることはできない
男性ではないというネガティブな形の定義付けしかできない
男性→ファルス、象徴的なペニスを持つ存在
・ ラカン的な解釈
ポイントになるのは想像界・象徴界・現実界のよう。
そこに関してまとまっている記述。
「認識したりコントロールしたりできる領域が想像界
精神分析の力を借りるなど、限られた状況下でなら認識・コントロールもある程度可能なのが象徴界。
いかなる方法論を持ってしても、認識もコントロールも不可能な領域が現実界。」
◆感想
ラカンを通すことで一つの世界の観方が作れそうだということがわかった。というか、精神分析的な視点から物事を見るということについて若干のイメージは出来たという感じ。別の精神分析系の本をもっと読みたくなった。
投稿元:
レビューを見る
オタクから始まって、ラカンというものすごく難しいらしい哲学者が唱えたことをわかりやすく説明してくれます。
現代の様式に不満や疑問のある人にとって、生きやすくなるヒントがあると思いました。
投稿元:
レビューを見る
口語でわかりやすくラカンの理論を紹介。
事例がやたらとサブカルチック。
まとまりが悪く要点の掴みにくい箇所もあったり、ラカンとほとんど関係ない箇所もあったりだけれど。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
ストーカー、リストカット、ひきこもり、PTSD、おたくと腐女子、フェティシズム…「僕の見たところ、現代の社会は、なんだかラカンの言ったことが、それこそベタな感じで現実になってきている気がする」
電車内の携帯電話の不快なわけは?
精神病とはどういう事態か?
…こうした問いにもラカンは切れ味鋭く答えてくれる。
「心の闇」を詮索するヒマがあったらラカンを読め!
そうすれば世界の見方が変わってくる!
世界で初めての使えるラカン解説書にして精神分析入門。
[ 目次 ]
なぜ「ラカン」なのか?
あなたの欲望は誰のもの?
「それが欲しい理由」が言える?
「こころ」はどれほど自由か?
「シニフィアン」になじもう
象徴界とエディプス
去勢とコンプレックス
愛と自己イメージをもたらす「鏡」
愛と憎しみの想像界
対象aをつかまえろ!
すべての男はヘンタイである
欲望はヴェールの彼方に
ヒステリーはなにを問うか
女性は存在しない?
「精神病」とはどんな事態か?
「現実界」はどこにある?
ボロメオの輪の結び方
転移の問題
転移・投影・同一化
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
おもしろかった。
「背伸びした中学生向け」に書いていると書いていて、ほんとうにそんな感じ。そう、そういうふうに書いてくれれば一応わかる気になるのよう。いや、中学生の親くらいの年齢ですけどね。わからんのです、難しい文章は。
ただ、精神分析の本ってどうしても性的な単語がいっぱいでてきて電車で読むのが気恥ずかしいんだよなぁ....見えてませんよね、隣の人?見てるんならちゃんと何の本なのかわかって見てね?ね?